SYSTEM OF A DOWN
SYSTEM OF A DOWN(US/米)
#409 / SYSTEM OF A DOWN / 1998
★★★★★
リスペクトに値する孤高のド変態ハイパーパンク・バンド登場です。この音楽の核になっているのは、政治活動家にしてマルチプレーヤーのサージ・タンキアンのヴォーカルということで間違いありません。レバノンのベイルート生まれだそうです。我々世代だと、イスラエルを中心とした中東情勢に関連したキナ臭いニュースで、その国名を知った人が多いでしょう。あるいは、水越けいこの「あの人は今ベイルート♪」なんて歌詞からも。ともかく危険地帯にして中東のキー国というイメージでした。さて今作ですが、初めて聴くタイプの、パンクプラスアルファ(ニューメタル?)の楽曲は素直に面白かった。隙間産業というか、ジャンル分けが難しいパターンかもね。特にテンションが高い曲は魅力的です。取り立ててテクニカルではないし、パンクとも言い切れないところがポイント。ちょっとふざけてるんじゃないかと思えたりもする。何だろうね?唯一無二だと思います。故郷の中東風味も効いてます。アルメニア系コミュニティの仲間で組んだバンドらしいよ。既発アルバムはどれも楽しめるけど、まずは衝撃のデビューアルバムから聴くのがよろしいかと。バンドは2005年の5thを最後に活動休止。2011年に活動を再開するも、残念ながら現在に至るまで6thアルバムのリリースはありません。タンキアンのソロ活動も音楽性は微妙。とりあえず政治的メッセージの発信さえできればいいってことなのでしょう。
#964 / TOXICITY / 2001
★★★★
エキゾチック・ハイテンション・メタルに些かのブレ無しの2ndアルバムです。ギターは相変わらずたいしたことはやってないんだけどやっぱり凄い。シンプルながら誰もやろうとしないことをやっちゃう勇気(笑)に拍手。色んなテクを駆使しなくてもこんなに個性的に弾けるんだぜというお手本ですな。アイデアの勝利。生々しい声で同じフレーズを繰り返して煽るパターンが相変わらずパンキッシュ。巻き舌とか、歌い方のせいかなあ…コミカルな雰囲気が漂っちゃってるのは狙いか?そういう音楽性だから当然曲が短い。そこが、バリエーションは少ないのに飽きずに聴けるポイントなんだね。ネタバレしていたゆえ前作ほどのインパクトはありませんがコレもいい。ギタリストのダロン・マラキアンがIbanezのIcemanを使用してます。ポール・スタンレーの後継者は…現在ではサム・トットマン(DRAGONFORCE)と彼か!? ちなみにPUは基本的にダンカンディストーションらしいよ。なるほどそういう音だな。
#1687 / MEZMERIZE / 2005
★★★★
音質をどうこういうタイプの音楽ではないけれど、音が良くなると印象が変わるわけで、良くも悪くも聴きやすくなった気がする4thアルバムです。いかにもお金がかかってるなって感じ。エンジニアの手腕もあるんだろうけど、結局いい機材を使っているからでしょうよ。聴きやすくなったとは言え、唯一無二の個性は不変なのでご心配めされるな。ダロン・マラキアン(ギター)の素っ頓狂な歌唱が多めにフィーチャーされておりますな。空耳アワーで紹介された「象にパンツは被せづらい♪」は今作収録の“Old School Hollywood”だね。ダロンのパフォーマンスが最大の魅力と感じている向きには、ともすればコミカルなこの歌唱に不満はあろうが、個人的にはサージとの対比効果が抜群で、飽きずに聴ける(そもそも収録時間が短いので飽きる前に聴き終わるけど)重要なファクターになっていると思う。サージだって、本人に自覚はないかも(あるかも)しれないが、聴きようによってはコミカルだし、全力で歌うとトム・アラヤに似ていたりしてね、とにかくいい相棒ですよ。メジャー音質の影響で破天荒さは少々減退してもいいアルバムです。
#1688 / HYPNOTIZE / 2005
★★★★
「MEZMERIZE」から半年のスパンで同年リリースされた5thアルバムですが…前作と合わせて一つの作品ということらしいです。それぞれの収録時間が短いのだから2枚組同時リリースでよかったね。ジャケもご覧の通り、似たり寄ったりでございます(笑) QUEENで例えるなら4thがブラック・サイドで5thがホワイト・サイドと言った印象ですね。全米300万枚を売り上げた「TOXICITY」の資金によって、もちろん今作もいい音で録れてます。今どきこの収録時間だと若干の食い足りなさは否めない。4thと5thをゴチャっと纏め上げてくれたなら、文句なしにキャリア最高作品だったと思います。後々カップリング盤が出たようだけど(ジャケも2作品が混合)後出しは時遅し。さて、2006年に活動休止宣言、2011年活動再開しますがアルバム制作はしていないみたい。現状これらの作品が最終作となっておりますが…ベテランスラッシャー達のように更なるハイパー作品で驚かせてほしいよね。