VARIOUS ARTISTS
VARIOUS ARTISTS
#341 / METAL FOR MUTHAS /1980 / UK
★★★★★★
NWOBHMの幕開けはこのオムニバスアルバム「ヘヴィ・メタルへの招待」でした。当時はコンピレーションとは呼んでいなかったよね。しかし今作に、DEF LEPPARD、SAXON、DIAMOND HEAD、TYGERS OF PAN TANG等は収録されず、GIRL、GIRLSCHOOL、TANK、TYTANも然り。登場した時期も微妙に違うし、そもそもどこまでがNWOBHMバンドなんだって話にもなるしね。これに関してはニール・ケイに決めてもらうしかない。上記のバンドが抜けているぶん、知名度がイマイチなバンドも混じっているわけですが、逆にそれが良かったように思う。適材適所とは正にこのこと、収まるべきところにそれぞれ個性的なバンドが配置され、流れのある1枚になっている。などと、もっともらしく言ってみましたが、当時は収録曲10曲丸ごとヘヴィ・ローテーションだったから、この流れが脳の皺に刻まれているだけのこと。早送り、曲飛ばしなどすることなく聴いたおかげで、全てお気に入りになりました。核はIRON MAIDENで、特別待遇の2曲(”Sanctuary”と”Wrathchild”)を収録。あとはPRAYING MANTIS(”Captured City”)、ANGEL WITCH(”Baphomet”)、SAMSON(”Tomorrow or Yesterday”)あたりが有名どころで、後にアルバムも聴いたバンドです。当然どの曲もいい出来ですが、初期テイクのラフさが新鮮な”Wrathchild”、70年代の雰囲気が素敵な”Tomorrow…”が特にお気に入り。そして、これらメジャー組に混じっているバンドもイケてるところが、今作最大のポイントなんですね。SLEDGEHAMMERなんてコレしか知らないけど、エンディングのコミカルさは忘れがたいし、ドリフのコント終わりみたいなリフ(お江戸感が漂う)なのに“Fighting for Rock and Roll/ロックンロールの戦い”というタイトルが愛おしいE.F.BANDも同様。ドラムのフィルインが気持ちいいTORD THE WET SPROCKETの”Blues in A”でさえ、この並びで聴くと心地よかったりする。ETHEL THE FROGの”Fight Back”、NUTZの”Bootliggers”はどちらもセルフプロデュースながら大健闘、特にNUTZの方は音質も良し。唯一残念なのはチープなジャケでしょうか。ちなみに、後にリリースされたパート2はイマイチでした。もちろんジャケもね(笑)
#344 / HEAR'N AID / 1985 / US
★★★★
アフリカ飢餓救済プロジェクトLive AidのHM版です。まとめ役は御大ロニー・ジェームズ・ディオ。1曲目の“Stars”以外(SCORPIONS、ACCEPT、RUSH、KISSなど)は、アルバムの体裁を整えるためのものだから、正直どうでもよろしい。その“Stars”でさえ、アルバムで聴くより映像で見た方が断然楽しいけどね。師匠にメイキングビデオを見せてもらいました。当時はこの手の企画が流行っていたから、同時に“We Are the World”のメイキングも見たね。まずはボーカルの方々ですが、総監督でもあるロニーの歌唱は流石の貫禄で文句なし。冒頭部分をはじめ、おいしいパートを担当している。高音コーラス炸裂のメタルゴッド、ロブ・ハルフォード(JUDAS PRIEST)も存在感は抜群。あとは、ビジュアルも歌唱も個性を主張しまくるジェフ・テイト(QUEENSRYCHE)、短いフレーズに個性を主張するデイヴ・メニケッティ(Y&T)、魂の叫びと形容せずにはいられないポール・ショーティノ(ROUGH CUTT)、御大にダメ出しされる(笑)ドン・ドッケン(DOKKEN)、目立ちたがりのケビン・ダブロウ(QUIET RIOT)など。超長尺のギターソロを担うのは、この企画の言い出しっぺヴィヴィアン・キャンベル(DIO)、超絶速弾きのインギー、擦り切れそうなくらいに指をスライドさせるジョージ・リンチ(DOKKEN)、とことんアーミングに拘るブラッド・ギルス(NIGHT RANGER)、いぶし銀のプレイがかっこいいドナルド・ローザ―(BLUE OYSTER CULT)、余裕綽々のニール・ショーン(JOURNEY)など、見てるだけでわくわくしちゃうよね。もちろんメタル好き限定作品です。もしメイキングビデオが入手できたなら、どれが誰だかわからないと楽しさも半減なので、しっかり予習してから見るようにしましょう。
