MR.SIRIUS
MR.SIRIUS(JPN)
#401 / BARREN DREAM / 1986
★★★★ ★
本業は和傘屋さんのMr. Siriusこと宮武和広(主にkeyとflute)という人が中心のプロジェクトであり、このデビューアルバムおよび2ndアルバム「DIRGE」は日本プログレ界の金字塔と言われているようです。脇を固める永井博子(大木理紗:同時期にPAGEANTにも参加。その後はコーラス、ディズニー映画の吹き替え、CMソングなどで活躍)は、しっかりとした歌唱を聴かせてくれるという意味では、日本におけるプログレバンドの女性ヴォーカルの中では稀有な存在だと思う。アニー・ハズラム似の素敵な歌声を持っていらっしゃる。アニーお得意のスキャットは言うに及ばず、歌メロもアニーを意識しているのは間違いない。曲調は基本的にファンタジー系RENAISSANCEといった趣で、そこにフュージョンの要素を加えたりして抑揚を持たせている。一応シンフォプログレなのですが、静のパートを丁寧に紡いでいく感じ。日本語詞もありますが、ジャパグレを感じさせないところがポイントで、確かに欧州プログレに匹敵する出来かもしれません。個人的には分かり易いジャパグレが好きだったから、リアルタイムで聴いたとしても、いまいちピンとこなかったと思う。完成度が高いのはわかるけどね、それだけじゃないってことですよ。概ねジャケのイメージ通りのプログレが展開されているわけですが、事前にレビューを読んで好みのタイプではなさそうと思ったにもかかわらず、ゲストとして大谷レイブン(MARINO)と清水義央(KENSO)が参加しているのが目に留まり、気になって買ってしまいました。ちなみに、それほど目立ったプレイが聴けるわけではありませんが。
#1339 / DIRGE / 1990
★★★★
釜木茂一というギタリストが加わった2ndアルバムです。その効果か、前作より動と静の「動」の部分が増量しました。フュージョン系のハードロックテイストを感じられるところがいいね。アキラ先生がハードなギターを弾くPRISMの如しです。まあ問題なのは「静」のパートだな。突然切り替わるからね、コレはいただけない。もっとナチュラルに移行できんかね、と思ってしまいます。1曲目を聴いた時にはガッツポーズだったけどな~。4曲目の“スーパージョーカー”の路線で突っ走ってもいいのにね。6曲目のような大作も大いに結構。動と静のコントラストはそういうところで活かしましょうよ。「静」のパートが好きになれない理由がわかったよ。ヴォーカルでした。上手だし、それがバンドの個性だってえのは百も承知なんだが、独特なシャンソンの歌メロがどうしても好きになれない。盛り上がりようのないメロだよね。癖が凄い(by千鳥)。アニー・ハズラムのような分かりやすい歌メロで理紗さんの歌唱を聴きたかった。ヴォーカルに関しては前作に軍配を上げますが、全体的には2ndの方がいいです。