TAI PHONG
TAÏ PHONG(France/仏)
#73 / TAI PHONG / 1975
★★★★★★

マサ伊藤(マサ斉藤ではない)が押して押して押しまくって無理やり「伝説」にした感が否めないフランス産ベトナム風味のプログレバンドです。確かに驚愕のデビューアルバムではありますね。もう何はさておき“Sister Jane”一発で勝負アリですよ。美しくも哀しいメロディをハイトーンで歌い上げております。PAVLOV’S DOGのデビッド・サーカンプとカブってるかもしれませんが、まああそこまでヒステリックではないかな。声は震えてないし(笑) コーラスが入ってる点も違うね。どちらがプログレかと問われれば…圧倒的にこちら。テクニカルなところはひたすらテクニカル。動と静のコントラストがまた素晴らしいんですな。ANGEに代表されるようなフレンチプログレっぽくないところもいい。続く2ndアルバムも同一路線(プログレ度は増加?)で名盤ですよ。“Sister Jane”的な曲もあり、その辺は抜かりなしでございます。ところが続く3rdは、これまたPAVLOV’S DOG同様微妙な出来栄えなんだね。いい曲はあるんだけどねってパターンだな。こうなると当然ジャケもヤバい。不思議なくらいPAVLOV’S DOGと同じ道を辿ってるな~。やっぱりジャケにメンバーショットは、特にプログレというジャンルに於いてNGなのでした。それは最早プログレの定義から外れてしまうのである。
#286 / WINDOWS / 1976
★★★★★

1st「恐るべき静寂」に勝るとも劣らぬ名作2nd。とにかくタイフォンは最初の2枚を聴けばよろしい。前作のアルバムカバーに着色してみました、みたいなジャケも魅力的。想像力を掻き立てられるでしょ?ベトナムとフランスのハーフの兄弟、ポーランドとドイツのハーフ、他2名というインターナショナルなプログレバンドです。
1)ベトナムとフランスの関係
ベトナムはインドシナ半島にある南北に細長い国だね。そりゃあ原付で縦断するなんて無茶なわけだよ大泉君。アメリカがベトナム戦争を起こす前にはフランスがインドシナ戦争をした歴史があるんだよ。フランス領インドシナっつーくらいだし。
2)ポーランドとドイツの関係
ナチス(ヒトラー)によるホロコーストという悲劇でつながってます。アウシュヴィッツ強制収容所はポーランドにある負の世界遺産です。
#1115 / LAST FLIGHT / 1979
★★★★

主要メンバーが抜け、すでに解散状態で作られた3rdアルバムは、脳天気なジャケ(EL&PのLOVE BEACHが思い出される)からもわかる通り“Sister Jane”な内容じゃありません。ハイトーンヴォーカルが聴けるオープニング曲はいいけどね、全体的には微妙な内容と言わざるを得ないな。最初の2枚でハードルが上がっちゃってるからね、アルバムそのものの出来はともかく、期待外れと感じた人が多いでしょう。しかも1stや2ndとは違ってリアルタイムで聴いてないわけ。長い年月をかけて刷り込まれた旧作、そしてやはり長い時を経て膨らんだ新作への期待感に対してこの内容だとね…勝負にならんでしょう。3曲目の超変化球は好印象。テーマに反する陽気な曲調が逆に不気味で楽しめました。