#415 / MONSTERS OF ROCK / 1980 / UK
★★★★★
96年まで続いた世界規模のロックフェスティバル、伝説の第1回(1980年)実況録音盤です。好みもあるでしょうが、このラインナップを超える回はないと思います。会場はUKのドニントンパーク。JUDAS PRIESTを除く(残念すぎる)出演バンドのダイジェスト盤です。RAINBOWは”Stargazer”と”All Night Long”、SCORPIONSは”Loving You Sunday Morning”と”Another Piece of Meat”、それぞれ2曲ずつで格上扱い。他のバンドは各1曲ずつ、SAXON”Backs to the Wall”、APRIL WINE”I Like to Rock”、TOUCH”Don’t Ya Know What Love Is?”、RIOT”Road Racin’”が収録されました。すべて貴重であるのは間違いないとして、目玉はやはりRAINBOWでしょうね。第1の理由として、ライブでは珍しくグラハム・ボネットの調子がいいこと(笑) 第2にコージー・パウエル在籍時最後のライブであること。購入の経緯を覚えていないのですが、とにかくウチにレコードがあるのね。レンタル落ちを買ったか?無意識の借りパクか?全く記憶にない。当時レーベルの垣根を越えて作られたとかで、未だにCD化されていないようです。RAINBOWやらJUDAS PRIESTやら、バンド単体では出てるけど、ブートレグじゃないのか?ちょっと手が出ないな。もしビデオやらDVDがリリースされているなら、迷わずそちらをお勧めします。
#490 / WELCOME TO THE METAL ZONE / 1985 / UK
★★★★★
メタルマサカーシリーズをはじめとする数ある有名コンピとは何故か縁が薄く、というか近場のレコード店で済ませていたのが原因なんだけど、その怠慢のおかげで偶然出会った2枚組オムニバスアルバムです。ここで初めて知ったバンドも多く、これはこれで随分と重宝しました。MEGADETH”The Skull Beneath the Skin”やEXODUS”And Then There Were None”を筆頭に、TANK”The War Drags Ever On”、SAVATAGE”The Dungeons Are Calling”、MERCYFUL FATE”Nightmare”、Q5”Pull the Trigger”、LOUDNESS”Crazy Night”等が収録されております。その他にもEXCITER、ROGUE MALE、WENDY O. WILLIAMS、TKO、WAYSTED、BATTLEAXE、ALASKA、THE RODS、JACK STARRという国籍を問わない中々の顔ぶれでした。ちなみに、まあLOUDNESSは理解できるとして、何故かEARTHSHAKERも選出されており、収録曲はジャパメタ丸出しの“Radio Magic”だし、日本語詞だし、さすがに浮いてたね。最近でもこういう企画盤はあるのでしょうか。ちなみに当時購入した「FROM THE MEGAVAULT」「MOOSE MOLTEN METAL」「PACIFIC METAL PROJECT」等は更にマイナーなコンピでしたが、それでも重宝したな。
#1259 / SPACEWALK - A TRIBUTE TO ACE FREHLEY / 1996 / US
★★★★
知ってる曲があるからまずまず面白い。それがエースの作品じゃなく、ジーンの“Deuce”やポールの“Hard Luck Woman”であっても構わないのだ(笑) ぶっちゃけいちばん気に入っているのはジャケ。スペースマン+3PUのレスポール(チェリー・サンバースト)=エースだもんね。さて、これ以上書くことも思いつかないので参加メンバーでお茶を濁すとしよう。MEGADETHのマーティ・フリードマン、GUNS ‘N ROSESのギルビー・クラーク(G)、ANTHRAXのスコット・イアン、NIGHT RANGERのロン・ヤングとジェフ・ワトソン、SKID ROWのスネイク・セイボとセバスチャン・バック、L.A.GANSのトレイシー・ガンズ、EUROPEのジョン・ノーラム、RACER Xのブルース・ブイエ、PANTERAのダイムバッグ・ダレル、そしてエースご本人、以上です。
