VAN HALEN
VAN HALEN(US/米)
#5 / VAN HALEN / 1978
★★★★★★★★★
驚愕のライトハンド奏法でギター革命を起こしたエドワード・ヴァン・ヘイレン。インギーの登場と並び称されるHRギターの一大事件でした。最初はどうやって弾いているのかさえわからなかったんだよ。デビュー前のLIVEでは観客に背を向けて手元を見せなかったらしい。「ロックおもしROCK」で恭司先輩が得意気に解説&披露していたのが思い出されます。そして2枚看板の片割れ、ダイヤモンド・デイヴの唯一無二のファルセット。あの声だか何だかわからないようなキーの奇声も結構な衝撃でした。地声も個性的でいい。加えてマイケル・アンソニーを中心にしたコーラスワークも新鮮だったな。このデビューアルバムで確立したオリジナリティは、すでにメジャー級のVAN HALENブランドですよ。最初に聴くべき1枚は、強烈にドライブするギターサウンド満載の奇跡のデビューアルバム「炎の導火線」で間違いない。あんな変テコなギターから繰り出された音とは思えないし、何よりほぼ一発録りらしいじゃないか。エアチェックして凄いと思い、速攻でレコードを買いました。ちなみにそのエアチェックカセットテープの片面にはQUIET RIOTが録ってありましたな。そんな時代です。それから13年後、VAN HALENのコピーバンドとして「緑化祭」のイベントに参加しました。苗木の無料配布や戦隊ヒーローのショウが目玉企画で、それにバンド演奏が加わった感じ。ゆえに後付け企画のバンド部門は2年で終了しました。近所から苦情があったためという理由で。そりゃあね、アマチュア・バンドの聴きたくもない音楽だからごもっとも。出演時に演奏した曲はすべてこのアルバムからチョイスしたんだよ。メンバー全員が知っているから話が早かったんだね。“Runnin’ with the Devil/悪魔のハイウェイ”、“You Really Got Me”、“Ain’t Talkin’ ‘bout Love/叶わぬ賭け”、”I’m the One“、”Little Dreamer“、”Ice Cream Man“の計6曲。”暗闇の爆撃“も師匠は当時弾けてたからできたけどね、完璧とはいえないので躊躇したのかも。最後には雨が降り出したっけ。スタジオ練習が1回だったにしてはまずまずの出来でした。リズム隊も高校の同級生。別団体の別バンドだったけれど、その後もそれぞれが細々とバンド活動を続けていたからこそだね。1回合わせりゃ大丈夫という自信があったのさ。ちなみに翌年は、ツェッペリンやらユニコーンやら織り交ぜた統一感のない選曲だったのはさておき、”Achilles Last Stand/アキレス最後の戦い”を選んだのは間違いでした。結局10分超の曲構成を誰も正確に覚えておらず、グズグズになってしまった。この時は数回スタジオ練習したんだけどね。
#66 / VAN HALENⅡ / 1979
★★★★★★★
何しろデビューアルバムが凄かったからね、期待に胸を膨らませ速攻で買った2ndアルバム「伝説の爆撃機」です。それにしてもこの邦題はどうなの?デビュー作収録の”暗闇の爆撃”に引っ張られてるよね?ジャケなんて輪をかけて手抜きでしょ。VAN HALENのジャケは総じて気合が足りないってかあまり金をかけていない気がする。誰も気にしなかったのかね。さて買ってはみたものの、当時は「微妙…」と思いました。期待していたものと違う。ハードさが減ったというか、整合性を敢えて無視したというか、まあ結局のところこれがVAN HALENの本当の魅力だったわけなんだけども。キッチリしすぎず、適度にラフなスタイルが本来の姿。微妙とは思いつつ依然としてインパクトはありました。今作のエディ印ギターインスト曲は“Spanish Fly”で、エレキではなくガットギターを使ってのライトハンド奏法ですよ。そうきたかってなもんでもうびっくりさ。加えてDD(ダイヤモンドデイヴ)の例のファルセットがね、1st以上に炸裂してるのがうれしい限り。1曲目にリンダ・ロンシュタットのヴァージョン(74年)が有名なカバー曲“You’re No Good/悪いあなた”を持ってきちゃうあたりが自由というか、デイヴの好きな古き良き時代のアメリカを髣髴とさせるR&B。”