森田童子
森田童子（JPN）
#187 / Good Bye / 1975
★★★★★
女性フォークシンガーの中でも異色と認識している、森田童子（名前からして只者ではない）のデビューアルバムです。きっかけは、同級生のT.H（ペキン）に、レコードを貸してもらったかカセットテープに録ってもらったか、少々曖昧な高校時代の記憶ながら、実に思い出深い作品です。ペキンの家まで（中国じゃないよ）長距離を歩いたことや、千葉の岩井での、ペキンと命名されるに至った出来事は鮮明に覚えている…ってペキンの想い出を語ってどうする!?さて、森田童子ですが、イメージとしては暗い部類になるのかな。山崎ハコあたりが比較対象かと思いますが、残念ながらハコさんの曲はほぼ知らない。なぎらけんいちが、その暗さをネタにしていた事とか、かの有名な“呪い”を知っている程度。「高校教師」という名作ドラマはご存知でしょうか。野島伸司脚本作品では、テーマ曲として古い曲（洋楽が多い）が使われます。直近ドラマではHOLLIESの”BUS STOP”が使用されました。野島の好みで選曲しているのは間違いない。同じ歳だったりするからよく分かるよ。カーペンターズ、アバ、サイモン＆ガーファンクル、クイーン等、ベタな洋楽が多いのも特徴だ。そんな中「高校教師」の森田童子は異色かもしれませんが、ドラマのイメージを決定付ける素晴らしいチョイスでした。伝説になっている？真田広之と桜井幸子の純愛にピタリと嵌っていた。テーマ曲になった”ぼくたちの失敗”はもちろん、特に“男のくせに泣いてくれた”の場面は秀逸でした。ここで使用された楽曲は2nd収録なんだけどね(笑) さて今回紹介するデビューアルバムですが、オープニングの“早春にて”からエンディングの“さよならぼくのともだち”に至るまで、いつも1枚通して聴いていたせいか、アルバム全体が一つの楽曲というイメージなのね。トータルタイムが短いゆえ、余裕で聴けちゃいますよ。とはいえ、所謂フォークとは一線を画す個性爆発盤なので、初心者には2ndか、無難にベスト盤をおすすめします。
#1383 / マザー・スカイ / 1976
★★★★★
楽曲のほとんどの編曲を石川鷹彦（元六文銭）が担当した2ndアルバムです。デビューアルバムはアマチュアに毛が生えた程度の作品（もちろん好きですよ）でしたが、今回は随分と洗練されたプロの作品という感じです。「高校教師」でリバイバルヒットした“ぼくたちの失敗”（2ndシングル）がリーダートラックのアルバムです。かのドラマであの名場面に強烈な印象を残した“男のくせに泣いてくれた”も収録。真田広之が男のくせに泣いてたよね。櫻井幸子も可愛さのピークだったなってな具合に、どうしたって「高校教師」の話になってしまうね。実はこの2ndはドラマを観てからの後追いだったりするから仕方ない。縁あって1stアルバムは聴いたけれども、当時の主食は洋楽、特にハードロックだった故なんですね。バンドを組んじゃったからさ。そうなると聴きたい洋楽が多すぎて…という「あるある」だね。なもんで、世間的な評判に反して、このアルバムには「高校教師」がらみの前出曲くらいしか思い入れはありません。そんな中、“伝書鳩”と“逆光線”はさすがに鮮烈だった。特に“逆光線”の描写はヤバいね。放送禁止でしょう。
#1579 / ぼくたちの失敗 / 1993
★★★★★
2018年4月24日、我が青春の1ページがまた亡くなってしまいました。ヒデキは63歳だったけど、65歳でも早すぎたな。想い出のアルバムは既に紹介済みゆえ、今回はベスト盤「森田童子ベスト・コレクション」でございます。野島伸司のドラマ「高校教師」で全面的に使用されたのをきっかけとして同年リリースされた作品で、おいしいところがほとんど詰め込まれています。しかしながら、もう1枚「たとえばぼくが死んだら 森田童子ベスト・コレクションⅡ」という続編があるので、ここはやはり2枚揃えたいところでしょう。個人的に懐かしいのは1stと2ndだから、それ以外のCDは持ってなくて、そんな時にコレがあると便利です。「高校教師」もDVDセットを買ったくらい入れ込んでたわけですが、ストーリーともども森田童子の楽曲が使われたことも、個人的にスペシャルなドラマになった要因かと思われます。羽村のために繭が涙を流すエンディングに「男のくせに泣いてくれた」が流れます。森田の歌詞は男目線か女目線かわからないようなところがあるからね。名場面となりました。それにしても桜井幸子は可愛かった。
