GAMMA
GAMMA(US/米)
#169 / GAMMA 1 / 1979
★★★★★
ロニー・モントローズがMONTROSE解散後、ソロアルバムを1枚挟んで、78年に結成したバンドのデビュー作「ガンマ生誕」です。MONTROSEは1st、2nd以降、サミー・ヘイガー脱退をきっかけに失速していった印象がありましたが、ここにきてみごとGAMMAで復活したというわけ。今回の相棒(シンガー)はデイヴィ・パティソンという人で、これがまたいいんだね。個人的にはサミー・ヘイガーより好きなタイプかもしれない。この人、後にマイケル(神)シェンカーとカバー・アルバムを出すんですね。なんとシェンカー/パティソンというユニット名でね、神と並び称されるに至るとは、さすがに想像できませんでしたな。ベースはMONTROSEの盟友アラン・フィッツジェラルド。キーボーもMONTROSE(前出ソロアルバムにも参加)で、ドラマーは知らない人。つまり3/5がモントローズってこと。このアルバムも、師匠経由(度々登場するこの時代の王道の音源入手ルート。中学時代はそこまでHRを聴いたわけではなかったから、いや聴いてはいたがレコードを買うまでには至っておらず、高校に入って師匠と交流を深める中、中学時代にリリースされた作品を改めて学ばせて頂きました)でダビングしたカセットテープをよく聴いたからね、どの曲もよく覚えています。80年代を予見したかのようにシンセが幅を利かせている点、当時はイマイチだと思ってましたが、ディレイ際立つ”Razor King”とか、妙なインストナンバー”Solar Heat”から続く”Ready for Action”、6分超のエンディング曲”Fight to the Finish”あたりはお気に入りでした。MONTROSE時代と同様に、カバー曲が2曲含まれている。ホリーズの”I’m Alive”はポップチューンですが、「PAPER MONEY」の轍は踏まず、オープニングじゃなくて良かった。学習したね。”Wish I Was”は女性カントリー・シンガーのカバー、原曲は知りませんが、かなりアレンジされているのでしょうね、全く違和感なく収まっています。プロデュースとエンジニアはケン・スコットという大御所。ビートルズ作品のアシスタント・エンジニアに始まり、ジェフ・ベック、デヴィッド・ボウイ、エルトン・ジョン等の大物の作品を、主にエンジニアとして担当しました。ちなみに今作と同年にはDEVOの2ndも手掛けている。さて、パティソンのように長きに亘り現役を続けるシンガーがいる一方で、訃報も後を絶ちませんね。還暦世代が聴いてたバンドだから当然の帰結ではあるけれど…。そんな時は遺された作品を聴いて〇〇祭りを開催するのでした。
#374 / GAMMA 2 / 1980
★★★★★
デビューアルバムの延長線上にある2ndアルバムなのでコレもグッドです。リズム陣が交代しましたが特に問題なし。ベースは、ロニーがプロデュースしたバンドの人。ドラマーには元MONTROSEで、後にHEARTで有名になるデニー・カーマッシ。やっぱこの頃のロニーがいいね。シンガーのジェイミー・パティソンも派手ではないが素晴らしい。そもそも好きな部類の声質だし、歌い回しはフィル・モグ(UFO)に似ており実に味わい深い。ちなみに、1stと2ndは同時に聴きました。師匠に借りたカセットテープが例によってSONY C-90だったから、まとめて録ってあったというわけ。コピー候補のチェックだったのかな。結局やらなかったけど、一時的にヘビーローテーションだったゆえ、ほとんどの曲が刷り込まれている。”Four Horsemen”の強力なイントロや、”Dirty City”のサイレンみたいなシンセ?、ラストの”Mayday”あたりは鮮明に覚えています。パティソン節を堪能できる”Voyager”もいいね。ロニーの指示でしょうか、”Skin and Bone”のソロを筆頭にシンセも大活躍している。当時は知らなかったジャケットがまたいいじゃないの。1stもいいけどこの2ndは秀逸ですな。3rdのジャケがショボかっただけに余計にそう思う。残念なことにGAMMAも、MONTROSE同様3rdで失速しました。どうしても違うことがやりたくなっちゃうらしく、ソロ作品も含め作品の出来にバラつきがあるロニー様でした。
#1806 / GAMMA 3 / 1982
★★★★
ロニーらしい曲もあるっちゃあるけど、すっかり毒気が抜けてしまった印象の3rdアルバムです。今回キーボーがチェンジしてます。まあジャケを見てもらえばね、ある程度察しがつくとは思いますが、この変容(ポップ化)はMONTROSE時代と同じじゃないか!恐らくではありますが、ロニー本人の意思ではない、いわゆる大人の事情があったのかも知れないね。この微妙な売れ線ロックアルバムを最後にGAMMAは解散して、ソロ活動にシフトします。2000年にはGAMMA 4(未聴)をリリース。そして2012年、64歳のときロニーは自殺しました。前立腺癌を患ったことに加え、うつ病の悪化が原因とされています。シンガーのジェイミー・パティソンは…ロビン・トロワ-のバンドを中軸に、ロニーのソロなんかも手伝いつつ、2004年にマイケル・シェンカーと合流、素敵なアルバムを2枚リリースしています。