#1819 / TRIBUTE TO VAN HALEN 2000 / 2000 / US
★★★★
エディ追悼第2弾はこちらの豪華アーティスト共演のトリビュート・アルバム。ボブ・キューリックがプロデュースするシリーズの1枚。ヴォーカル、ギター、ベース、ドラム全てにおいて有名どころが終結。ギタリストではドゥイージル・ザッパ、レブ・ビーチ、ジョージ・リンチ、ジェイク・E・リー、ブラッド・ギルスほか、シンガーはギター陣に比べて少々見劣りしますが、ジョー・リン・ターナーやジャック・ラッセル等が参加しています。ゆえに、メインはやはりギタリストということになりそう。概ね出来はよろしいですが、全11曲(デヴィド・リー・ロス時代のみ)なので食い足りなさは否めない。個人的にはヴォーカル最優先で聴いてしまうので…特に印象に残ったのは2曲。まずは”Light Up the Sky”だね。ギターがインギーでベースがビリー・シーンという組み合わせもさることながら、感動したのはダグ・ピニックの歌唱なのね。デイヴの高音ファルセットが再現されてるじゃないか。その気になればあの音を出せる人いるんだね。もう1曲は”So Is This Love?”で、ジェフ・スコット・ソートがこれまた素晴らしい。もちろんファルセットも。只者じゃないとは思ったがジェフだったとは。通常とは違ってデイヴに寄せた歌唱だから気付かなかった。大勢が参加した作品は、まず先入観無しで1回聴いてみて、次にメンバーを確認しながら聴くのが楽しいと思うよ。
#1820 / STONE COLD QUEEN:A TRIBUTE / US
★★★★
ボブ・キューリック・プロデュースのトリビュート・アルバムです。QUEENに関しては97年にも同プロデュースで「DRAGON ATTACK」ってのが出てるから、これは第2弾ということに。どうやらフレディの没後10周年&QUEEN結成30周年という節目だったらしい。続編なので少々のメンバー被りが発生してるけど、概ね今作の方が良かった。ジェフ・テイトの”Somebody to Love”はコーラス隊のスケール感がたりないがナイス選曲。そしてグレン・ヒューズとパット・スロール・コンビによる”Killer Queen”が秀逸。面白いアレンジだなと思いつつも、この歌い方だからね、ヒューズだとは気が付けなかった。”Crazy Little Thing Called Love”のアルバート・リーはハマり役。”I’m in Love with My Car”はロジャー本人か?と思いきや、まさかのキップ・ウインガーでギターはスティーヴ・ルカサー。CHICAGOのVoが歌う”You’re My Best Friend”やトミー・ショウの歌唱でお届けする”Spread Your Wings”もいい選曲だ。”We Will Rock You”はライブヴァージョンなんだけども…キューリック兄弟は”Rock Bottom”のリフを弾いてるね。その他参加シンガーは…ロビン・ザンダー、ジョー・リン・ターナーなど。ギタリストは…スティーヴ・スティーヴンス、レブ・ビーチ、ジェイク・E・リーなど。ブライアン・メイ風味にこだわっていたのはマーティ・フリードマンとドゥイージル・ザッパでした。
#1821 / DRAGON ATTACK:A TRIBUTE TO QUEEN / US
★★★★
ボブ・キューリックのトリビュート・シリーズ、QUEEN編第1弾です。有名曲の姿を借りたゲストが個性を主張するのを楽しむ企画。”I Want It All”のロビン・マッコーリーはフレディに似た雰囲気があって意外にも良かった。ギターがクリス・インペリテリなので終盤テンポアップするパートが挟まる。”Save Me”のジェフ・スコット・ソートは素晴らしい。好きな声だからすぐにわかったよ。ANTHRAXチームの”It’s Late”もいい出来です。ジョン・ブッシュの普通声が意外といい。スコット・イアンとジョーイ・ヴェラは不似合いですが…。”We Will Rock You~We Are the Champions”の声が汚くて合わないな~と思ったらポール・ショーティノで、次に登場した”Tie Your Mother Down”を歌うレミーの声がもっと汚くて笑える。ギターがテッド・ニュージェントというワイルド・コンビ。まあレミーは歌が下手とかそういう次元じゃなくて、BOB DYLANの領域といっても過言ではないわけね。グレン・ヒューズもすぐにわかったよ。”Get Down Make Love”という渋めの選曲ですが、ヒューズの歌唱、加えてジェイク・E・リーにもピッタリの楽曲かも。マーク・ボールズとインギーの”Keep Yourself Alive”はやや期待外れかな。
