FOCUS
FOCUS(Netherland/蘭)
#27 / HUMBURGER CONCERTO / 1974
★★★★★★★★

個人的に大好きな1枚です。ユーロプログレの大傑作だと断言してしまおう。マジで好きだわ~。16歳の記憶が鮮やかに蘇るんだよね。そもそもは某ラジオ番組のプログレ特集でタイトルチューンの超大作をエアチェックしたのがきっかけでした。後に他の曲もいくつかエアチェックしたのかな。オランダのバンドだったと知るのは後のこと。この5thアルバムはクラシカルな要素の比重が高めなところがいいですね。イタリア代表がPFMならオランダ代表はこのFOCUSで決まり!FOCUSと言えばもちろん第一に“悪魔の呪文”が思い浮かんでしまうけれど、今作には収録されていませんので、念のため。むしろこのアルバムにアレが入ってちゃダメだと思う。コンチェルトが台無しになっちゃうからね。良くも悪くもジャジーな要素が希薄なのは、タイス師匠が主導権を握ったアルバムだからでしょうか。いや、プレイは控えめながらアッカーマン先生も曲作りには関与してるね。結局はこの2人によってFOCUSの音が形成されているのは間違いない。要は比重の問題なのね。この時期のプログレは驚くほど充実してますね。プログレは70年代前半が全盛期で間違いない。イギリスで生まれた前衛音楽が世界に広がる様子は感動的ですらあります。ちなみにこの年…イギリスではCAMELが、イタリアではPFMが、フランスではANGEが、スペインではCANARIOSが、そして我が日本では四人囃子が名作をリリースしているんですね。地球は1つ!世界に広げようプログレの輪!ところが…第4次中東戦争が勃発。それに連動して起こった石油危機。これをきっかけにしてプログレ黄金期は間もなく終焉を迎えるのでした。短い春だったね。プログレはまずこの時代から聴き倒していきましょう。蘭産ながらFOCUSの音はメジャー級なので外せませんぞ。
#456 / AT THE RAINBOW / 1973
★★★★★

母国オランダで9位(全英23位)を記録したフォーカスの初ライブアルバムです。リリースのタイミングは「フォーカスⅢ」と「ハンバーガー・コンチェルト」の間で、音源はロンドンのレインボウ・シアターでのライブ、ゆえにat the Rainbowということ。昔の実況録音盤なので収録時間は短く、今では考えられない40分ちょい。収録曲も、まあ代表曲は押さえているものの、大好きな「Hamburger Concerto」がリリースされる前だから、個人的に物足りなさを禁じ得ない。11分半に及ぶ2曲目は、タイス・ヴァン・レアのフルート、ヤン・アッカーマンのギターを堪能できる大作なのですが、ちょっと飽きちゃうね。コレを削って何か2~3曲差し替えてほしかった。ゆえに、素晴らしいライブとは言い切れないかな。ハイライトはもちろん、バンドの代名詞であるヒット曲”Hocus Pocus/悪魔の呪文“と”Sylvia”でしょう。しかも、”Sylvia”のあとに”Hocus Pocus(Reprise)”(冒頭部分が”Hocus PocusⅡ”仕様)が配置され、サンドイッチ状態になっている。かなりテンポが速い”悪魔の…”におけるタイス師匠の歌唱は驚異的です。ライブでもヨーデルおじさんは健在というか、やっぱ凄え!それに引き換えアッカーマンのギターは雑だよね。ジャジーなプレイでキメてるつもりかも知れませんが、何だかグチャグチャなんですけど。”シルヴィア”のプレイもたどたどしい。もしやあまり上手くないのでは!? やはりタイス師匠のバンドなんだってことを実感しました。
#553 / MOVING WAVES / 1971
★★★★★

実質的な1stという見方が一般的な2ndアルバム(元々の蘭盤は「FOCUSⅡ」というタイトル)です。70年にデビューアルバム「FOCUS PLAYS FOCUS」をリリース後、タイス・ヴァン・レア(現在はタイス・ファン・レール表記)と反りが合わなかったヤン・アッカーマンは脱退します。しかしレコード会社に懇願されたアッカーマンは、旧知のリズム隊をメンバーにすることを条件に再びタイスと合流、そして制作されたのが今作という経緯なのね。ある意味アッカーマン主導のFOCUSサウンドとなり、ボーカル曲が1曲しかないほぼインストアルバムにもかかわらず、全英2位/全米8位を達成しました。これはこれで稀有な存在だよね。何はともあれ、オープニングにシングルヒットした“Hocus Pocus/悪魔の呪文”を収録したアルバムです。「呪文」がヨーデルとは意外過ぎましたが、それ以上に驚かされたのはタイス師匠の素晴らしい歌唱、アッカーマンのハードなリフに負けないインパクトがある。中盤の展開ではヨーデルではない奇妙な歌唱も披露、続けてフルート演奏とタイスの独壇場だ。圧倒的なハードロック寄りの名作プログレチューン。アナログB面には23分の大作”Eruption”を収録。タイス師匠の小品を中心に構成されています。収録全5曲中、タイスとアッカーマンの共作が1曲、アッカーマン作が2曲、タイス作が2曲という構成に落ち着きました。この後、傑作プログレ作品「ハンバーガー・コンチェルト」を最後に微妙な路線にシフトしてしまったフォーカス。更にはアッカーマン脱退となればもはやフォーカスにあらず。というわけで、結局「ハンバーガー…」以前のアルバムを聴くしかないのだよ明智君。
#1066 / FOCUSⅢ / 1972
★★★★

タイトル通りの3rdアルバムです。コレはあまりハマらなかったアルバムです。冒頭3曲まではいい感じなんですがね~。オープニング“Round Goes the Gossip”は“悪魔の呪文”風で良いです。タイス師匠の面目躍如といったところ。で一番好きな2曲目“Love Remembered”はアッカーマン先生の真骨頂で、雰囲気重視のメランコリックプログレだ。続く3曲目はインストのくせにヒット曲という、あの有名な“Sylvia”が収録されております。タイス師匠のヨーデル風ヴォイスも顔を出すので微笑ましい。まあ楽しいインストの代名詞でしょう。でここから後半の大作に向かっていくのですが…悪くはないんだけどさあ、アッカーマン先生のジャジーなギターは個人的にどうでもいいんだよね(笑) 26分超の大作なんてさあ、KING CRIMSON流の即興音楽という感じ。そういうのがやってみたかったのでしょうが、クラシック要素が勝っているフォーカスの方が好きだな。