TRACE
TRACE(Netherlands/蘭)
#676 / BIRDS / 1975
★★★★★
リック・ヴァン・ダー・リンデン(key)率いるバロック調キーボードロックバンドの2nd「鳥人王国」です。もちろんクラシカルというかクラシックのフレーズ(ヴィヴァルディの「四季」とか)らしきものがモロにロックアレンジされてる様はキース・エマーソンを思い出さずにはいられません。音色のせいか御大ほどオレ様状態ではないです。結局のところ弾きまくってるけどね。ヴァイオリンその他が出てくると新鮮だし、ほぼインストだったりするからEL&Pとは似て非なるもの。長編“King-Bird(組曲鳥人王国)”がハイライトでしょう。すっかり忘れたころに待ってましたとばかりに登場するヴォーカルパートを聴くと「ああ組曲なんだな」と実感する。スキナードの“フリーバード”をプログレで表現するとこうなっちゃう!?これは「鳥人王国」なんだと意識して聴くと浮遊感というか飛翔感が確かに感じられるから不思議。
#1075 / TRACE / 1974
★★★★★
オランダのプログレにあってFOCUSに次ぐ存在と言ってもいいでしょう。リック・ファン・デル・リンデンが主役のキーボードロックバンドのデビューアルバムです。キーボードといえばキース・エマーソンですが、そのNICE的なアプローチでしょうか。EL&Pだとグレッグ・レイクの比重が大きいからね、こっちはインストバンドであるゆえ比較対象にならない気がします。キースのような主張丸出しのスタイルでないところがいい。派手さはないけど色んなことをやってるし(メロトロン、オルガン、チェンバロ、ピアノ)何より琴線に触れる珠玉のメロディがそこかしこにちりばめられているわけさ。ベースにあるのはもちろんクラシックロックですよ。完成度は2ndの方が高いですが、完成前の若さ漲るプレイがきけるのでいいアルバムだと思います。
#1393 / THE WHITE LADIES / 1976
★★★★
クレジットがRick van der Linden and TRACEとなった3rdアルバムです。リックが元々居たバンドのメンバーを呼んで製作されたソロ・プロジェクト作品ということで、耳に残るメロディはあるものの割と地味めの音楽です。トリプル・キーボード云々ってことじゃなくなったわけだね。ナレーションから始まり、珍しい女性ヴォーカル曲を除いては毎度お馴染みのインスト。一応CAMELの「SNOW GOOSE」のような物語の場面が想起される、全てが繋がったコンセプトアルバムになっております。キーボープログレだとEL&Pタイプが好物なんだけどね、抒情系もたまにはいい。もうちょいメリハリがほしいかな、と思わせるあたりも「白雁」に近い印象だ。 劇的なプログレ好きには、ちょっと集中力が必要かもしれない。さすがにベートーベンのメロディが出てくると無意識に耳を奪われるんだけどさ、そこがハイライトじゃマズくない!? ジャケやタイトル、前作からの流れ等から期待は大きかっただけに、スケール感という点で物足りなさを禁じ得ません。