TESTAMENT
TESTAMENT(US/米)
#349 / FIRST STRIKE STILL DEADLY / 2001
★★★★★
デビュー当時から名前は知っていたものの、レコードを買いもせず借りもせず、CD時代に突入するまでフルに聴いたことはなかったスラッシュメタルバンドです。METALLICAみたいな音楽生ならMETALLICAを聴いときゃいいやと思っていたわけ。その後、中古や新品を交えつつスタジオアルバムを全て聴いた結果、METALLICAとは違うことにに気付くのでした。1st&2ndの録り直しという反則っぽい作品ですが、コレをイチオシとさせて頂きます。オリジナルと比べると(全くの別物だから比べるのは無意味)迫力がケタ違い。ドラムの音が軽くないところがいい。全編キレッキレだし、オリジナルとはアレンジも違っている。リ・レコーディング・メンバーは、チャック・ビリー、アレックス・スコルニック、エリック・ピーターソンとここまではオリジナルですが、2曲でスティーブ・ゼトロ・スーザ(EXODUS)が歌っております。スーザはEXODUSに加入する前にTESTAMENTに在籍していました。よって1stアルバムのほとんどの曲にクレジットされてるんだよ。ベースはSADUSのスティーブ・ディジョルジオ、ドラムは元EXODUSの「LOW」でも叩いていたジョン・テンペスタ。要するに最強の布陣。ちなみにTESTAMENTのドラマー変遷は凄いです。ジーン・ホグランとかデイブ・ロンバードとかポール・ボスタフとかスラッシュ畑の達人ばっかなんだぜ。そこだけに注目しても楽しんで聴けると思う。EXODUSみたいに「Bonded by Blood」級の伝説の1枚があれば音質は度外視でそれを推すところだけどね。ちなみにその「Bonded…」の録り直しである「Let There Be Blood」も素晴らしい。BIG4(スラッシュ四天王)に次ぐ存在はEXODUS、TESTAMENT、DEATH ANGELあたりだと思うのですが、皆さんはいかがですか?
#623 / THE LEGACY / 1987
★★★★
METALLICA魂を受け継ぐバンドのデビューアルバムだから外せませんよね。おそらく86年の「MASTER OF PUPPETS」に倣っていると思われるスラッシュメタルです。個人的には現在のTESTAMENTの方が好きだけどそれは音質のせいでしょう。「FIRST STRIKE STILL DEADLY」の音で(メンバーは違ってもいいけど)丸ごと録り直してくれたら惚れ直すと思うんだけどね。てかすでに中途半端に録り直しちゃってるからそれは無いか。リマスターで何とかなるレベルだろうか?オリジナル・ドラマーのルイ・クレメンテだって上手だよね。よくわからないけど(笑) 結局5枚のアルバムに痕跡を残し、アレックス・スコルニック(現在は出戻ってる)とともに脱退したんだよ。ルイの後任はジョン・テンペスタ、アレックスの後任はジェームズ・マーフィでした。画期的なリマスター盤の登場を待ちたいと思います。
#943 / THE NEW ORDER / 1988
★★★★
本家の“Orion”の如きインスト曲のエンディングに至るまでMETALLICAフォロワーぶりを存分に発揮した安心の2ndアルバムです。名作リカバーアルバム「FIRST STRIKE STILL DEADLY」を楽しむためにも聴いておきたい1枚です。本家をすっ飛ばしてOUTRAGE(88年メジャーデビュー)を思い出してしまうほど(笑) 良くも悪くも88年の音だね。一応はベイエリアスラッシャーの面目躍如といったところでしょうか。なんとAEROSMITHの“Nobody’s Fault”をカバー。チャック・ビリーもやっぱり高い声が出せるんだと聴き進めたら…サビ前から1オクターブ下げやがった(笑)一気に親近感が湧いたぞチャック!この年、本家は「…AND JUSTICE FOR ALL」をリリースしてます。ちなみにMEGADETHは「SO FAR, SO GOOD…SO WHAT!」をSLAYERは「SOUTH OF HEAVEN」だよ。90年代に向けて少しずつ音楽性に変化を持たせようって時期になるのかな。SLAYER以外はスラッシュから色んな方向へ拡散するんだね。行き詰まりを感じたか?それに呼応するようにベイエリアのTESTAMENTもDEATH ANGELもドスラッシュからの脱却を図りますな。そしてめでたく不遇の90年代を生き残り現在に至ると。
#1408 / PRACTICE WHAT YOU PREACH / 1989
★★★★
EXODUSと並び称されるベイエリアスラッシャーの3rdアルバムです。改名前のレガシー時代、初代ヴォーカリストのスティーヴ・ゼロト・スーザはEXODUSに加入、チャック・ビリーを紹介したのはスーザでした。ライブ感を重視するためにリズムトラックはほとんど一発録りとのこと。そのせいだね、いまいちリズムにキレがない気がする。キレというよりタイトさかな。じゅうぶんスラッシュメタルしてるんだけどね。ドラマチックな要素も敢えて抑え気味にしたのかね。その点に関しては同年リリースのOUTRAGE「BLIND TO REALITY」の勝ちですな。世界中のMETALLICAフォロワーの争いを勝手に想定して聴き比べるのも楽しいよね。実際OUTRAGEに似た部分もあるが、お手本が同じわけだし、それはそれで楽しめるのだ。ちなみにベイエリアって観点だと、この翌年DEATH ANGELがツートップの牙城に迫るアルバムをリリースしますね。さて、面白味は少なくとも、チャック・ビリーはジェームズしてるし(笑)、アレックス・スコルニックのプレイも間違いないから、まあいいのかな。