#1822 / RANDY RHOADS TRIBUTE / US
★★★★
マイケル・ワグナーがプロデュース、その人脈で録られたトリビュート・アルバム。まず”I Don’t Know”のセバスチャン・バックがオジーに似ていて面白い。同じくバックとジェイク・E・リーのコンビで”Crazy Train”を。ロブ・ロックの歌唱はいかにもロブ・ロックで”Goodbye to Romance”と”S.A.T.O.”というオイシイ曲を担当。ジョー・リン・ターナーとジョージ・リンチがタッグを組む”Mr. Crowley”、同じくジョーとクリス・インペリテリによる”Over the Mountain”とベスト選曲が続きます。ジョーは”Diary of a Mad Man”も歌っているのだが…せっかくのトリビュート作品なんだからさあ、全曲違うシンガーで聴きたくないすか?リズム隊はまだしもだ、一番目立つ歌とリード・ギターは色んな人で聴きたいよね。ちなみにリード・ギターも重複してます。個人的にはその点がマイナス。しかし!それらをすべて吹き飛ばしてくれたのが山本恭司パイセンだ。与えられた楽曲は”Revelation(Mother Earth)”。当たり曲を引いたね。アコギとリズムをジェイク・E・リーが、ソロとリズムを恭司が担当。エンディングに向けてのソロパートでテンポアップするだけでもかなりオイシイところに輪をかけて、恭司節が炸裂します。骨格はランディでも恭司丸出しでカッコいい。パーフェクト!
#1823 / TRIBUTE TO AEROSMITH:NOT THE SAME OLD SONG AND DANCE / US
★★★★
今作もボブ・キューリックのトリビュート企画。比較的古めの曲が選出されている点が好印象なエアロトリビュート第1弾です。幕開けが”Back in the Saddle”ってのは最高だけど、アルバート・リーとは意表を突かれたね。そういう意味ではJefferson StarshipのVo.による”Last Child”もTubesのVo.による”Walk This Way”も同様ながら、このシリーズの貴重な人脈ゆえそれなりに出番が回ってくるのでしょう。”Sweet Emotion”はジャック・ブレイズとトミー・ショウのDAMN YANKEESチームが。”Toys in the Attic”はスティーヴン・パーシー(RATT)とトレイシー・ガンズ(L.A.GUNS)のタッグ。その他ヴィンス・ニール(MOTLEY CREW)やジェイニー・レイン(WARRANT)といったエアロ・チルドレンたちも参加しております。個人的にはTESLAチームの”Draw the Line”がお気に入り。シンガーのジェフ・キースが終盤のシャウト・パートを見事に再現しており感動しました。さてと、最後にこのアルバムの目玉です。これまでも、そしてこれからも多くのアーティストがカバーしていくであろう”Dream On”ですわ。ロニー・ジェームズ・ディオとイングヴェイ・マルムスティーンの共演。当然の如く、両名共に自分の世界観を貫き通すカバー曲になってます。
#1824 / WORKING MAN / US
★★★★★
テリー・ブラウンがプロデュースしたRUSHのトリビュート・アルバムということで、ある意味本物と言えないこともない。ただしRUSHは非公認とのこと。マイク・ポートノイとビリー・シーンが半分くらい参加。その他”YYZ”をはじめとする複数曲ではディーン・カストロノヴォとスチュアート・ハムのコンビが担当。きっとニール・パートやゲディ・リーがアイドルだったに違いない人たち。ちなみに”Red Barchetta”のリズム隊はCYNICの面々。選曲も概ね文句なし。個人的には”ヤコブの梯子”と”Natural Science”をよくぞ選曲してくれたなと。ジェームズ・ラブリエとジェイク・E・リーの”岩山の貂”も、スティーヴ・モーズとジェームズ・マーフィによる”La Villa Strangiato”もFATES WARNINGがバンドで披露した”Closer to the Heart”も、いずれ劣らず素晴らしいです。馴染みのある楽曲がテクニックお墨付きの人たちによって演奏されているとあれば当然ですけど。何かと顔を出すセバスチャン・バックでさえ素晴らしく思えます。ジャック・ラッセルとマイケル・ロメオの”Analog Kid”もよかった。その他ギタリストに、ジョン・ペトルーシやジョージ・リンチ、シンガーではエリック・マーティンやジャック・スローターが参加。
