中川イサト
中川イサト(JPN)
#103 / 1310 / 1977
★★★★★★★★
日本におけるフィンガーピッカーの草分けによる4th、オールインストゥルメンタル・アコースティックギターアルバム「1310(イサト)」です。ポケベルか!? いやいやポケベルが存在する以前のリリースですので。個人的には、インストなのに全く飽きない癒し系という位置付けで、今でも定期的に聴きたくなってしまいます。これまでに何度聴いたことやら。高校時代、3コ上の演劇部の先輩にレコードを借りたのがきっかけでね、親切にして頂いたにもかかわらず借りパク状態になってしまった。ところが30年の時を経てやっと返却することができたというエピソードがあったりして殊更思い出深いアルバムになりました。CDを買って以来アナログ盤の存在などすっかり忘れていたし、その先輩に会う機会も全くなかったからね、長く生きてりゃ色んなことがあるっていい例だね。そのOB(OG)会が企画されたのは東日本大震災があった年の夏でした。皆50歳前後の年齢になり、何かしら思うところがあって集まることになったんでしょうね。今さらアナログ盤を返されたところでレコードプレーヤーが使える環境にあったかどうかわかりませんが、T先輩、長らくありがとうございました。その後ヤフオクでスコアも手に入れましたよ。その時は気合が入ってたのに、結局ちょっとだけコピーしてそれっきりに。せめて1曲くらいはモノにしたいよね。聴くぶんにはとても素晴らしいアコギアルバムですが、弾くとなると難しい。弾きたい曲はさておき、まずはスローテンポの楽曲(確か先輩が、最初にコピーするなら”WALTZ”がいいと言ってた気がする)からリトライしてみましょうか。ちなみにイサトさんは、泉谷しげるをはじめとするフォークシンガーのバックなんかにちょいちょい参加してるんだよ。そういう路線のイサトさんの歌入りアルバムも持ってますが…まあそれはそれでいいけども、アコギ革命とも呼べる今作とは比べようもないのです。2022年4月7日、75歳で亡くなってしまったイサトさん、数年ぶりに聴いてみようか。
#1147 / お茶の時間 / 1973
★★★★
歌モノにも朴訥とした味わいがあるけれど、まあ可もなく不可もなくといった感じ。歌詞も素朴な風景描写が中心だ。関西アングラフォーク人脈の中で楽器が上手という点において異色の存在でしょうね。アメリカのカントリーミュージックを本気で勉強した感が漂ってます。だから、どうしたってギタープレイに注目してしまう。つまりギタリストってことなんだね。真骨頂の4曲のインストには後の「1310」に繋がるものが確かにある。“750cc Rag”(ナナハンラグ)は流石のフィンガーピッキングが炸裂してます。弾けたら気持ちよさそうだけど…コピーしたくなってコピーしてみるけど挫折する光景が目に浮かぶ(笑) ゲストに細野晴臣や中川五郎の名前あり。
#1310 / 黄昏気分 / 1975
★★★★
五つの赤い風船出身のフィンガーピッカーの草分けによるのこの3rdソロは、前作よりアコギが強調されていてグッドだと思います。テクニックの向上に伴う結果と推察されます。本人に明確なヴィジョンがあったかは分かりませんが、ギターインストアルバム「1310」製作に向っての自然な流れという気がする。その「1310」にも収録された“六番街Rag”の最初のバージョンが聴けます。完成形はアコギとバンジョーでしたが、こちらはアコギとフィドル。ラフな仕上がりで…コレはコレでいいね。ちなみに今回のインストは4曲でした。歌モノもギターのおかげで安っぽく聴こえないところがイサト先生の真骨頂。バンドを従えた“汽車汽車急げ”は陽水の“氷の世界”や“夕立”みたいで微笑ましいです。今回も細野晴臣のクレジットあり。西岡たかしの名前もあるけど、どの程度貢献しているかは不明。