DAVID LEE ROTH
DAVID LEE ROTH(US/米)
#232 / EAT 'EM AND SMILE / 1986
★★★★★★
前年のEP「CRAZY FROM THE HEAT」に続くデイヴ渾身の1stフルアルバムは、文句なしの名盤です。全米4位を獲得してプラチナム認定。プロデュースはテッド・テンプルマン。個人的に興味はないが、歌詞がスペイン語ヴァージョンもあり。アルバムタイトルはVAN HALENへのメッセージだそうですが、その古巣VAN HALENで一世を風靡したカリスマ・シンガーが、ALCATRAZZのスティーヴ・ヴァイとTALASのビリー・シーンを従えてスーパーグループ結成の巻です。ドラマーはグレッグ・ビソネト。ダイヤモンド・デイヴは言うに及ばず(存在がカリスマ)、ギターとベースの曲芸振りが衝撃的だったわけですよ。これは凄いぞと。冒頭のデイヴの声とヴァイのギターの掛け合いからして、期待を煽られること必至。トリッキーでファンキーでスピーディーなパーティーロックの趣向(”Yankee Rose”、”Goin’ Crazy!”、”Elephant Gun”など)に、当然ながら例のデイヴの趣味(”I’m Easy”、”Tobacco Road”、”That' Life”)も、VAN HALEN同様注入されています。もちろん例のファルセット・ヴォイスも健在。エンディング曲でもある”That’s Life”には多数のゲスト陣(キーボード、女性コーラス、ストリングス等)を迎えて、濃密なパーティーの大団円にふさわしい豪華な楽曲に仕上がっています。TALASの”Shyboy”もリメイクされており、ビリーのベースに、デイヴの歌唱とヴァイのギターが加わって、素晴らしい楽曲に生まれ変わっている。当時”Elaphant Gun”には痺れたね。ギター&ベースによるライトハンド・ユニゾンは衝撃でした。そして何より、この3人が同じステージにいる奇蹟。華ありまくりです。全10曲ながら収録時間は31分と短いのが残念。あと2曲、カバーでもいいから入れてほしかった。助っ人のご両名はアルバム2枚を遺して脱退してしまいますが、今や押しも押されぬビッグネームになっている。大きな踏み台になったね。で、次にデイヴが引っ張ってきたのがあのジェイソン・ベッカーというわけ。この調子で毎回名のあるギタリストを招聘してたら永遠に続けられそうなのに…そうはならなかった。金銭的な問題でしょうか。
#970 / CRAZY FROM THE HEAT / 1985
★★★★★
エディとの関係が微妙になった時期の1stソロEPです。収録4曲はすべてカバー。食い足りないくらいが丁度いい(笑) 当時PVを何度も見た“Just a Gigolo”はデイブのテーマソングみたいなものでハマりにハマってる。絶好調だぜ。BEACH BOYSの“California Girls(バッキングヴォーカルでクリストファー・クロスのクレジットあり)”も最高。THE EDGAR WINTER GROUPの“Easy Street”ではお得意の女性の悲鳴のようなファルセットを連発。楽しそうだね。なんとそのエドガー・ウインター本人も参戦。というかコンセプトの中核がエドガー・ウインター!? ともかくこのアルバムでデイヴはソロでもイケると思ったのでしょう。どうも「1984」でエディたちと揉めたみたいで…一気にVAN HALEN脱退へとつながるのはご存知の通り。80年代は良かったものの、間もなくデイブにとって長い暗黒時代がやってくると。紆余曲折を経て復活は2012年。でもそこにマイケル・アンソニーはいない。後ろ回し蹴りも…遅すぎたな。
#1648 / SKYSCRAPER / 1988
★★★★
ダイヤモンド・デイヴ師匠の2ndソロアルバムです。メンバーは前作から変わらず、ギターがスティーヴ・ヴァイ、ベースがビリー・シーン、ドラマーはグレッグ・ビソネットとなっております。しかしだ、たとえメンバーが同じでも、あの派手なデビューアルバムに比べかなりトーンダウンした印象は否めない。悪くはないんだけどもキラーチューンが見当たらないのが痛いね。ヴァイはともかく、シーンの露出が控えめ、というか押さえつけられたという説が有力ですが。当然の結果として、本作レコーディング後にシーンは脱退、MR.BIG結成へと動くのでした。とりあえず、個人的にはデイヴの声が聴けてヴァイの独特なフレーズが聴けたらそれでいいんだけどね、ダイヤモンドの輝きはないな~。前作のインパクトが大きすぎるだけに、やっぱビリーをハブった?もしくは協力を得られなかったのが失敗だったのでは。かくしてこの体制は今回で終幕。次はジェイソン・ベッカーの登場です。ちなみにジャケはCGじゃないんだよ。正真正銘、本人が壁面にくっ付いてる。シャイニングスターDDの面目躍如。
#2005 / A LITTLE AIN'T ENOUGH / 1991
★★★★★
メンバーが交代した3rdフルレンスアルバムです。VAIの後任としてジェイソン・ベッカーが指名されたまでは良かったのですが…バンドに参加して1週間でALSを発症してしまい、自由に指を動かせた最後の作品になってしまいました。セカンド・ギタリストにはスティーヴ・ハンター(ルー・リードやアリス・クーパーのギタリスト)がスライドギターとリズムギターで参加(ジェイソンが弾けなくなったから?)。ビリー・シーンの後任にはマット・ビソネットが加わってドラマーはグレッグが残留、リズム陣はビソネット兄弟となりました。FLEETWOOD MACの鍵盤も続投。その他ブラスセクションがゴージャスさを演出する。前作ではデイヴとヴァイが担当したプロデューサーはボブ・ロックに。デイヴ節が炸裂する好盤になったね。VAN HALENブランド改めDD(ダイヤモンドデイヴ)印のロックが楽しめる。ジェイソンのギターもエディを意識しているようないないような、結果的に素晴らしいプレイ。EAT ‘EM AND SMILEほどの派手さはないが、デイヴの歌が聴けるならそれでいい。例のファルセットも健在でうれしい。冒頭2曲、タイトルチューンと”Shoot It”で掴みはオーケー。”It’s Showtime”は景気のいいファストチューンだけど、このタイプの曲ばかりってわけにはいかないのです。