RENAISSANCE
RENAISSANCE(UK/英)
#38 / NOVELLA / 1977
★★★★★★

英国プログレ5大バンドの次に位置するのはCAMELとRENAISSANCEだと思っています。ファンタジー系のCAMELとクラシカル系のRENAISSANCEには共通点もあります。で、とりあえずイチオシはこの7thアルバム「お伽噺」にしてみましたが、3rd~8thならどれを聴いても概ね同じといえば同じ。もちろんいい意味でね。個人的に好きな曲は別のアルバムに収録されてたりもするし、コンセプト作品「シェラザード夜話」(CAMELの「SNOW GOOSE」に相当)も捨てがたいけどね、今作はジャケがもうプログレ以外の何物でもないでしょ!? おまけにアルバムタイトルがNOVELLAときたもんだ。イタリア語で短編物語の意味だとか。お察しの通り、日本のNOVELAのバンド名はここから頂いたもの。ついでに前身バンドのSHEHERAZADE(シェラザード)も同様の理由によるものでした。テルのお気に入りだったんだね。ルネッサンスは元YARDBIRDSのキース・レルフが結成しました。妹のジェーンとともに演ってたのはフォーク。歌姫アニー・ハズラムの新生RENAISSANCEもその名残でアコギやピアノ主体の音楽なんですね。そこにオーケストラを加えたシンフォニックロックの集大成がコレというわけ。時折繰り出されるジャジーな雰囲気にはキャメル同様カンタベリー風味も感じられます。つまり…大雑把に括れば英国プログレ第6席のポジションはカンタベリー系の方々ってことになるのかもしれない。歴史も古いしね。そう、SOFT MACHINEはKING CRIMSONより先輩なのです。アニー・ハズラムの声が最大のウリになっているわけですが…声そのものに魅力があるんだからいいのか。”Can You Hear Me?”を収録。
#225 / ASHES ARE BURNING / 1973
★★★★★★

キース&ジェーン・レルフ後のアニー”癒し系クリスタル・ヴォイス”ハズラム・ルネッサンス第2弾(通算4枚目)。イチオシ7thアルバム「NOVELLA」は「お伽噺」でしたがコレの邦題は「燃ゆる灰」。意外と普通ね(笑) ちなみにジャケはヒプノシス。RENAISSANCEのプログレはフォークとクラシックとロックが融合したアコースティック感覚が特徴(もちろんアニーの歌声ありきで)なんだけども、長尺曲(大作)が含まれているのもお約束になっている。プログレ=曲が長いという安易な考え。かく申すわたくしも、若かりし頃のマイブーム「ジャケ買い」時代には曲の長さで「コレはプログレっぽい」などと判断して買ってたんだね。そりゃあハズレることもあったけど、あながち間違ってはいなかったと思うので、安易ではあるけれど情報が乏しい時代に於いて最大の判断基準でしたよ。このアルバムだと11分超のタイトルチューンがまさにソレでしょうか。ライブの定番“Carpet of the Sun”もこのアルバムに収録。“Can you understand?”問いかけてるわけじゃないよ。アルバムのオープニングを飾る大好きな曲のタイトルでした。記憶が確かなら、初めて聴いたルネッサンスの曲です。
#297 / SCHEHERAZADE AND OTHER STORIES / 1975
★★★★★★

アニー・ルネッサンス第4弾(通算で6作目)「シェラザード夜話」です。第5弾の「お伽噺」とともに一般的にも高い評価を得ているコンセプト作品でございます。CAMELで言うところの「SNOW GOOSE」に当たる作品だと認識しておりますが…強ち間違ってはいないと思う。ジャケは「燃ゆる灰」同様ヒプノシス。ぽくないけどね。とりあえずそそられる仕上がりではないかと。物語を想像してわくわくしちゃうでしょ?タイトル曲“Song of Scheherazade”は24分超え、バンド史上最長曲となりました。まさにプログレの真骨頂と言えるでしょう。ライブには欠かせない“Ocean Gypsy”もこのアルバム収録。もう何も言いますまい。聴いておくべきアルバムはそれほど多くはないので全部いっときましょう。断言します。アニールネッサンスの1枚目~5枚目です。コレでOK。個人的にはね、アニーの歌はちょっと一本調子で抑揚が少ないと思っています。カレン・カーペンターなんかと比べると尚更そう思う。低音域が無いんだな。低音出したらクリスタルじゃなくなっちゃうもんね。イギリス英語の発音のせいか、声質そのものが魅力的なためか、天使の歌声と言われると妙に納得してしまうけれど…プログレバンドの女性ヴォーカルが珍しかっただけだったりして(笑) 結局好きなんだけどね!
#566 / PROLOGUE / 1972
★★★★★

