Stop thinking you can't do things and start thinking you can. Your future is whatever you make it, so make it a good one.

WISHBONE ASH

WISHBONE ASH(UK/英)

#65 / ARGUS / 1972

★★★★★★★

Wishbone Ash argus2 (320x320)

このバンドの特徴はいくつかありますが、まず歌い手が複数います。コーラスワークはもちろんのこと、主旋律であっても、常に3人のフロントマンがハモり合っている印象がある。強力なシンガーが牽引するスタイルじゃないのね。そこに、アンディ・パウエルとテッド・ターナーによる、時にプログレッシブ、時にクラシカル、時にフォーキーなツインリードギターが加わって、アッシュの独特なハードロックが出来上がります。ところがその最大のウリも…チューニングが合ってるような合ってないような…でもやっぱり合ってるのかなみたいな微妙なラインでね、歪みを抑えたクリーンな音だけに余計気になったりして。実際、当時のチューニングは甘かったと思う。チョーキングして少々狂っても気にしない。折角ノッてきたから最後まで、ライブ感重視の一発録り。そんな数発の中から選ばれた最高の一発が、たまたまチューニングが甘かったってところかな。というわけで、バンドの最高傑作とされる3rdアルバム「百眼の巨人アーガス」です。ツインリードスタイルを完成させた名盤とされています。ヒプノシスの傑作ジャケは見開きにしないと全体像がわからないのですが…巨人(ダースベイダーじゃないよ)が見つめる先にUFOが飛来してるんだよ。エンジニアがマーティン・バーチなんですね。その後DEEP PURPLE、RAINBOW、WHITE SNAKE、BOC、BLACK SABBATH、RAINBOW、MSG、IRON MAIDENなど錚々たるバンドを手掛ける名プロデューサーです。こうした巡り合わせで名盤は生まれるんですね。いきなり10分弱の”Time Was/時は昔”で開幕する全7曲。ちなみに音質が向上した「TIME WAS」という2枚組ベストもお勧め。名曲”Blowin' Free”は5分強あるのですが、アルバム中では2番目に短い尺。続く”The King Will Come”は7分強、歌い出しまでに1分半使って盛り上げてるからね、そりゃ長くなっちゃうって。プログレだな~。6曲目の”Warrior/戦士”も好きです。トリの”Throw Down The Sword/剣を棄てろ”にはRENAISSANCEの鍵盤ジョン・タウトがゲスト参加(お礼にアンディ・パウエルが「燃ゆる灰」に参加)しています。6分に満たない曲なのに歌い出しまで2分(笑) アッシュは適度な音の隙間が心地いいですね。今どきのバンドみたいにゴチャゴチャしてないから耳コピもしやすい。”ジェイル・ベイト”、”巡礼”、”フェニックス”のライブがボートラ収録されている2002年のリマスター盤をお勧めします。



#259 / WISHBONE ASH / 1970

★★★★★

Wishbone Ash (320x320)

アンディ・パウエル(フライングV)とテッド・ターナー(ストラトキャスター)のツインギターで度肝を抜いたデビューアルバム「光なき世界」です。このギターハーモニーは当時としては珍しかったらしい。いや、今聴いても珍しいと思うけどね。サイケロックとハードロックの過渡期だから、ギターの歪みは控えめ。まあ歪み過ぎたらASHじゃなくなっちゃうけど。ハーモニーもありますが、2本のギターが自由に弾いている場面が多い気がする。同じコードだからハモって聴こえるという感じ。ちなみにベースも自由度が高いかな。ボーカルハーモニーや、得意技の妙なスキャットも相俟って、絶妙にバランスが保たれたフリーロックという趣です。デビュー作にして、バンドの最高傑作とされる「ARGUS/百眼の巨人アーガス」に匹敵する出来だと思います。”Blind Eye/光なき世界”、”Lady Whiskey”、”Errors of My Way/あやまち”、”Queen of Torture/悲しみの女王”、”Handy”、そして後々までライブで演奏される名曲”Phoenix”(これを聴かずしてASHを語ることなかれ)の全6曲。さて、このジャケ写がwishbone(鳥類において鎖骨が融合したもので、これまた叉骨「さこつ」と言うらしい)ですがashではないよね。これは炭です(笑) もしくは焦がしただけ。やっぱ崩れる寸前ギリギリのところまで挑戦してほしかったね。中途半端な焼け具合が妙に気になってしまいます。いまいちサイズ感が伝わらないが、実際はそれほど大きな骨ではありません。そして本来は七面鳥でしょうね。この骨の両端を引っぱり合って、長い方を手にした人の願いが叶うとのこと。だからmerrythoughtとも言うみたい。お洒落~。今年のクリスマスにはぜひ丸焼きローストチキンで運試しを。