#1825 / SUPPER'S READY / US
★★★★
有名曲をタイトルに冠してマグナ・カルタからリリースされたGENESISのトリビュート・アルバムです。当然の流れでMAGELLANやSHADOW GALLERYやCAIROが参加してますね。オープニング曲の”Watcher of the Skies”はロバート・ベリー(キース・エマーソン、カール・パーマーと3(スリー)を結成した人)が自身のバンドHUSHで、名曲”Firth of Fifth”はOVER THE GARDEN WALLというバンドがそれぞれ担当。”Carpet Crawlers”は女声のバッキング・ヴォーカルが新鮮で良かった。”Squonk”はCAIROが担当。以上、個人的注目曲は90年代サウンドが微妙ながら上出来の部類。元の曲がいいからね。曲に馴染みはないけれどイイと思ったのは、「A TRICK OF THE TAIL」収録の”Ripples”と、「NURSERY CRIME」収録の”For Absent Friends”でしょうか。前者ではアニー・ハズラム(RENAISSANCEの歌姫)が、後者ではリチャード・シンクレア(CARAVANやCAMELのB&Vo)が、共に聴けばすぐにそれと分かる唯一無二の歌声を披露しております。95年だとお二人とも40代後半であり、まだまだ若い者には負けないぞって感じだね。それも今では70歳を超えている計算になるわけで…聴いてる側も等しく齢を重ねており…愕然としたりする。一瞬だけどね。
#1828 / TRIBUTE TO AEROSMITH:LET THE TRIBUTE DO THE TALKIN' / US
★★★★
ボブ・キューリックのエアロ・トリビュート第2弾は、新しめの選曲ゆえ個人的にはイマイチ。豪華出演陣とはいえ、やっぱ馴染みの曲が少ないとこの手の企画はつらい。この時代からエアロを聴き始めた世代なら問題ないでしょうがね。そんな中でも聴きどころはあるもので、例えばジェフ・スコット・ソートとクレイグ・ゴールディ(DIO)の”Cryin’”とかね。ヒット曲を好きなシンガーが歌ってりゃニコニコですわ。グレン・ヒューズとスティーヴ・ルカサーの”Kings and Queens”も然り。ダグ・ピニック(KING’S X)の”One Way Street”での歌唱は、同企画のVAN HALEN編でも披露していたデイヴ風ファルセットが聴けて楽しいし、TUBESのシンガー&リッチー・コツェンの”Rats in the Cellar”も文句なく良い。つーか原曲が好きなだけですが。スティーヴィー・サラスの”Living on the Edge”はまずまずとしてレブ・ビーチは曲に恵まれず。ジョー・リン・ターナー、ティム・リッパーあたりは何か別の曲があっただろうにと思ってしまう。特にティム・リッパーは、もう一度”Dream On”でも…というわけにはいかないよな~。
#1829 / TALES FROM YESTERDAY / US
★★★★★
マグナ・カルタ(日本盤はアポロン)からリリースされたプログレ・レジェンドのトリビュート・アルバム。よって「SUPPER’S READY:GENESIS TRIBUTE」と基本は同じラインナップ(MAGELLANやSHADOW GALLERYやCAIRO)で、そこにYESの新旧メンバー(スティーブ・ハウ、ピーター・バンクス、パトリック・モラーツ等)が参加しているのが今作の目玉です。GENESISトリビュートにも参加しているロバート・ベリーはオープニングで”Roundabout”を妙なアレンジで披露。原曲が凄すぎるからね、変化球は正解かもしれない。同じくアニー・ハズラムとスティーブ・ハウの”世紀の曲がり角”(「究極」収録)は、両者ともに流石という他ない存在感を示して美しいヴァージョンに生まれ変わっている。スティーヴ・モーズはハウのアコギ代表曲である”Mood for a Day”と”The Clap”をおそらく本家よりもスムーズに演奏。その他、元ザッパ・ファミリーのギタリストが、完コピと思わせといて中盤にブラッフォードの曲を挟み、エンディングには”燃える朝焼け”のフレーズをくっ付けた”Siberian Khatru”を。CAIROはオリジナルに忠実に”South Side of the Sky”を。リック・ウェイクマンの息子のライヴバンドによる短縮版”Starship Trooper”はシンガーの存在感が凄かった。4 NON BLONDSのリンダ・ペリーみたいに聴こえる声の主は、どうやらTHRESHOLDのダミアン・ウイルソンという人らしい。聴きどころが多々ありの好トリビュート作品でした。本家が参加しているに留まらず、ジャケもロジャー・ディーンが描いてるんだね。
