SWEET
SWEET(UK/英)
#77 / GIVE US A WINK / 1976
★★★★★★

グラム・ロックはもちろんのことバブルガム・ロックにも分類される伝説のグループ。確かに当初ののウリはそういう部分で、外部ライターによるシングルヒットを連発して有名になりました。でもね、この4thアルバム「甘い誘惑」は一味も二味も違うんだね。ハード・ロック方向にシフトした音楽を演っているのですよ。アイドル路線だったLAZYがHRバンドだってことをカミングアウトしたのを思い出す。まあ似たような事情だったんじゃない?売れるためにグラムな衣装を身に纏ってバブルガムしてたんだと思う。やりたくもないタイプの楽曲は外部ライターに任せて。今作に先駆けてメンバーが作曲した”Fox on the Run”と”Action”がヒット、それを受けてこの4thアルバムでは外部ライターと縁を切りまして、すべてメンバーのオリジナル曲となったのでした。こういう事情によりHR路線になったからこそよく聴いたというわけ。当時は師匠のカセットテープをダビングしたクオリティの低い音源を聴いてました。現在はもちろんCDを手に入れ、変わらず愛聴しております。ちなみにRCA盤とキャピトル盤では曲順が異なります。ほぼAB面が入れ替わっただけなのですが、キャピトル盤の方が1曲多い…というかポイントはおそらくそこではなく、”Action”がB-1からA-1になるってことでしょう。最初に買ったのはキャピトルの日本盤で、さらにもう1曲”Fox on the Run”をボートラ収録。しかもB-1に挿し込まれています。オープニングが”Action”でB-1が”Fox on the Run”、さすが日本盤といったところ。とにかく“Action”は衝撃でした。始まりがバブルガムだから自然と身についちゃったのかもだけど、まあ良くも悪くもファニーな雰囲気がいいよね。QUEENとの違いはそこでしょうか。”Cockroach”なんかもいいね。すべてのアルバムを聴いたわけじゃないから偉そうな事は言えませんが、HR耳にも馴染む作品は3rd~5thあたりかなと推測されます。とはいえバブルガム時代のシングル曲もクオリティが高く捨てがたいかな。多少なりともBCRなんかに思い入れがある向きには、初期のベスト「ブロックバスター」もお勧めしておきます。本作に関しては、現状で最新の音質およびボートラという点で、2005年のRCAリイシュー盤がお勧め。秀逸ジャケはLPでこそ、レコードの出し入れでウインクする仕掛け。
#467 / DESOLATION BOULEVARD / 1974
★★★★ ★

発売国によって選曲や曲順が異なることが多いバンドの3rdアルバム「危険なブールヴァード」です。ここに至るまで既にヒットを飛ばしてきたわけですが、その勢いは今作でも継続。うちにあるのはボートラを追加収録した2005年のUK盤なので、それに準じて紹介していくと、1曲目の”The Six Teens”(全英9位)、3曲目の”Turn It Down”(同41位)、7曲目の”Fox on the Rnu”(同2位/全米5位:ただし売れたのは75年のシングルバージョン)、ボートラ1曲目の”Teenage Rampage”(全英2位)がヒットしました。他にも”Solid Gold Brass”、”Medussa”、”My Generation”(THE WHOのカバー)などもSWEETらしくてお気に入りです。ちなみに4th「GIVE US A WINK」のUS盤はAB面が逆で、加えて日本盤のB面は1曲多かった。それが“Fox on the run”のシングルバージョンでした。だから刷り込まれているのはコレで、装飾が施されていないアルバムバージョンには違和感があるんだね。さらにややこしいことに、今作US盤の1曲目は“Ballroom Blitz”だったりする。これまたハードロック路線の代表曲なわけだから、そうなると何を買ったらいいのか迷ってしまう。2005年リマスター盤には、件の”Fox…”シングルバージョン、シングルB面曲など、素晴らしい曲(デモ音源以外は)がボートラ収録されているのですが、残念ながら“Ballroom Blitz”が入っていないときたもんだ。なんとも歯痒いでしょ?UK盤、US盤、日本盤、2005年盤、いい感じで組み合わせれば満足できるでしょうが、よーく考えて出費は最小限に押さえたいね。
#1029 / OFF THE RECORD / 1977
★★★★★

前作「GIVE US A WINK」からの流れでハードロックが板についてきた5thアルバムです。聴いた順番やら思い出やらを抜きにしたら、こっちの方が出来がいいかもしれない。“Fox on the Run”や”Action“級のキラーチューンは無いけどね、全体的なクオリティは高いと思う。元々コーラスはQUEEN風でしたが、ギターまでQUEENテイストになってる。もちろんQUEENのように曲のパターンは多くなくて”Stone Cold Crazy“方面に特化した感じね。当然グラムロックの発展型みたいな曲が多いけど色々考えられててフックがあるから飽きずに聴ける。”Lost Angels“や”Midnight to Daylight“や”Live for Today“が特にいい。ファストチューンやバラードもあって至れり尽くせりなんだけど…いくら当時はディスコブームだったにしてもだ、ラストがファンクって…やっちまったな!と思いきや、2005年盤だとコレで終わらないから大丈夫。シングルB面曲の秀逸インストが続くのですよ。ボートラは計8曲。バージョン違いとかがメインだけどね。最大の特徴である高音のコーラスは誰なのでしょう?PVで見る限りはギターかベースのどちらかみたいだが…まさかエフェクターとかじゃないよね?NITRO級に高いキーですけど(笑)
#1790 / BLOCKBUSTERS / 1973
★★★★★

初期グラムロック、バブルガム・ロック時代の集大成です。外部ライターによるヒット・シングルが聴けるお得な1枚。アルバムがあまり売れず「シングル・バンド」と揶揄されたのは、見方を変えればシングルは売れたということ。さすがに出来はいい。心をつかむキャッチ-なメロの数々も職業作曲家の手によるものと知れば幾分テンションが下がるけどね。それに加え…当初からやってるねぇ、やたらキーの高い声を含むコーラスワーク。フレディ・マーキュリーのヒントになったのは間違いなさそうだ。やがてQUEENがデビューし、追い越され、逆に追いかける形になっちゃったけども(笑) 「GIVE US A WINK」同様、ウチにある国内盤は”The Ballroom Blitz”(邦題「ロックンロールに恋狂い」からローリー寺西の原点が垣間見える強力チューン。そういえばステージ衣装も)に始まり”Hell Raiser”が続く盤で旧作や輸入盤とは違う曲数・曲順になってます。他、LED ZEPPELINの”移民の歌”の再編曲みたいな”Burning”とか、BCRの”太陽の中の恋/Summerlove sensation”の元ネタみたいな”Blockbuster”とか、カリビアンな”Poppa Joe”とか”Co-co”とか、英国の伝統を感じる”Alexander Graham Bell”とか、バラエティ豊かな楽曲が魅力的。