SAXON
SAXON(UK/英)
#251 / DENIM AND LEATHER
★★★★★
77年結成、NWOBHMムーヴメントの始まりとされる79年にデビューアルバムをリリース。そのNWOBHMムーヴメントを、IRON MAIDEN、DEF LEPPARDとともに牽引したバンドです。DIAMOND HEADが裏番長なら、こちらは表舞台で大活躍組。ボーカルはビフ・バイフォード、なんともカッコいい名前じゃありませんか。いまだ現役バリバリで、これまでに20枚以上のアルバムをリリースしていますが、全盛期は2nd~4thで間違いなし。売上だけの話ではないけれど、それぞれ全英5位、11位、9位を獲得しました。聴くべきはこの三部作からということで、とりあえずアルバムタイトルが時代を象徴するこの4thをイチオシとしてみました。今作のツアー直前にドラマーが脱退してしまうので、オリジナルメンバーによる最後のアルバムでもあります。デニム&レザーといえばバイカー、バイカー・ロックといえばSAXONで、NWOBHMバンドたちの定番衣装でもありました。とにかく疾走曲が絶品なんですね。アルバムの1曲目は毎回同じパターン(いい意味で)であり、すべてが代表曲と言えるでしょう。2nd「WHEELS OF STEEL」は“Motorcycle Man”、3rd「STRONG ARM OF THE LAW」は“Heavy Metal Thunder”で、この4thの“Princess of the Night”(57位)と続きます。各曲のタイトルからしてそういう雰囲気があるよね?当時を知る者(バイカーであるなしにかかわらず)は、このストレートな楽曲に気分が高揚するのですよ。バイカー御用達のファストチューンのみならず、淡々とした雰囲気を放つ”And the Bands Plays On”も好きです。この曲は、80年に「モンスターズ・オブ・ロック」に出演した体験を元に書かれた曲で、当初の歌詞には当日の出演バンド(RAINBOW、JUDAS PRIEST、SCORPIONS、RIOT、APRIL WINEなど)について語られた箇所も含まれていたそうです。Show Must Go On的なタイトルが素敵だね。
#1042 / STRONG ARM OF THE LAW
★★★★
NWOBHMの代表格バンドの3rdアルバムです。メタルアンセム“Heavy Metal Thunder”に尽きます!SAXONはこの時期の3枚しか聴いてませんが、オープニング曲が突出してるもんだから、聴き進むうちにちょっと飽きてくるって共通点があるんだね(笑) 昔はカセットテープに録音して聴いたんだけどね、ペラペラの薄いテープだからデリケートなわけ。カセットデッキとの相性でメリメリってこともしばしばで特に聴き始めが危険なんだわ。下手するとローラーに巻き込まれて切れちゃったりする。テレビから録音した貴重な音源だったりするとセロテープでつなぎ合わせたり…大変でした。でね、1曲目がダメになるのを見越して、テープの余りに1曲目をもう一度録音するわけ。結果的に1曲目は2回聴くことになるから2倍頭に残ると。そういう理由もあり、SAXONのみならず1曲目の記憶が特別になっているのです。ただでさえA面1曲目とB面1曲目にはアルバムのイチオシが収録されてるからね、その相乗効果たるや絶大なわけ(笑)
#1174 / WHEELS OF STEEL
★★★★
第1回モンスターズ・オブ・ロックは想い出深いアルバムですが、SAXONも抜擢されてるんだよ。収録曲は1stからのもので馴染みがなく…APRIL WINEの“I Like to Rock”同様「何故この曲?」と感じたのを覚えています。今回はSAXON史上最も売れた2ndアルバムをご紹介しましょう。コレがバイカーロック襲名盤と言っていいでしょう。兎にも角にも“Motorcycle Man”だよね。ライブでもオープニング曲となるバンドの代名詞だもの。曲調はまあ似たり寄ったりかもしれないけど(笑)タイトルチューンやB-1の“Freeway Mad”とか曲名からして微笑ましいのだ。ミッドテンポの曲だとAC/DCとほぼ差がない感じ。個人的なお気に入りは、ビフ・バイフォードらしからぬ歌メロの“Suzie Hold On”かな。これだけ聴かされたらSAXONだとは気付かないのでは!? さて2nd~4thでしっかり予習したら…ライブアルバム「THE EAGLE HAS LANDED」で復習だよ。鷲は舞い降りた!
#1907 / THE EAGLE HAS LANDED
★★★★★
同名タイトルで「鷲は舞い降りた」って映画あったよね。さては拝借しちゃいましたかね。それはさておき、全盛期の代表曲のオンパレードだからこれまでのベスト盤としてバッチリ機能している素晴らしいファースト・ライブ盤。「DENIM AND LEATHER」リリース後のヨーロッパツアー音源。スタジオ作品のオープニングチューンが次々と繰り出されるもんだからね、コレはもう堪りません。特に頭5曲は圧巻ですね。ライブならではの迫力も加わってるから、スタジオ録音のベスト盤よりこっちの方が断然いい。NWOBHMの筆頭バンドとして堂々としたライブパフォーマンスだね。ストレートな楽曲が実に清々しいです。難しいことを奏ってるわけじゃないけれど、ギターが2本鳴ってるからサウンドが軽くなることもなく、全体のバランスもいいと思う。特にリアルタイム世代にはマスト作品でしょう。手に入れるなら、ボートラとしてハマースミスオデオン音源が6曲追加されたリマスター盤がお勧めです。個人的には“And The Bands Playsed On”が追加されたのがうれしい。96年にPartⅡが、2006年にはPartⅢもリリースされているみたいだけど…イマイチ唆られないのね。
#2042 / THE INNER SANCTUM
★★★★
好レビューを目にして久々に聴いてみたのがこの17thアルバムでした。いやあ、色んな意味で驚いた。まず音楽性があのSAXONじゃない。そもそもLAメタルみたいになったとかで聴かなくなったんだけど、四半世紀の間に紆余曲折があったんだね、かつてのバイカーズ・メタルでもLAメタルでもない、ギターが楽曲をリードする普通にカッコいいヘビーメタルになってるじゃないの。そしてもう一つ、歌ってるのは誰だ?というくらいビフ・バイフォードの声が変わっている。いやマジでシンガーが交代したのかと思ったよ。あの頃のビフ臭はほんの少ししか残っていません。でもね、こちらも楽曲同様で、声質は変わってしまったけどいい。その歌いっぷりはバンドを渡り歩く実力派シンガーの如し。トータルすれば失ったモノより新たに手に入れたモノの方が大きいかも。ずっとバイカーズメタルってわけにはいかないもんね。あれはNWOBHM期限定の音として割り切るべし。先刻紹介したブライアン・セッツアーに続き、加齢など物ともしないオジサンの活躍に胸が熱くなります。ビフ先輩、侮っていてすみませんでした。期待していたものではなかったけれど、うれしい誤算といえる1枚、素晴らしいアルバム。