Dance the Night Away/遅りあかそう”、”Beautiful Girls”といったシングルヒット狙いの楽曲も収録されて、これが思惑どおりヒット。そして“Somebody Get Me a Doctor”のような、前作を受け継ぐハードな曲もしっかり残して抜け目なし。アルバムの締めくくり”Beautiful Girls”に至るまで、今聴くと絶妙な流れです。2枚目にしてVAN HALENブランドと呼べる独自のサウンドが確立されました。個人的には3rdまでしかレコードを買わなかったけれど、結局のところDDが抜けるまでは、エディもアルバム毎に必ず新技を披露したりして、変化はあれどいいアルバムを作っていたと思います。
#217 / WOMEN AND CHILDREN FIRST / 1980
★★★★★★
これまた速攻でレコードを買いに走った3rdアルバム「暗黒の掟」です。全米6位を獲得しました。今回も邦題は「○○の△△」パターンですが、3枚目にしても未だ意味不明。「女性と子供ファースト」が「暗黙の了解」くらいならまだしも「暗黒の掟」とはね。「炎の導火線」があまりにも衝撃的だったから、前作での変化をイマイチと感じたものの、エディの新技は気になったし、また1stの路線に戻る期待もあったから迷わず購入。そもそもデイヴが好きだったしね。ところが今回は、デイヴお得意のカバー曲がありません。“Take Your Whiskey Home/ウイスキー・ロック”は例の雰囲気だからカバーだと思いきや、オリジナルなんですと。基本的には2ndのスタイルだと思うけれど、デイヴの陽気?なカバーが無い分ちょっとダークな印象で、当時は正直がっかりしました。大枚叩いて買った手前、意地になって聴いてた感じ。前作に続いて収録時間の短さ(30分ちょいなのよ!46分テープが余る余る)も気に食わなかったな。そういうこともあって…遂に4thは買いませんでした。ちなみに4thも収録時間が短い。もちろん今では大好きなアルバムになってますよ。デビュー作のように洗練されたものではなく、自然体のパフォーマンスだね。レコーディングに費やす時間がなかったのかもしれない。それでも、誰が聴いたってVAN HALENであり、3枚目にしてすでにブランドが確立されています。1曲目の”And the Cradle Will Rock.../ロックン・ロール・ベイビー”(シングル曲全米55位)から、”Everybody Wants Some!!”、”Fools”、”Romeo Delight”、短いインスト”Tora! Tora!”からの”Loss of Control/理由なき暴走”、前出”ウイスキー・ロック”、ブルース調アコギ曲”Could This Be Magic?/戦慄の悪夢”、”In A Simple Rhyme”まで、あっという間に聴き終わってしまいます。結局エディの新技はなかった。強いて言うならアコギか?”ウイスキー・ロック”序盤のぶっ飛び具合とか、”戦慄の悪夢”のスライドギターとか。とりあえず楽曲はVAN HALEN以外の何者でもないし、デイヴのファルセットも聴けるし、サミー・ヘイガー加入前の作品はすべて聴きましょう。
#342 / FAIR WARNING / 1981
★★★★★
これまでの3枚はレコードを買っていたVAN HALENでしたが、収録時間が30分くらいだったから、これ以上損するものかと思って(笑)購入を見送った4th「戒厳令」です。デビューアルバムが色んな意味で強力すぎたから、2nd、3rdと作品を重ねるごとに少しずつパワーダウンしてる印象を持ってたのも買わなかった一因ではある。とはいえ売上枚数が最低らしい今作でも、全米5位のダブルプラチナム・アルバムなんだけどね。4枚目にして初めてアートワークと呼ぶに相応しいジャケットになりました。カナダの画家が1953年に描いた「The Maze」という作品の一部とのこと。貸しレコード屋で済まそうと思っても、どういうわけか地元の「友&愛」には置いてなくてね、友だち経由でも回ってくることはなく、こうなると縁がなかったとしか言いようがない。エアチェックして何曲かは聴いてたけれど、アルバム丸ごと聴いたのはCD化された後でした。よって他のアルバムに比べると、聴いてきた回数は圧倒的に少ないわけ。今回のエディ先生による新技は、1曲目“Mean Street”(全米12位)におけるスラップ&タッピング奏法でした。