Stop thinking you can't do things and start thinking you can. Your future is whatever you make it, so make it a good one.

TAI PHONG

TAÏ PHONG(France/仏)

#73 / TAI PHONG / 1975

★★★★★

Tai Phong (320x317)

マサ伊藤(マサ斉藤ではない)がゴリ押しして無理やり伝説にした感が否めない、フランス産ベトナム風味のプログレバンドです。中心メンバーがベトナム出身の兄弟(他3名はフランス人)という変わり種なんですね。兄がVo&G、弟がVo&Bおよびギターとシンセを担当してます。驚愕のデビューアルバム「恐るべき静寂」。この恐るべき邦題はどこから?と収録曲のタイトルを探ってみると、エンディングの大作(11分半弱)”Out of the Night”くらいしかその要素が見当たらない。VAN HALENの1stだって「炎の導火線」だからね、邦題担当がアルバムを聴いた印象なのでしょう。アーティスト名がアルバムタイトルだと手腕が問われますな。ちなみにTAI PHONGは「台風」のベトナム語、TAÏ PHONGはそのフランス語表記でしょうか。というわけで、何はさておき“Sister Jane”一発で勝負アリでした。美しくも哀しいメロディをハイトーンで歌い上げている。PAVLOV’S DOGのデイヴィッド・サーカンプと印象がカブりますが、あそこまでヒステリックではないし声も震えていない(笑) コーラスが入ってる点も違うね。どちらがよりプログレかと問われれば…圧倒的にこっちですが…ハードロック要素もあります。テクニカルなところはひたすらテクニカル。動と静のコントラストがまた素晴らしいんですな。Vo&Gおよびヴァイオリン担当のジャン・ジャック・ゴールドマン、鍵盤、ドラマー、3名のフランス人メンバーの貢献度も大。ANGEに代表されるようなフレンチプログレじゃないところがいいね。ルーツであるベトナムの音楽が何かしら作用しているから!? ベトナムの音楽で真っ先に思い出されるのは「水曜どうでしょう」の原付ベトナム縦断企画でガイドのニャンさんが披露した”ホーチミン師”なんだけど(笑)、影響があるとすればやはり民謡でしょうね。続く2ndアルバムも同一路線(プログレ度は増加?)で名盤です。“Sister Jane”的な曲もあり期待を裏切らない。ところが続く3rdはPAVLOV’S DOG同様微妙な出来栄えでね、いい曲はあるんだけどってパターンかな。抜けた鍵盤の穴をゲストが埋め、サックスもゲスト参加している。国は違えど同じ時期にデビューしたPAVLOV’S DOGと似たような道を辿ってるね。



#286 / WINDOWS / 1976

★★★★★

Tai Phong windows (320x320)

ベトナムとフランスのミックス兄弟、ポーランドとドイツのミックス、フランス人2名という構成のインターナショナルなプログレバンドです。ということでまずはベトナムとフランスの関係から。ベトナムはインドシナ半島にある南北に細長い国です。そりゃあ原チャリで縦断するなんて無茶なわけだよ大泉君。アメリカがベトナム戦争を起こす前には、フランスがインドシナ戦争をした歴史があるんだよ。フランス領インドシナってくらいだから。続いてポーランドとドイツの関係。ドイツがポーランドに攻め込んだのをきっかけに第二次世界大戦が始まったわけで、ナチス(ヒトラー)によるホロコーストという悲劇でつながっています。アウシュヴィッツ強制収容所はポーランドにある負の世界遺産です。前置きは終了。デビュー作「恐るべき静寂」に勝るとも劣らぬ傑作2ndです。とにかくタイフォンは最初の2枚を聴けばよろしい。前作のアートワークを着色してみました、みたいなジャケも魅力的です。鎧武者と桜?これだけで想像力を掻き立てられるでしょ?オープニングの”When It’s the Season/憧憬と失意の季節”は、勢い重視のヴォーカル(PAVLOV’S DOGのデイヴィッド・サーカンプみたい)に度肝を抜かれますが、その後は持ち味の美しいメロが歌われる本作随一の二部構成プログレ大作。テクニカルではあるけれど適度にラフな演奏がいい。静パートの歌唱では鮮烈なツインギターが登場、ギターソロパートは美しいコーラスをバックに弾き倒すというミスマッチが新味。続く”Games”は前作の”Sister Jane”(本国でヒット)みたいなバラードでシングルカットされましたが、二匹目のドジョウは得られなかった。ボーカルの高音が切ないね。次の”St. John’s Avenue”もボーカルメインのポップス調で、この手の曲はもはやプログレ風味のミシェル・ポルナレフといった趣です。”Last Chance”はアコギとエレピをバックに巧みなコーラスを絡めたフォーク曲で、青春映画のサントラにでも入っていそうな雰囲気が素敵です。そしてラストは10分弱の大作”The Gulf of Knowledge/探究の淵”。銅鑼で始まり鳥のさえずりで終わる幻想的な曲で、序盤にアジアン(ベトナムなの中華なの?)なメロディが出てきたので期待が膨らんだのですが、思ったような展開にはならなかった。歌で締めくくられたのが救いだったな。日本盤にはこのあと3曲をボートラ収録。概ねポップス方面の曲でした。77年のシングルB面と、78年のシングル両面だそうです。



#1115 / LAST FLIGHT / 1979

★★★★

Tai Phong last flight (320x320)

主要メンバーが抜け、すでに解散状態で作られた3rdアルバムは、脳天気なジャケ(EL&PのLOVE BEACHが思い出される)からもわかる通り“Sister Jane”な内容じゃありません。ハイトーンヴォーカルが聴けるオープニング曲はいいけどね、全体的には微妙な内容と言わざるを得ないな。最初の2枚でハードルが上がっちゃってるからね、アルバムそのものの出来はともかく、期待外れと感じた人が多いでしょう。しかも1stや2ndとは違ってリアルタイムで聴いてないわけ。長い年月をかけて刷り込まれた旧作、そしてやはり長い時を経て膨らんだ新作への期待感に対してこの内容だとね…勝負にならんでしょう。3曲目の超変化球は好印象。テーマに反する陽気な曲調が逆に不気味で楽しめました。



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