#1657 / SOULS OF BLACK / 1990
★★★★
良くも悪くもいかにもスラッシュメタルな4thアルバム。ただ全体的にリバーブ過多でキレが伝わらず少々もどかしい。いい演奏をしているのにいまいち煮え切らないのはサウンドプロダクションに問題ありという結論です。90年ならもっとタイトにいい音で録れたはずなんだけどね。予算の問題かエンジニアの問題か。90年にリリースされた四天王、ベイエリアの有名どころのアルバムは…4/10 DEATHANGEL「ActⅢ」、6/21 EXODUS「Impact Is Imminent」、8/9 SLAYER「Seasons in the Abyss」、8/21 ANTHRAX「Persistance of Time」、9/24 MEGADETH「Rust in Peace」といったところ。やっぱ音質が劣っているように思えるのだが。そんな中、アレックス・スコルニックのギタープレイは変わらず素晴らしい。特にソロはね。ということは、リフメイカーのエリック・ピーターソンが、ジェームズ・ヘットフィールド、デイヴ・ムステイン、ジェフ・ハンネマン、スコット・イアンに迫るリフを紡ぎ出せばTESTAMENTはもう一皮剥けると思ったりする。アルバム冒頭でアコギを使うのは定番ではありますが、概ねイントロダクション的な役割であることが多い中、今作の冒頭インストは独立している感じが新鮮でした。
#1970 / THE GATHERING / 1999
★★★★
チャック・ビリーとエリック・ピーターソンのプロジェクトとなったテスタメント。今作は…リード・ギターがジェームズ・マーフィ(「LOW」参加)、ベースにスティーヴ・ディジョルジオ、ドラマーはデイヴ・ロンバードというメンツで、ミキシングにアンディ・スニープと、まさにGathering!最強と言われる布陣で制作された8thアルバムです。このリズム・コンビとなれば、そりゃあ期待が高まるわけ。結果から申しますと、ギターはアレックス・スコルニックだったら良かったなと。1曲目は期待通りの爆走スラッシュ・チューン。2曲目も”Master of Puppets”の変曲みたいな雰囲気でこれまた素晴らしい。てことは…1曲目は”Battery”の想定かな。3曲目は「そうきたか!?」ってな感じで中間部のギターソロあたりから盛り上がりを見せこれまたいい感じ。さて問題はこの後。ダークでヘヴィな世界へ突入してしまう。初期テスタメント・ファンとしては、やっぱりダメか~という思いが。戦犯はジェームズ・マーフィーだけではあるまい。皆がその世界観に共鳴した結果でしょうね。思えば同年リリースされたマーフィーのソロ(ディジョルジオ参加)もヘヴィを追求した作品だったし、デイヴのGRIP INC.にしたってそう。おそらく主役の2人もそういう志向になっていたのだ。チャック・ビリーが前作を引きずって(笑)デス声で数曲歌ってるんだよね。どこかのデスメタルバンドから助っ人でも呼んだと思いきや、クレジットがない。どうやらリード・ギターが入っているのは4曲だけ。曲の出来の良さに気付かなかったけど、1曲目も2曲目もギターソロがない!結局このメンツは今作のみ。貴重といえば貴重だが。
#2243 / THE RITUAL / 1992
★★★★
5ndアルバム「儀式」です。全米55位を記録したのと引き換えに、今作ではザクザクした
スラッシーな感覚を味わうことができません。ずっとMETALLICAに倣ってきたバンドなのはわかるけどもだ、律儀すぎやしませんかと。要するに91年に本家がリリースしたブラックアルバムの路線なんだね。OUTRAGEもMETALLICA風ではあるけれど、あくまでもクリフ・バートン時代に照準を合わせているから好感が持てる。やっぱり速い曲は外せないと思うわけ。ただし、アレックス・スコルニックにとってはこのテンポの方がいいかもしれない。御存知の通り、この手のバンドの中では異色のギタリストですが、スラッシュメタルを演るには上手すぎるんだよ(笑) 総じてMETALLICAっぽい中、殊更それっぽい#10が印象的でした。この時期になるとさすがに音質はいい。ボーカルラインをリードギターがなぞるパターンの#2(といっても実質1曲目)で度肝を抜かれた。いい意味でね。新機軸?これだけは脱メタリカって感じでいいと思う。ただね、この路線変更が仇となったか、ツアー中にスコルニック、ルイ・クレメンテが脱退、元FORBIDDENのギターとポール・ボスタフを迎えてツアーを乗り切りました。その後正式メンバーとして加入したのが、ジェイムズ・マーフィーとジョン・テンペスタなのでしたが、ここからちょっとした迷走が始まります。