すべてはここから始まった。と言っても過言ではありますまい。第2期ってことでいいのかな?とにかくアニーが参加した新生ルネッサンスの第1弾作品です。フォークでクラシカルなプログレにアニーのクリスタルヴォイスですね。”Prologue”のインパクトは絶大でしたね。師匠はこのアルバムが一番よかったと言ってた気がする。ちょっと意外だったね。今作はピアノの比重が高い印象だから。マイケル・ダンフォードはまだアレンジャーとして参加してるだけだしね。さらにはCURVED AIRやSKYのフランシス・モンクマンが、恐らく当時最新鋭シンセで”Rajah Khan”に参加してる。ちなみにジャケはヒプノシスですよ。アルバムがリリースされた72年はプログレが盛り上がってた頃でもあり、いい時期に心機一転できました。サイケからプログレやHRへの過渡期に現れたグループはすべて要チェックですね。特にこの辺りの有名どころを無視して通過することは許されないのであります。それにしても…70年代の初頭は凄い。ビッグネームが続々登場している。ちょい先輩の方々はリアルタイムでこの興奮を味わってるんだよね。これに関してはマジであと3年早く生まれたかったと思いますが、中高生じゃ金がないから色々聴けないというジレンマも…。てか、そもそもレコードを入手できなかったのでは?そうか、ラジオだな。
#669 / TURN OF THE CARDS / 1974
★★★★★★

アニー・ルネッサンスの3作目にして通算5枚目のアルバム。。これまた、らしくないイメージのジャケですが、今回も手掛けたのはヒプノシスです。今回もやっぱりジョン・タウトのピアノとジョン・キャンプのベースが活躍してるのがいいね。アニー・ハズラムの歌声とマイケル・ダンフォードの作曲およびアレンジ力に、このWジョンが加わってこそのルネッサンス・サウンドなのです。ちなみにドラマーはテレンス・サリヴァンで、よくわからないけどこの人も欠かせないんだろうな。今作にも間違いなくあの音が詰まってるので安心して聴いて頂きたい。オープニングに”Running Hard”を、トリには”Mother Russia”を収録するアルバムです。ちなみに双方とも9分超の作品だよ。ところで、バンド名から察するにルネッサンス期の音楽をやりたいってことなのかね?アコギやピアノやオーケストラなどアコースティック楽器で聴かせる宮廷音楽の現代版を目指したと。そこにフォークの要素+女性クリスタル・ヴォイスを加えてルネッサンスの完成というわけですか。やっぱ好きやわ~。
#814 / LIVE AT CARNEGIE HALL / 1976
★★★★★

「シェラザード夜話」と「お伽噺」の間にリリースされた選曲はほぼ完璧な実況録音盤「ライヴ・アット・カーネギー・ホール」です。現在は「カーネギー・ホール・ライヴ」という邦題になってるらしいけど、大差ないじゃんか。2枚組で100分超のボリュームに大満足間違いなし。ニューヨーク・フィルハーモニック・オーケストラがサポート。”Prologue”でライヴはスタート。そして”Ocean Gypsy”と”Can You Understand?”と続きます。”Carpet of the Sun”を挟んで”Running Hard”と”Mother Russia”で畳みかける。そしてダメ押しは”Song of Scheharazade”と24分弱にアレンジされた“Ashes are Burning”だ。いい選曲なんだけど…まあ長いよね。ファンじゃないと厳しいかもしれない。”Ashes…”ではジョン・キャンプのベース・ソロが聴けますよ。ギター的ベースが炸裂しておりますな。この作品を聴いて思ったのは、アニーはライブでも遜色なく歌えるんだということ。ぶっちゃけ見直しました。さすがプロフェッショナル。いや~歌唱力を疑って御免なさいね。あなたは名実ともに「歌姫」でした。第一印象が素頓狂な声に聴こえたもんだからさ、その先入観ゆえ長らく誤解していたみたいだ。スタジオ盤と遜色ない演奏が聴けるから、ベスト盤としても機能すると思う。そういう意味では初心者にもお勧めなのだが…先述の通り、いかんせん長い曲ばかりだからな~、痛しかゆしでございますよ。ファンはマストだよ。
#1104 / A SONG FOR ALL SEASONS / 1978
★★★★★