#1830 / THE MOON REVISITED / US
★★★★★
マグナ・カルタからリリースされたプログレ・レジェンドのトリビュート・アルバム第1弾。今作品は各バンドが「狂気」を丸ごとカバーするスタイルです。この手があったか!と目から鱗の1枚。とはいえ、「狂気」というモンスターアルバムだからこそのこの方式という気もする。コンセプト作品なら何でもいいってわけじゃなかろう。「宮殿」や「危機」は違うよね。「サージェントペパーズ」ならいいかな…。色んなアーチストがリレー形式で各パートを担う、まさに運動会のリレーみたいだ。ぜひともマグナ・カルタの忘年会か何かで、完成した作品を参加者全員で聴いたみたいなエピソードを期待したいね。一般的なトリビュート作品と違うのは、余計なアレンジとか、過度に個性を主張することができないという点。あくまで原曲に忠実に。それの何が面白いんだと言うなかれ。いかにオリジナルの音に近づけようと努力しても微妙な違いは出てくるわけで、そのちょっとした違いが面白かったりする。やっぱオリジナルの女性シンガーは凄いんだなとか、ギルモアのギターは真似できそうで出来ないってことに気づかされる。MAGELLANが”Money”を、SHADOW GALLERYが”Time”を、CAIROが”Speak to Me”をそれぞれ担当。ロバート・ベリーは”Brain Damage”でアンカーを務めてます。
#2091 / AT DEATH'S DOORⅡ / US
★★★★
ロードランナーレーベルからリリースされたデスメタルのコンピレーションアルバム第2弾。日本盤はご存知アポロンのFEMS(Far East Metal Syndicate)、その節は随分とお世話になりました。この時期に台頭してきたデスメタルをざっくり知るうえで、初心者には便利なアイテムでした。日本盤には第1弾からの5曲がボートラ収録されているのでお得?おそらくデスヴォイスに耐性がないと苦しいエクストリームミュージック集ですね。個人的には1度聴いてCDラックの奥へ。数年後に引っ張り出して聴いてみて再度ラックの深部へといったところ。まあ聴いてみないと分からないからね。おかげさまでメロデスが限界ってことがわかったよ(笑) 当時新進気鋭のバンドたちですが、、アルバム購入まで至ったバンドは少ない。FEAR FACTORY、CYNIC、OBITUARY、DEICIDE、SADUS、SEPULTURAくらいかな。デスメタルファンにしてみたら、ちょっと違うかも。真髄はそこじゃないと言われそう。他にも今思えばレジェンド級のバンドが含まれていると思われます。
#2185 / GUITAR ZEUS / US
★★★★
カーマイン・アピス音楽活動30周年記念アルバム「神々の饗宴」です。なるほど参加ギタリストの名前を見ると確かに大袈裟な邦題を付けたくなるのも頷けるのだが…アルバムの出来からするとそぐわないタイトルに思える。ビッグネーム多数参加の割に、それぞれの個性がイマイチ発揮されていないよね。原因はおそらく曲が面白くないから。ほぼアピスとケリー・キーリングが曲を書いており、ベースはトニー・フランクリンがほとんど弾いている。つまりはBLUE MURDERファミリーが中心になっているということ。これがイマイチな原因ではないかと。曲単位ではニール・ショーンがギターを担当した”Safe”やブライアン・メイ参加の”Nobody Knows”は良かったし、タイトル曲もまずまずだったが、ちょっと中途半端かな~。曲を聴かせるにはメロが足りないし、ギターを聴かせるには纏まりすぎていると感じてしまったよ。ポール・ギルバート、インギー等々、宝の持ち腐れ感は否めない。それでもアピス&フランクリンのリズム隊は素晴らしい。あっ、そうか。アピスのアルバムだからこれでいいのだ!そう思って聴いたらスティーヴ・モーズの”4 Miles High”とかテッド・ニュージェントの”Days Are Nights”なんかも楽しめるじゃんか。なるほどね、リズム陣が映える曲調だったのね。しかし!こういう企画はギタリストだけじゃなくシンガーも複数制が望ましい。ちなみに、所有している日本盤は掲載ジャケとは別物ですが、レッドスペシャルがカッコいいからコレにしてみた。