#422 / PILGRIMAGE / 1971

★★★★★

Wishbone Ash pilgrimage 3

インストナンバーの割合が増加した2ndアルバム「巡礼の旅」です。アートワークは傑作3rd「ARGUS」同様ヒプノシスなんだけどね、ご覧の通り色々な想像が掻き立てられる素晴らしい出来です。このイメージ通りの音が収録されております。ここまでくるとプログレと言っても差し支えないでしょう。確かに71年はプログレの全盛期でもありますが、プログレバンドではないアッシュが演ってるってのがポイントだね。何なら次の「百眼の巨人」より複雑なことをやっている。バンドの売りであるツインギターのハーモニーは言うに及ばずなんだけど、そこに絡んでくるマーティン・ターナーの硬めの音色のベースがまたいいんだな。リッケンバッカーなのか?それはもはやトリプルリードの如し。オープニングは、スキャット風のボーカルが難しそうな”Vas Dis/よみの国へ”。ギターとボーカルのユニゾンは、相当練習しないと歌えないぞ。ギターメロありきでしょうね、歌うには厳しめの起伏がある。FOCUSの”悪魔の呪文”ほどじゃないにしても、これはまた別の意味で難易度が高いと思われます。そして2曲目が8分半のハイライト曲”The Pilgrim/巡礼”で、ジャケのイメージ通りのインストです。静のパートに始まり、開始2分辺りから変拍子の動パート、同じく7分あたりから突如不穏なパートに転換する、3部構成とも言える大作です。他にも”Jail Bait”、”Lullaby/子守唄”、”Where Were You Tomorrow/明日はいずこへ”などの代表曲を収録し、全英14位を記録しました。ASHに限らずこういうブリティッシュHRを聴くと、もちろん80年代も捨てがたいものがあるけれど、やっぱ70年代は特別なんだなぁと思わされるのでした。



#527 / LIVE DATES / 1973

★★★★

Wishbone Ash live dates

黄金期の総括と言える2枚組実況録音盤「ライヴ・デイト」です。「WISHBONE ASH/光なき世界」「PILGRIMAGE/巡礼の旅」「ARGUS/百眼の巨人アーガス」「WISHBONE FOUR」の4枚、つまりテッド・ターナー在籍時のアルバムから選曲されているからね、次々に繰り出される代表曲の何と素晴らしいことよ。”The King Will Come”、”Warrior/戦士”、”Throw Down the Sword/剣を棄てろ”、名作「アーガス」収録曲3連弾で始まります。続いて同年リリース「FOUR」から”Rock’n Roll Widow”、”Ballad of the Beacon”を挟み、”The Pilgrim/巡礼”(2nd)、”Blowin' Free”(3rd)、”Jail Bait”(2nd)、”Lady Whiskey”(1st)、と畳みかけ、ラストの”Phoenix”(1st)でトドメを刺すという内容。個人的には「FOUR」の曲に少々テンションが下がるかな。アッシュの演奏はライヴの方がベターって見解もあるけれど、そうは思わない。ハードな曲の迫力があるからってことなのだろうが、アッシュに求めるものが違うんじゃないかい?いい塩梅に隙間のある音とか、プログレと言ってもいいくらいの哀愁とか、長めの尺を使って徐々に盛り上がる様子が繊細に感じ取れるスタジオ作品に軍配を挙げるけどね。スタジオ盤ありきのライブ盤であり、やはりライブ盤は別物として捉えるべきだと思うのですが、皆さんは如何でしょう?いずれにせよ黄金期、どちらも必聴、ぜひ聴き比べて頂きたい。ちなみに80年に「Live Dates 2」、2000年に「Live Dates 3」がリリースされましたが、聴きたい人だけ聴けばいいって感じ。アンディ・パウエル+テッド・ターナーが我々のアッシュだから。



