ARTENSION
ARTENSION(US/米)
#1799 / PHOENIX RISING / 1997
★★★★
デビュー作と同じメンツの2ndアルバム。今回も曲は正統派であるものの、前作では敢えて封印していた個々の技を大々的にフィーチャーしてきた感じ。ソロ作品で妖力解放させてもらえる立場の実力者たちなれど、こうなるのは必然でしょう。筆頭はジョン・ウエストの歌唱力。オープニング曲で一級品のポテンシャルを証明します。圧巻はタイトルチューンに於けるスクリーム。この驚愕の音域は気持ちいいね。デイヴ・リー・ロスの高音ファルセットよりも、更にはSTEELHEARTのマイク・マティアヴィッチよりも力強い。同曲中で嫌というほど聴かせてくれます。だいたいこういうのは1か所か2か所に留めるものだけどね。ヴィタリ・クープリも前作とは打って変わって力を開放。弾き倒してます。ロジャー・スタッフルバッハも負けじと弾きまくり。ただし力業が多い人だからあまり印象には残るフレーズがありません。これらの出たがりな面々を確かな技術で支えるのがケヴィン・チャウンとマイク・テラーナ両名。ということで結局のところいい塩梅に纏まってるわけね。何しろ曲のベーシックな部分は普通だから…曲に凝りだしたら無敵かも。前作収録のインストとかネオクラ曲とか、このメンツでそれをやらない方が不自然だと思う。
#2241 / SACRED PATHWAYS / 2001
★★★★
ジョン・ウェストの歌唱とヴィタリ・クープリの鍵盤を2枚看板とするネオクラバンドの5thアルバムです。ご存知の通りクープリは、2024年2月20日、49歳の若さで死去してしまいました。ギターのロジャー・スタッフルバッハは変わらず、3rdと4thに参加していたベースのジョン・オンダー、ドラムスのシェーン・ガラースのリズム陣はお役御免、1st、2nd時のケヴィン・チャウン、マイク・テラーナが出戻っている。かつての歌中心のメタルから、インストゥルメンツ主導のネオクラ路線になったね。鍵盤魔人ことリチャード・アンダーソン系が想起されるネオクラ。オープニングからキーボードの嵐です。これに続く”Your Victory”は歌メロまでが北欧メタルに聴こえてくる序盤のハイライト曲。あの愛すべきヨナス・ハンソン系ヘナチョコメロなわけですが、誰からのインプットなのかね。ジョン・ウェスト本人のメロであるならば、さては北欧メタルファンだな!? ドラマチックなタイトルチューンは流石の出来、ギターのキーボーのバトルも冴えわたり、ウェストのスクリームも炸裂する。これと、ウェスト、クープリ、テラーナがコーラスで盛り上げる”The Emperor”が中盤のハイライト。終盤のハイライトは7分近いインスト”March to Ruin”で、ウェスト以外のメンバーがその力量を見せつけます。メンバーは同じだけど初期の方向性より好みだな。