OLIVIA NEWTON-JOHN
OLIVIA NEWTON-JOHN(Australia/豪)
#133 / COME ON OVER / 1976
★★★★★
洋楽を無差別にエアチェックしていた中学生時代、そのとき出会ったのが今作収録曲の”ジョリーン”と”フー・アー・ユー・ナウ”ということで、個人的にリアルタイムど真ん中のオリビアは、この7thアルバム「水の中の妖精」なんですね。突拍子もない邦題と思いきや…いやいやホントにいるじゃないか妖精が!ジャケを見て納得の素晴らしい邦題でした。71年にデビューして、キャリア的には前々作「そよ風の誘惑」あたりがピークなのかもしれませんが、やはり想い出込みだと話が違ってくる。出自はカントリー・ポップ、そこからアダルトコンテンポラリーに移行したって認識でいいのかな。オリビアはね、歌が上手いのはもちろんのこと、歌唱が自然体だから心地いいのだと思う。妙な力みが感じられない。その点、CARPENTERSのカレン・カーペンターと同じ匂いがします。独自ブランドであるところも然り。それにしても…♪ジョリーン、ジョリーン、ジョリーン、 ジョリイーーン♪ この連呼はインパクトがありました。日本人からすると、ヒゲを剃ってる感を否めませんでしたが、今では「ジョジョの奇妙な冒険 第六部 ストーンオーシャン」の空条徐倫の元ネタとして有名だったりしてね、時代は変わりましたよ。そういえば…グェスだったかな、アニメの中で前出の一節を意識した台詞がありましたね。ちなみに”Jolene”はドリー・パートン作です。これ以外にエアチェックして聴いていたのが“Who Are You Now?”(セサミストリートのテーマ曲を作詞した人が作詞)とタイトル曲(Bee Geesのバリー&ロビン・ギブ作)でした。これら3曲が1976年の想い出。他に目立っているのはトラディショナルの”Gleensleeves”とビートルズの”The Long and Winding Road”あたりでしょうか。前者は許容範囲ですが、後者はちょっと微妙かな。個人的には今作と、小学校時代に買ったドーナツ盤「みずいろの手紙/あべ静江」がリンクしてるのですが、ジャケの印象がパッと見同じだから、それだけのこと。
#307 / HAVE YOU NEVER BEEN MELLOW / 1975
★★★★★
間違いなく全盛期の1枚と言える5thアルバム「そよ風の誘惑」です。アメリカ移住後の一発目にして全米1位(タイトルシングルも1位)を獲得しました。グラミー賞はジャニス・イアンの「AT SEVENTEEN」に破れ、惜しくも受賞を逃している。ちなみにオリビアはイギリス生まれ(0歳~5歳)のオーストラリア育ち(5歳~27歳)。年齢より若く見えるルックスとカントリースタイルの音楽で知名度を上げ、そのカントリー臭を抑えた今作にてアメリカでブレイクします。その後は日本でも人気を博し、アメリカを上回る根強いファンを獲得したというイメージですね。売れ方だけを見れば間違いなくこの頃が全盛期。日本ではここから火が付いた印象なので、欧米とは少しタイムラグがあったみたい。文句なしのタイトル曲”そよ風の誘惑”(ジョン・ファーラー作で前シングル”I Honestly Love You/愛の告白”に続いて全米1位)、“Follow Me”(ジョン・デンバー作)、“Please Mr. Please”(全米1位)がお気に入りの1枚です。リンダ・ロンシュッタットでお馴染みの“It’s So Easy”も収録されていると思いきや同名異曲でした。ちなみに日本盤には”愛の告白”がボートラ収録されているのがうれしい。子供心に、初めて綺麗な外国人のお姉さんを意識したのは、女優ならカトリーヌ・ドヌーブ、歌手ならオリビアだった気がする。洋画&洋楽好きな同世代であれば、結構ベタなパターンかもしれませんが。
#503 / LONG LIVE LOVE / 1974