パンクロック全盛時代、ベテランプログレバンド(GENESISとかCAMELとか)が音楽性をシフトする中、自身の従来路線を貫いた痛快な7thアルバム「四季」です。前作「お伽噺」同様、管弦楽器が自然な形で楽曲の一部になってます。 プログレバンドの面目躍如の大作2曲はさすがの出来ですね。アコースティックな響きやお得意のトラッド・フォーク調もアニーの歌声がビシッとハマる。ポップス調も導入されてるけどまだまだ許容範囲内。そっち方面に目覚めちゃうのはアニーのソロアルバム制作がきっかけみたいだね。ヴォーカルとしても活躍している(可もなく不可もなし)ジョン・キャンプのベースプレイは今回も目立ってるよ。ルネッサンスはアニーの声とタウトのピアノとキャンプのベースとオーケストラで成り立ってるんだね。キャンプのベースはクリス・スクワイア―的だと感じます。もちろんリッケンバッカーだよね。ギタリストによるベースプレイなんだよ。どうやらスクワイアを知ってからベースに転身したらしい。スクワイアをリスペクトって点ではゲディ・リーと共通かな。なるほどって感じでしょ。ジャケはヒプノシス。
#1762 / AZURE D'OR / 1979
★★★★★

9th「碧の幻想」。久々に聴いてみたらイイね。アニーの歌声は健在、漂うメジャー感も申し分なし。おそらくは、オーケストラ不在でシンセが取って代わったことで迫力不足となり、そこがポップ感につながってしまったのかなと。加えて楽曲がコンパクト。冒頭にポップ曲を配したアルバム構成。この辺りが不評の理由かも。リアルにポップと言えるのは冒頭2曲だけなのにね。3曲目の変化球男声ヴォーカル曲で一気にリセットして4曲目の”Golden Key”からはアニー節炸裂です。初インストは普通かな~。アニーのスキャットすらないのは確かに新鮮だけど、ルネッサンスらしからぬ曲調かも。ラス前の”Friends”では満を持してジョン・キャンプのギター風ベースが炸裂します。ラストの”The Flood at Lyons”も素晴らしいプログレ曲だと思う。とまあ巷間言われるほど悪い出来じゃないよ。今作を最後にテレンス・サリヴァン(ドラム)とジョン・タウト(鍵盤)が脱退します。更にはレーベルからも契約を切られ活動停止。暫くして残った3人で「カメラ・カメラ」「タイム・ライン」をリリースするも、すっかり80年代産業ロック化してファンを失望させる。85年にはジョン・キャンプも離脱、そして87年遂に解散という流れ。
#1911 / LIVE AT THE ROYAL ALBERT HALL / 1997
★★★★★

KING BISCUIT FLOWER HOURにて放送された77年音源。お宝発掘音源の代表ってイメージのキング・ビスケット・シリーズですが、個人的には「当たり」が少ない音源かもと思いつつ、ついつい買っちゃうのね。概ねイマイチと思うことが多い中、コレは珍しく(笑)大当たり作品。収録されたのが、76年リリースの「LIVE AT CARNEGIE HALL」の翌年ゆえ、ほぼほぼ曲被りが発生していることを差し引いても十分に聴く価値ありでございます。アメリカ公演とは違った熱が感じられること間違いなし。今回共演するのは当然ロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラ。オケが違うだけでも聴く理由になりそうだが、「カーネギー…」のニューヨーク・フィルは音が引っ込んだ感じだったのに対して、本作ではオケが前面に出ておりますゆえ、ぜひとも聴き比べたいところ。「カーネギー…」には収録されていない”Can You Hear Me?”が聴けるのもうれしい。まあ逆に”Ocean Gypsy”が入ってないから痛し痒しなんだけどね、だったら両方手に入れるのが正解かな。有名曲のみで構成されたDisc1は圧巻のパフォーマンス。お馴染み、オケ炸裂の”プロローグ”から”Can You Understand?”、”Carpet of the Sun”、前出曲、そして”シェラザード組曲”と続く。この時期の歌姫の声は文句なし。ライブアレンジで長尺になった”燃ゆる灰”も今作は飽きずに聴けました。