同じくシングルカットされた”Unchained”(全米13位)や”So This Is Love?/これが愛だって”あたりが有名かもしれませんが、個人的にはどの曲もVAH HALENらしく、手放しで楽しめる。やっつけ仕事感は否めないでしょうが、これまであまり聴いてこなかったのが逆に良かったのかもしれない。大袈裟に言えば、当時のメンバーによる新譜を聴いているような感覚があるからラッキーだと思う。”Dirty Movies”、”Sinner's Swing”も好きだし、不穏なベースサウンドの”Sunday Afternoon in the Park”でさえ愛おしい。デイヴの歌唱(例のファルセットも)、エディのギター、マイケル・アンソニーを中心としたコーラスワーク、すべて健在です。今回もカバー曲がないね。やっぱ、使用料を支払ってでもスタンダードナンバーのカバーを入れないと、デイヴの魅力が活かしきれないと思うけど。
#480 / DIVER DOWN / 1982
★★★★★★
全米3位を記録し更なる成功への足がかりとなった5thアルバムです。が、これもリバウンドと言うのかな?「暗黒の掟」と「戒厳令」で封印したカバー曲が大復活しています。ロイ・オービソンの“(Oh) Pretty Woman”(全米12位:US Main-ロックチャート1位)をはじめ、カバーが12曲中5曲を占めるアルバムになりました。その他は、”You Really Got Me”に続いて2度目となるKINKSのカバー”Where Have All the Good Times Gone”や、マーヴィン・ゲイの”Dancng in the Street”(同38位:3位)に加え、何と1924年のスタンダード・ナンバー“Big Bad Bill”(エディのパパもクラリネットで参加)までカバー。楽しそうではあるけれど「限度があるだろ」と思う反面、これによりデイヴ風味が増したのは確かであり、個人的には前作より楽しめました。デイヴが歌えばカバー曲もVAN HALEN印になるってのが良くわかるアルバムです。後の脱退の原因は、このアルバムがきっかけではなかろうかと思ってしまう。その気になれば一人で出来ますけどみたいな。小品が多く細切れ感も気になる中、今回のエディの新技は”Cathedral/大聖堂“でのボリューム奏法でした。そして”Little Guitar“(Intro)では、”Spanish Fly”以来のスパニッシュギター?を披露しています。やはりデイヴとエディの両雄が揃って俺たちのVAN HALENなわけで、いくら元MONTROSEとはいえ、ボーカルがサミー・ヘイガーに代わってからはすっかり聴かなくなってしまいました。それどころかヴァン・ヘイガーと皮肉を込めて呼んでいた始末。その頃に、楽器店にピックアップを探しに行った際、ディマジオだかダンカンだか忘れてしまいましたが、VAN HALENに加入したサミー・ヘイガーが使っているとかで勧められたモデルがありました。ギターも定評があることを知らなかったもので、何故サミー・ヘイガー?と思ったよね。
#637 / 1984 / 1984
★★★★★★
黄金時代(デイヴがヴォーカル)最後のアルバムとなった6thです。“Jump”や“Panama”や“Hot for Teacher”がMTVでガンガン流れてたね。キーボードの使用が新味ですね。派手なデイヴが躍動するいいアルバムだと思います。最終的には1000万枚売れたんだってさ。ダイヤモンド・デイブでダイアモンド・ディスクだ!しかし…売れたのと引き換えに?俺たちのVAN HALENは突如終わりを告げたのでした。「5150」も聴いてはみたけど…MONTROSEの彼は好きだったけど…やっぱり違うんだよね。デイヴもさあ、ちょっと我慢してVAN HALENに留まっていれば、今以上のモンスターバンドになっていたと思うし、モンスターアルバムを作っていたかもしれないよね。「1984」の路線であと1枚作っていれば…なんて思ってしまう。デイヴにとって大きすぎる分岐点だった。人生とはそういうものなんだな~。後悔ばかりさ。それにしても、待てど暮らせどデイブ復帰のニュースが聞こえてきませんな~。後ろ回し蹴りができるうちに復活の1枚を熱望します。
※2012年復帰アルバムリリース!