#2191 / JEFFOLOGY / US
★★★★
ジェフ・ベックのトリビュートアルバムです。ベーシックな参加メンバーは、Dr:グレッグ・ビソネット、ジェフ・マーティン他、B:ジョン・アルドレッティ、G:ラス・パリッシュ。レーサーXからはスコット・トラヴィス以外のメンバーが参加しており、そこにゲストギタリストを迎える形ですね。主だった収録曲は、Heart Full Of Soul / ポール・ギルバート、Led Boots / ヴィヴィアン・キャンベル(イチオシ)、Cause We've Ended As Lovers / フィル・コリン、Rice Pudding / ジェイク・E・リーなど。その他にウォーレン・デ・マルティーニ、ミック・マーズ、スティーヴィー・サラス、ジョージ・リンチ、ブルース・ブイエらが参加。話題性のある人選はいいと思うけどね、やっぱ知ってる曲じゃないと。個人的には「BLOW BY BLOW」、「WIRED」、「THERE AND BACK」あたりが望ましい。JEFF BECK GROUPでもいいけど。ただこれが60年代まで遡ってしまうと、どうにもイマイチ。豪華なメンバーも台無しだ。”哀しみの恋人達”がフィル・コリンてのも頂けない。本人の希望だろうが、ちょっと華がないかな。
#2253 / MADE IN TRIBUTE:A TRIBUTE TO THE BEST BAND IN A WHOLE GODDAMN WORLD! / JPN
★★★★
北欧デスメタルバンドによるIRON MAIDENトリビュート「鋼鉄の魂」。日本のトイズファクトリーの企画盤で、レーベルの関連バンドが参加しています。この頃は個人的にメロデスにプチ嵌りしており、参加バンドに唆られて買ってみたというわけ。まあ結果から申しますと、ちょっと期待外れだった。個人的なイチオシはDARK TRANQUILLITYの”22 Acacia Avenue”かな。SADISTの”Wrathchild”も、らしいアレンジで良かったけれど、原曲がシンプルなだけに食い足りなさを感じる。展開のある選曲の方がもっと遊べたのに。この時点でいいアルバムをリリースしているバンドは概ね出来がいいです。例えばARCH ENEMYの”Aces High”、ARMAGEDDONの”Die with Your Boots on”、IN FLAMESの”Murders in the Rue Morgue”など。クリストファー・アモットのギターソロには耳を奪われます。バンドが足りなかったらしく(知名度が低いバンドが2つ混じっている点から推察)NOCTURNAL RITESが”Wasted Years”で参加しており、デスではないってだけで目立ってる(笑) これに準じるのがNAGLFERとTHERIONでしょうか。問題外は件の2バンドで、特にブラストビートの”The Trooper”はドイヒー。
#2256 / CATCH THE RAINBOW - A TRIBUTE TO RAINBOW / Germany
★★★★
トリビュートが流行っていた時期、こんなのもありました。HELLOWEENのウリ・カッシュとGAMMA RAYのヘニユ・リヒターを中心にしたカバーバンド・プロジェクトだそうだ。メンバーは流動的らしいが、大勢のゲストが集まってお祭り騒ぎのトリビュート作品とは一線を画す。前出2名の他、ほとんどのボーカルはMETALIUMの若者が担当。となると個人的にはちょっと地味だなと思ってしまう。そんな中、”Catch the Rainbow”はアンディ・デリスが、”Still I’m Sad”はラルフ・シーパースが歌ってる。さすがにシーパースの声には目が覚める。やっぱトリビュート・アルバムはこうじゃないとね。ついでにウリ・カッシュも1曲歌ってますが。その他のゲストは、”Stargazer”、”銀嶺の覇者”にローランド・グラポウ(おいしい2曲獲りはズルいんじゃない?)、”Eye of the World”にマイケル・ヴァイカートが参加。あとはほぼほぼ固定メンバーって感じです。シンガーは頑張ってる(ロニーのみならず、グラハム・ボネットやジョー・リン・ターナーとも比較されるわけだからハナから分が悪い)し、知ってる曲ばかりだからもちろん楽しめるのだが、ゲストが少ないとやっぱイマイチ感は否めず。アメリカ企画のトリビュート作品みたいな「オールスターゲーム」を期待しちゃうのね。
#2259 / A TRIBUTE TO METALLICA:METALLIC ASSAULT / US
★★★★