★★★★★
オーストラリア時代を締めくくる4thアルバム「とこしえの愛」です。全豪19位全英40位を記録。好きな1曲(想い出の1曲)のためにアルバムを買いました。その曲は“I Honestly Love You/愛の告白”なんですね。過去3枚のアルバムから編纂された北米盤「IF YOU LOVE ME, LET ME KNOW」(全米1位)からシングルカットされ、全豪のみならず、全米でもカナダでも1位を獲得しました。昔ワゴンセールで買った謎のベスト盤のタイトルが「愛の告白」だったような気がする。要するにオリビアの代表曲にして最初のビッグヒットなわけですよ。もちろんCD購入前にもエアチェック音源を聴いていました。「水のなかの妖精」あたりからラジオで頻繁に特集があって、それ以前のアルバムからの曲も交えてオンエアされてたのね。しかしこの曲に関しては、日本盤の場合「そよ風の誘惑」に収録されているからややこしい。「愛の告白」だけが目当てなら、このアルバムを買うより日本盤「そよ風…」を買った方がお得だと思う。そうなるとぶっちゃけベスト盤が一番お得ですけどね。しかしだ!ユーロビジョン・ソング・コンテストで4位に入賞した、聖歌の薫り漂うタイトルチューン”Long Live Love/青空の天使”(全豪全英11位)をはじめ、”愛の告白”以外にもいい曲がたくさん収録されたアルバムなんだなコレが。”Angel Eyes”、”Someday”、”Loving You Ain’t Easy”、”Home Ain’t Home Anymore”、”Have Love, Will Travel”、”Hands Across the Sea”など、ファンならマストです。カントリー風の明るい曲や、お得意のウィスパー・ヴォイスのラブソングだけでなく、バラエティに富んだ、この時期のオリビアらしい溌剌とした作品です。基本的に歌が上手いから安心だ。
#604 / GREATEST HITS / 1977
★★★★★
それほどの思い入れは無いけれどちょっと気になる場合はベスト盤が重宝だ。活動期間がそれなりじゃないとベスト盤そのものが存在しません(ある時はある)が、輸入盤なら概ね安いし、もしかしたら好きな曲以外にも素敵な曲が見つかるかもしれない。そしたらそれが収録されているアルバムを買ってみればいいんじゃない!? この時期までのオリビアが好きという同世代は少なくないはず。オジサンたちに限ったことじゃないけれど、想い出の曲ってくらいだから特定の曲にはその時々の想い出が込みになってるからね。条件反射的にテンション上がるのは必然ですな。同世代限定で、まあとにかく何か1枚というならコレがいいと思います。邦題は「詩小説」。正直あと4~5曲収録してほしい曲があるのだけれど、全12曲のヴォリュームだと外される曲もでてくるよね。”カントリー・ロード”が入ってないじゃないか!”ジョリーン”はどうした!? どうしてもって場合はですね、ベスト盤が2枚必要かもしれない。幸か不幸か、正規品から怪しい盤まで山ほどのベスト盤が存在するので、2枚揃えたら事足りるはず。
#745 / DON'T STOP BELIEVIN' / 1976
★★★★
あの「COME ON OVER(水の中の妖精)」と同年リリースだから個人的には必聴盤なんだね。日本における黄金時代の1枚「たそがれの恋」です。もちろんJOURNEYとは無関係。オリビアの声はいいよね。極めてナチュラルな歌唱はカレン・カーペンターの如しです。そしてカレンにはないオリビア最大の武器は囁きヴォイス。声と空気が半々みたいな歌い方をされるとゾクゾクしますな!天は二物を与えたってことだね。好きなのは先行シングルにもなったタイトル曲(ジョン・ファーラー作品)。あとは"Compassionate Man/恋する瞳”(普段使わないだけで…ケイト・ブッシュかミニー・リパートンかってくらいのホイッスルボイスを披露している。”Hey Mr. Dreammaker”の終盤でも。”ジョリーン”での高音を聴いたときからこのポテンシャルは想像できたけどね)と"Sam”と"Love You Hold the Key/若草の恋”あたりでしょうか。ラストの”The Last Time You Loved”はアカペラで始まり、やがてピアノが加わり、次々と各楽器が被さってくるという趣向で、最後はピアノと歌で締めくくられる佳曲。邦題はとりあえず「恋」を付けとけみたいな安易さも窺えますが…「恋」が似合っちゃうんだからしょうがないよね~。
#981 / LET ME BE THERE / 1973
★★★★★
カントリーチャートで初めてナンバーワンになった3rdアルバムです。リアルタイムより少々前の作品だから馴染みの曲は少ないかも。覚えているのは華々しくオープニングを飾るJOHN DENVERで有名な“カントリー・ロード”とタイトル曲くらい。昔ワゴンセールで買った怪しげなベスト盤にも、確かこの2曲が選ばれてたっけ。そりゃそうか、このアルバムからシングルカットされたのはこの2曲であり、当然オリビアの代表曲なわけですよ。出自のカントリー風味が強めなので概ね明るい印象のアルバムになってます。とにかくこの声を聴くと元気になるんだね。男声をはじめとする、おそらくカントリー畑のバックヴォーカル陣がいい仕事をしてます。そしてファンの皆様お待ちかねの癒し系囁きヴォイスは“Music Makes My Day” (オリビアと相性がいいジョン・ファーラー作品)で聴くことができます。ハリー・キャラハン刑事の名台詞「Go ahead, make my day」とは似て非なるもの(笑)。“音楽は私を楽しませてくれる”かな?イヤイヤ、こちらこそ楽しませて頂いております。Your Voice Makes Our Dayですよ。
#2022 / GREATEST HITS - JAPAN DELUXE EDITION / 2022
★★★★★★
2022年8月8日オリビアがガンで亡くなりました。73歳。訃報を知ってから暫くの間オリビア三昧で過ごしたよ。まだ紹介していないオリジナルアルバムもあるけれど、こんな時はオリビアの軌跡を網羅するベスト盤がありがたい。たくさんのベスト盤がありますが選曲は似たり寄ったり。ハズレがないとも言えるけど…家にも4枚ほどありますがね…おそらく同世代であれば”愛のテュエット”(ノリノリの佳曲。ジョンの声は予想通り高いし、オリビアの歌唱はもちろん文句なし、二人の掛け合いは最高でしょ。ジョンの台詞=歌詞を受けてオリビアが発する♪You Better Shape Up♪、オリビアに喝を入れられたジョンが発する♪I Better Shape Up♪という場面に痺れる。もちろん二声のサビ♪You’re the One(You’re the One I Want) Woo Honey♪も最高)”ザナドゥ”(ELOのコーラスによって素敵な仕上がり)、”フィジカル”(PVが懐かしい)あたりまで聴ければ十分と思うでしょ。78年映画「グリース」出演にて心機一転。ジョン・トラボルタとの劇中曲”愛のデュエット”で”そよ風の誘惑”以来となる全米1位を獲得。80年の”マジック”、ELOとの”ザナドゥ”、81年には”フィジカル”がぞれぞれ全米1位と、出自とは異なる音楽でブレイクしての全米制覇は、昔からのファンとしては何とも微妙な感情を抱いてしまうのでした。というわけで「MAGIC:THE VERY BEST OF OLIVIA NEWTON-JOHN」をお勧めしようと思ったのですが…「GREATEST HITS - JAPAN DELUXE EDITION」ってのが2枚組で出るんだって。「詩小説」と「グレイテスト・ヒッツVol.2」の合体だそうだ。そしたらこっちだね。速攻で予約したよ。収録曲の大部分がカブってるけど、どちらもオススメです。