#580 / THERE'S THE RUB / 1974

★★★★

Wishbone Ash there's the rub

WISBONE ASHは最初の3枚がスペシャルということで間違いない。アンディ・パウエルとテッド・ターナーのツインギターを主軸とした、プログレにも似たブリティッシュ・ロックが炸裂していた時代です。全英3位を記録した「ARGUS/百眼の巨人アーガス」でツインリード・ギターの完成形を提示した後、4thに於いて突如としてポップな要素を取り入れアメリカ進出の準備を始めます。しかしアメリカに移住した矢先、テッド・ターナーが脱退(後釜はローリー・ワイズフィールド)してしまうのでした。バンドのポップ化が嫌だったのだと推察されます。というわけで、「アーガス」同様にヒプノシスがアートワークを手掛けた5thアルバム「永遠の不安」でございます。原題の意味はシェークスピアの「ハムレット」のセリフで”それが厄介なのだ”と訳すらしい。個人的に今作を推す理由は、当時エアチェック(おそらくクロスオーバーイレブン)した“Persephone/永遠の女神”が収録されているから。これは文句なしの名曲だと思いますが、アルバム全体としては微妙なライン。前作のポップ化が更に一歩前進した感じでしょうか。よって、特別な曲が収録されてはいるものの「コレがアッシュ」ですと胸を張ってお勧めできるアルバムではありません。前作は従来の曲調にポップ要素を加えていたのに対し、今作では従来曲とポップ曲にハッキリ分けている。全6曲中、”永遠の女神”、”Lady Jay”、”F.U.B.B.”(Fucked up Beyond Belief)の3曲が従来の路線で、残り3曲がポップチューンという構成。テッド・ターナーが抜けたことで気合が入ったか、アンディ・パウエルはいつも以上に弾いてますが、我々はツインリードが聴きたいのよ。邦題を付けた担当者さんも、こんなアッシュの変貌に「不安」を感じたのかもしれない。



#1190 / TIME WAS / 1993

★★★★★

Wishbone Ash time was (320x318)

大御所だからベスト盤もたくさんありますが、とりあえず数あるベスト盤の中でイチオシはコレ。実はウチにある唯一のベストがたまたまこの2枚組アルバムってだけの話なんだけどね、強ち間違ってはいないでしょう。個人的ではありますが、ポップ化した時期のアルバムからの選曲(貴重だけどね)が連発する2枚目の後半あたりからテンションが下がってしまうのが玉に傷。“Phoenix”で始まるDisk1だけならほぼ完璧ですね。ベストでありながら2曲の未発表テイクも魅力的。ひとつは“Where Were You Tomorrow/明日はいずこへ”のスタジオバージョン。オリジナルアルバムに収録されていたのが何故かライブバージョンだったんだよね。もう一つは”The Pilgrim/巡礼“のライブです。さらには…「百眼の巨人アーガス」からの5曲がデジタル・リミックスとのこと。デジタル・リミックス?聞きなれない単語ですが、デジタル・リマスターのことですか?何にせよ、ベースサウンドがクリアになって迫力満点の仕上がり。デジタル効果絶大です。唯一のマイナスポイントは大好きな”Persephone/永遠の女神“が外されたことかな。



#1926 / LIVE AT THE BBC / 1997

★★★★

Wishbone Ash live at the BBC2

ウィキペディアを見ても当該タイトルのライブ・アルバムは載っておらず…「BBC RADIO 1 LIVE IN CONCERT」ってやつのタイトル違い?輸入盤ゆえライナーノーツは付属していませんが、二つ折りジャケの内側に印字されている文言を見る限り、同一のものと思われます。というわけでBBCライブです。ゆえに歓声なしのスタジオライブ。BBCライブにはBBCライブの楽しみ方があるわけで、シンプルに生々しいバンドの演奏を堪能すべし。余計な装飾がないから耳コピ向けの音源とも言える。もっとも、今さらASHのコピーをしようって人がいればの話なんだけど。巣ごもりが続けばあるいは…。音源は71年~72年の7曲と77年が2曲の計9曲。双方の録音には明らかな差があるので聴けばすぐにわかる。というか、77年の2曲はそもそも聴き覚えが無い。なるほど納得、未聴アルバム「FRONT PAGE NEWS」からの選曲でした。ついでに誤植まであるし(笑)。”Goodbye Baby Hello Friend”と”Come in from the Rain”が正解のところ、後者が”Baby Come in from the Rain”と印字されており…さては前者に引っ張られたか。そんなことはともかく、古い方の音源7曲は文句なしに楽しめたよ。ジャケのギターがカッコいいぜ。この67年製のVは、アンディ・パウエルにとってお守りのようなものだそうです。



バンド名検索

powered by Quick Homepage Maker 5.1
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional