WiLDHEARTS
THE WiLDHEARTS(UK/英)
#731 / FISHING FOR LUCKIES / 1994
★★★★★

QUIREBOYSを解雇されたジンジャー(Vo&G)が結成した「ワイハ」の2ndアルバムです。93年のデビューフルアルバム「EARTH VS THE WILDHEARTS」に続く構想は2枚組だったそうな。しかしレコード会社の反対により頓挫、通常(1枚)のリリースに向けて曲をため込みレコーディングを続けた(途中でセカンドギタリストCJを解雇)そうです。コレが所謂ダブルアルバムセッションと呼ばれる音源。そして94年にこれらの音源から選ばれた6曲をファンクラブ向けにリリースしたのがオリジナル(ミニアルバム)の「FISHING FOR LUCKIES」でした。95年に2ndアルバム「PHUQ」が全英トップ10入りを果たしたことで、96年に今作の拡張版である「FISHING FOR MORE LUCKIES」がリリースされます。欧州盤では最初の6曲に4曲追加され、日本盤はその欧州盤にボートラ4曲が追加収録のされています。入手したのは日本盤でしたが、個人的には”Inglorious”と”Do the Channel Bop”(どちらも8分近い尺)が聴ければいいのでどのフォーマットでも構いません。総じてヒネリを効かせたハードパンクという趣なのですが、ハードロック(グラムメタル)要素が加わることで微妙に曲が長いところがミソですね。パワーポップの要素もあるからメロコア的でもあるし、CHEAP TRICK的な曲もあったりして飽きずに聴けます。このオリジナリティ溢れるジンジャーロックはさすがUK産と言ったところ、いい意味で比較対象が見当たりません。ワイハは4枚チェックした中でコレが一番好きです。特に前出2曲ですね。リーダートラックは、ギターリフを含むリズムのアクセントとか曲構成にジンジャーロックが集約され、”Do the Channel Bop”も複雑な構成ながら、耳に残る少年合唱団的なコーラスパートが加えられたポップテイストな曲で、95年の「P.H.U.Q.」の日本盤にもボートラとして収録されました。METALLICA meets BEATLESと例えられることがあるらしいですが、SEX PISTOLS meets BAY CITY ROLLERSという気がする。このジャケは96年のジャパニーズ・エディションです。
#922 / P.H.U.Q / 1995
★★★★
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3rdアルバム「ファッキュー」です。ややこしいけど2ndとされる場合もあります。若干ソフトになったもののやはり根底に流れるものはパンクです。2nd(94年のファンクラブオンリー盤)より曲がコンパクトになってる。ジンジャーのアイデアが枯渇したかな。ヒネリも控えめだ。だから96年に2ndを録りなおしたのかもね。名曲“I Wanna Go Where the People Go“で掴みはOKなんだけれども…トータルすると前作ほどのインパクトは無いよね。日本盤だとボートラとして前作収録の”Do the Channel Bop”で締めくくられてるのがせめてもの救いか?それにしてもファンクラブ向けのマイナー盤の出来が過去最高でいいのかジンジャー!?
#2268 / DON'T BE HAPPY...JUST WORRY / 1992
★★★★

8曲収録の2nd EPということになっているようですが、#1~4は1st EP「MONDO AKiMBO A-GO-GO」収録曲のリ・レコーディング(アンチ・ダンス・ミックス&曲順変更)で、#5~8が新曲という構成です。なので、実質2枚のEPを合わせてアルバムの体裁を繕った感じかも。おかげで日本盤もリリースされました。テリー・デイトが新曲のミキシング、および再録曲のリミックスを担当しました。全英91を記録。独特なパワーポップ・スタイルがすでに開花しているのは間違いないのですが、それぞれのEPで印象が異なるんだね。”Turning American”や”Nothing Ever Changes But the Shoes”あたりが真骨頂と言えるでしょうね。ジンジャーが醸すスリージーな雰囲気、声質、歌メロ、カッティングが特長的なギター、コーラスワーク、これがワイルドハーツの音楽性だと思う。ところが新曲に関しては、ちょっと物足りなさを感じるかな。尖っていた個性が減退してしまった気がする。まあ後の作品で更なる高みを見せてくれたわけだから、必要なEPだったのだと納得しておこう。ワイルドハーツが知りたいなら、95年リリースの「P.H.U.Q.」、96年の「FISHING FOR LUCKIES」がお勧めです。もちろん97年のベスト盤でもいい。バンドは97年に活動停止を宣言しますが、2001年には早くも復活宣言。その後も細く長く活動していたようですが、2022年に再び休止することを発表したらしい。