SHADOW GALLERY
SHADOW GALLERY(US/米)
#827 / SHADOW GALLERY / 1992
★★★★
マグナカルタが放つMAGELLANに続くプログレバンド第2弾のデビュー・アルバム「夢幻回廊」です。同一路線と思いきや、雰囲気はMAGELLANの「伝承」とはちょいと異なる方向性だね。2nd以降はもっとプログレハードな印象ですが、このデビュー作に関しては別。ジャケの雰囲気然り、長い曲を1曲持ってくるあたり構成も似てるけれど、曲調は劇的でもMAGELLANほど大仰ではなくいい塩梅のNEOなプログレ。〇〇風という例えが見当たらないところがいいね。予想に反して五大バンドの要素は感じられず、強いて言うならユーロ・プログレの空気感かな。美しい歌メロが、グレッグ・レイクやジョン・ウェットン風ではないところがミソでしょう。同年にDREAM THEATERが「IMAGES AND WORDS」をリリースしたもんだから、ざっくりとした括りの中では同じ方向性なので、比較されていたような気がする。ギターは結構弾きまくっているが、ジョン・ペトルーシには遠く及ばず、他のパートも個々のポテンシャルは比べるべくもない。アレと比べちゃダメだ。つーかそもそも競ってないんだけどね。それはさておき…MAGELLANと共にUSプログレの新時代を切り開いたのは間違いなく、後の歴史を見てもやはり彼らがツー・トップでしたね。USネオプログレの方向性はこの2枚で決まりました。マイク・ヴァーニーの思惑通りってことかな。
#1738 / CARVED IN STONE / 1995
★★★★
オープニング曲はモロにDREAM THEATER+QUEENSRYCHEで度肝を抜かれましたが、当時はこの変化を歓迎しました。なぜならすでにこの時点で本家2バンドは方向性を変えていたから。2ndアルバム「石刻の魂」です。次作「TYRANNY」まで聴いて飽きちゃったクチなので偉そうなことは言えませんが、このバンドは最初の2枚をお勧めします。大化けした今作を最高作と言い切りたいところですが、前作も捨てがたい。デビュー作でも片鱗は伺えるけど、今作は完全に引っ張られたねドリムシに。「IMAGES AND WORDS」が手本になってる。ギターを一人増やしてレベルアップが図られているし、近づくために練習もたくさんしたのでしょう。歌メロは、1曲目こそジェフ・テイトのそれですが、それ以降はどうしてもジェームズ・ラブリエが思い浮かんでしまうかも。だとしても、歌メロのクオリティは負けてません。すばらしいメロディ・メイカーだと思う。イタリア語で「続けて」という意味らしいsegue(セグエ)で各曲は繋げられており一大絵巻の如し。オーラス曲は8つのパートからなる大作で、最後の最後しっとりと締めくくる場面だけは長いと感じてしまった。思えば前作のラス曲も同様に長かった。拘りなんだろうけど飽きる前にやめてほしい。素晴らしい作品だけに少々安っぽいジャケも残念。
#2219 / TYRANNY / 1998
★★★★
3rdアルバムは2幕構成のコンセプトアルバムですが、こうしたプログレ的趣向は大歓迎。それっぽいことを色々やってみたらいい。ACTⅠは例のNEOでハードなプログレメタル。テクニカルなギターをフィーチャーしたオープニングのインストに心躍ります。続く2曲目のサビメロ(声は普通)が印象的で、個人的には前半戦のハイライトかな。ACTⅡはよりプログレな作風になっており、DREAM THEATERのジェームズ・ラブリエ、どこぞの女声シンガー、ROYAL HUNTのD.C.クーパーというゲストボーカル陣を迎え、コンセプトに基づいたロックオペラが繰り広げられます。が、メリハリに欠ける展開は、ちょっと長く感じるね。第二幕はこちらの集中力が途切れてしまった。レコード時代より長くなった収録時間に対応できない昭和生まれの耳といったところか、どうもNEOプログレとは相性が良くない。そんな中、短い出番ながら流石の貫禄を見せるゲストVo.両名、一線級とはこういうものだというのがよくわかるね。なるほどそういうことか!シンガーが代われば冗長さを感じずに済むわけだ。となればゲストは必然…痛し痒し。