FLOTSAM AND JETSAM
FLOTSAM AND JETSAM(US/米)
#513 / DOOMSDAY FOR THE DECEIVER / 1986
★★★★
歌えるヴォーカリスト(Eric A.K.)を擁する希少なスラッシュメタル・バンドのデビューアルバムです。シンガーが上手すぎると、スラッシュメタルに分類されなかったりするけども…ん~確かにザクザク感が足りない気もするが、スピードメタルではないよね。 まあカテゴリーはさておきスラッシュ系にハマった時期によく聴いていた1枚です。「おっ、メロディがあるじゃん!」みたいなね(笑) 大半を占める吐き捨て型ヴォーカルにちょっと飽きてた時期だったのからね、これは強く印象に残ってます。レコードを買った気もするんだけど(誰かに借りたレコードが部屋に長期間放置されてたからなのかもしれないし、誰かに貸したまま忘れてしまったのかもしれないが、ジャケの記憶がやけに鮮明)カセットテープしか見当たらない。当然CDもあるよ。更なる特記事項としては、ベーシストがこの1stだけジェイソン・ニューステッドだってこと。METALLICAに引き抜かれた彼ですよ。どうやらバンドのブレーンはジェイソンで、まだまだ青臭いながらもドラマチックな曲が多数を占めるのはそのため。よって2ndはもっとスラッシュ然とした仕上がりに。あと気になったのは、ちょっと不思議な感じに聴こえる歌声で、ヴォーカルがダブルトラックなのかなと。しかもオジーみたいに同じテイクを2チャンネルでじゃなく、別テイクをダブルで収録している気がするんだけど。まあどうでもいいけどね(笑)
#937 / NO PLACE FOR DISGRACE / 1988
★★★★
ベイエリアではないのかな、アリゾナ州フェニックス。カリフォルニアの隣ではあるけれど少々離れてるから…アリゾナ産スラッシュという括りでいいのでしょうか。ジェイソン・ニューステッドをMETALLICAに引き抜かれた後の2ndアルバム。ジェイソン主導のデビュー作に比べると、良くも悪くもスラッシーな仕上がりになりました。エリック・A・Kが歌っているからAGENT STEELみたいだと感じる場面もあり…全体的にはANTHRAXの2nd「狂気のスラッシュ感染」の曲調に近いような気もするし、無意識なのか嫌味なのか(笑)METALLICA的な要素もあります。つまりBig 4のあの傑作4枚に触発された、何でもアリなアルバムという印象。とはいえこのグループも、傑作3枚がリリースされた1986年に素晴らしいアルバムでデビューしているわけで、あの路線を貫いてもっとエリックを活かしてほしかったかな。あれを突き詰めたらBig5になってたかもしれないじゃん。ジェイソンがいないとあの感じにはならないんだな。ギタリストたちのソングライティング能力か。そういえばギターソロもイマイチかも。ケリー・キングのアップデート版レベですかね。奏でるフレーズに魅力が足りない。3枚目以降は縁がありませんが、まだ現役で頑張ってるみたいでよかった。
#1658 / HIGH / 1997
★★★★
久しぶりに聴いたのがこの6thアルバム。まず意外だったのは、これがエリックの声ですかと思える変わりよう。ハイトーン・ヴォイスがウリだったはずなのに、久々に聴いたこの6thでは伝家の宝刀を封印してるじゃないか。高音が出なくなったわけじゃなく、曲のイメージに合わせた結果だと思うけれど。曲調はアップデイト版90年代スラッシュという趣で、かのデビュー作はもちろんのこと、初期作品とは全く別モノだ。美しいアコギのイントロに続くメタリカ的ミッドテンポのリフに不安がよぎりましたが、歌メロはあるし二人のギタリストも頑張ってるし、確実にレベルアップしたんだなと思わせてくれます。最初の突撃スラッシュビートは3曲目“It’s on Me”。80年代スラッシュはコレだよね。中盤の“Monster”は凝ったリズムとリフで聴かせる曲で、オランダのHARROWを想起しました。90年代スラッシュの特徴の一つとして、四天王通過後のイイとこ取りってパターンがよくあるけれど、要するにソレでしょうか。焼き直しと言ってしまえばそれまでですが…基本は大事にしないとね。ラストのANTHRAX風ナンバーはLARDのカバーだそうで、突撃スラッシュ再び。