#1005 / A DIFFERENT KIND OF TRUTH / 2012
★★★★★
30年近くの時を経てようやく戻ってまいりました。いやあ、長かったけどマジで実現したね。エディの息子(ベース)の功績なんだろうか?多少の違和感はあるものの…概ねあのVAN HALENブランドの音です。ファンキーな曲もあり、デイヴ好みの曲もあり、エディお得意のリフを持つ曲もあり、歳の割にはアップテンポの曲もあり、素晴らしい復活作になってます。個性的なデイヴの声は健在なれど、さすがに悲鳴系ファルセットは使っていません。というか使えなくなったのかもしれない。代わりに導入された新機軸は真逆の低音ディープヴォイス。声そのものが魅力的だから何をやってもハマるんだな。エディのプレイもエディそのもの。特にオープニングの“Tatoo”では意識して当時のソロを凝縮したようなプレイで昔からのファンへのプレゼントだ。ただし、流麗すぎて当時のいい意味でのラフさは感じません。アレックスも昔のままの音で安心しちゃう。いちばん変わってないのはアレックスかもね。こうなると…唯一欠けているマイケル・アンソニーの高音コーラスが最大のマイナスポイントってことになっちゃうね。次回作はあるのかな。期待してます。
#1818 / 5150 / 1986
★★★★
2020年10月6日エドワード・ヴァン・ヘイレンが亡くなりました。65歳。20年以上前から癌と付き合いながらの生活だったのでしょうか。この世代が逝ってしまうのはショックです。というわけで、デヴィッド・リー・ロスに代わって元MONTROSEのサミー・ヘイガーが加入した7thアルバムです。正直なところリアルタイムでは聴かなかったのね。音楽性の変化に疑問を感じていたところにデイヴの脱退となったからね、後任がサミー・ヘイガーであってもレコードに手が伸びなかった。後にCDは購入したものの、1回聴いて「やっぱりね」と見切りを付けたような気がする。そして今回、何を紹介しようかと久しぶりに聴いてみたら…それなりにいいじゃんか。エディは変わらず、さりげなく革新的なことをやっているし、VAN HALEN印の音楽であることに間違いはない。デイヴ特有のゴージャスな雰囲気がなくなったのが最大の差かな。それでもサミーは頑張ってる。何ならモントローズ時代より凄いかも。これまで聴いたことがない高いキーの曲もあるし、ロス・ロス(笑)を払拭するに足る歌唱だと思いました。いや、今はエディ・ロスなんだけども。「炎の導火線」から順に聴いてるよ。
#1913 / ATOMIC PUNK / 1994
★★★★
掟破りは重々承知の上…ブートレグ盤です。翌年にデビューを控えた77年10月の貴重な音源(1stアルバムのレコーディングはこのライブの1か月前に終えていた模様)ということで、ブートの中では有名な1枚らしい。正式にリリースされている実況録音盤は2作品。一つはサミー・ヘイガーだから問題外、もう一方も2015年のデイヴとなると…ブートでもいいから70年代の音が聴きたいと思うのが、衝撃のデビューをリアルタイムで体験した我々世代の願望なわけですよ。収録地はホームのLAパサデナ・シビック・オーデトリアム。当然「炎の導火線」からの曲を演ってるんだけれども、「伝説の爆撃機」に収録される”Somebody Get Me a Doctor”と”D.O.A”も演奏されている。音質は酷いし収録時間も短いが、生々しいパフォーマンスが楽しめる。エディのギターはもとより、デイヴの歌も凄い。あの特異なファルセット・ヴォイスを自由自在に繰り出す超新星が躍動する姿が思い浮かぶ。個人的にそれを上回る衝撃がマイケル・アンソニーのコーラスなんだね。キーで言えば、デイヴのファルセットとタメを張るくらいの高音が出てる。これを聴くと、スタジオ作品のコーラスは余裕綽々でこなしていたのだろうと推察できる。デイヴの声質とは違う正統派の高音だから同じキーでも圧が強い。デイヴが客を煽るファルセットが記憶にあるのだが、このライブには入ってなかった。あれは何の音源だったのか?当時エアチェックしたものだったのか、別のブート盤か。78年中野サンプラザの音源とか…。