サブタイトルが素敵なメタリカのトリビュートアルバムです。①”Battery” ロバート(後にMETALLICA)虎次郎とデイヴ・ロンバードのリズム陣が強力。シンガーはFLOTSAM AND JETSAM、ギターはSUICIDAL TENDENCIES。②”Sad but True” 速い曲じゃないからジョーイ・ベラドナらしさがない。ギターはブルース・キューリック、ドラムはエリック・シンガーのKISSコンビ。ベースはマルコ・メンドーサ。③”Welcome Home” トニー・レヴィンのベースに耳を惹かれる。スコット・イアンもザクザクやってる。シンガーはUGLY KID JOE、ドラムはミッキー・ディー、リードギターはMETAL CHURCHの○○じゃない方。④”The Unforgiven” ダグ・ピニックはさすがの歌唱。トリビュート作品の権化ですな。ベースはトニー・フランクリン、ドラムはフランキー・バネリ、ギターはLIVING COLOUR。キーボー(WINGER)入り。⑤”The Thing That Should Not Be” ジェイソン・ボーナムのドラムが肝でしょうか。シンガーはKYUSS、ベースはDOKKENのジェフ・ピルソン、ギターはMETAL CHURCHのカート・ヴァンダーフーフ。⑥”Enter Sandman” FEAR FACTORYのシンガーがイマイチ。リズム隊は虎次郎とトミー・アルドリッヂ、ギターはDANZIG。⑦”Whiplash” スコット・イアンの面目躍如。ザクザク・マシーンと化している。S.O.D.の盟友ビリー・ミラノのヴォーカルとは相性抜群に決まっている。リズム隊はフィル・スーザンとヴィニー・アピス。⑧”Nothing Else Matters” ジェームズ風の歌唱を聴かせるジョン・オリヴァーがいい。リズム隊はレミー・キルミスターとグレッグ・ビソネット、ギターはFU MANCHU。⑨”Seek & Destroy” チャック・ビリーの歌唱良好。ジェイク・E・リーとダグ・アルドリッチのギターコンビも良い。リズム隊はジミー・ベインとエインズレー・ダンバー。⑩”For Whome the Bell Tolls” エリック・ブルームの歌唱が弱いかな。アル・ピトレリとダグ・アルドリッチのコンビネーションよし。リズム隊はトニー・フランクリンとエインズレー・ダンバー。もうちょい盛り上がる選曲があったと思うけど、豪華メンバーが揃ってるからいいんじゃないすか。
#2281 / '70s Folk Singles Collection / JPN
★★★★★
2024年の紅白歌合戦が終わったところです。今年は白組の勝利。大トリのMISIA、最後のロングトーンは凄かったな。最後の最後に更に絞り出せるとは驚いた。”能登半島”で復興を願った石川さゆりも良かったし、SuperflyもTWICEも…紅組の勝ちじゃないか?それはさておき、我々フォーク世代に刺さったのは、南こうせつ&イルカのコラボレーションでした。こうせつと言えばかぐや姫、かぐや姫といえば”神田川”でしょ。しかしながらシングルを買ったのは小学生時代、リアルタイムとは言い切れないところがあるのね。それでも”僕の胸でおやすみ”、”うちのお父さん”、”赤ちょうちん”、”妹”あたりは懐かしい。風(伊勢正三)がヒットさせた”22才の別れ”や、イルカがヒットさせた”なごり雪”、ついでに山田パンダ(高校時代、深谷商業の予餞会か何かに招かれた際に、野次られて帰ってしまったというエピソードが思い出される)の”落陽”(吉田拓郎バージョンより好き)も然り。風は”ささやかなこの人生”や”あの唄はもう唄わないのですか”でギターの練習をしたし、”海岸通り”もお気に入りでした。こうせつのソロ転向後なら、”今日は雨”、”私の詩”、”来年も来るよ”、”幼い日に”、”夏の少女”、”思い出にしてしまえるさ”、”愛する人へ”、”恋人よ”などがガッツリリアルタイムでしたが、”夢一夜”あたりからアレってな感じで冷めちゃったよね。いわゆるニューミュージックの走りでしょうか。でね、今回のレビューをかぐや姫にしようか南こうせつにしようかと迷っていたところ、このアルバムのことを思い出したわけ。いずれにせよエアチェックしたシングル曲を網羅するにはベスト盤しかないからね。かぐや姫が3曲、風が6曲、イルカが3曲、南こうせつが6曲という内訳です。まあ前出曲に対して過不足があるのは仕方ない。このタイミングに限り、こうせつとイルカが収録されていることに意味がある。ちなみに掲載ジャケは別作品です。この組み合わせで複数のアルバムが出ているのね。