Stop thinking you can't do things and start thinking you can. Your future is whatever you make it, so make it a good one.

PINK FLOYD

PINK FLOYD (UK/英)

#19 / THE DARK SIDE OF THE MOON / 1973

★★★★★★★★★

Pink Floyd the dark side of the moon (320x320)

プログレのみならずロック史に燦然と輝く8thアルバム「狂気」です。原題を直訳すると「月の裏側」ということになります。いわゆるコンセプトアルバムにも関わらず売り上げ枚数5000万枚以上らしいよ。もちろんメンバーは、デビッド・ギルモア、ニック・メイスン、ロジャー・ウォーターズ、リチャード・ライトの4人ですね。アルバムのコンセプトは、ロジャーがシド・バレットの心情を深く考察したものだとか。そういうつもりで聴くとハマるかも。1回聴いたくらいだと「どこが名盤?」みたいなことになりかねないんだね。単品でインパクトがある”Money”みたいな曲もあるけどね、「宮殿」や「危機」とはちょいと違います。難解というほどではない、アルバム1枚で完結するトータルコンセプトアルバムなんですね。ピンク・フロイドのプログレは雰囲気重視の癒し系と捉えている。“原子心母”とか“狂ったダイヤモンド”とか“エコーズ”とか…プログレは曲が長い?そこがいいんじゃないすか。4分じゃ表現できないことが山ほどあるわけですよ。ジャケットのプリズムは何を意味しているのでしょう。公式にはピラミッドってことになってるらしいけど。このジャケットも名作だな。当然ヒプノシスですね。このアルバムは1回や2回聴いただけじゃもったいない。コンセプトアルバムゆえ断片的に聴くのもNG。カーオーディオのハードディスクに取り込んでランダム再生すると、元の音源がご丁寧にトラック分けされてるもんだから細切れで聴かされる羽目になってムカつきますわ。でも、通しで10回聴けたらすっかり虜になってしまうでしょう。ちなみに私は、決して大げさではなく100回は聴いていると思う。ある時期3か月くらいCDプレーヤーに入れっぱなしで、毎晩寝る時に聴いてた。ちょうど寝入った頃に”タイム”の時計の音にビクっとしたこともしばしば(笑) 途中で寝てしまうのでアルバム全編を100回とは言えないかもしれないけども。冒頭の”Breathe”の歌詞の一部が気に入ってます。♪Run rabbit runからDon’t sit down, it’s time to dig another one♪あたりが特に。”Time”や”Money”のギターもアグレッシブで好き。個人的なハイライトは後半の”Us and Them”からエンディングの”Eclipse”まで。”Brain Damage/狂人は心に”のメロディは最高だね。挿入された笑い声にもイメージが膨らむ。シド・バレットが思い浮かぶ場面だ。最後の”狂気日食”は韻を踏んだ歌詞を重ねて盛り上げる手法で、まんまと盛り上がって♪But the sun is eclipsed by the moon♪で大団円を迎えます。デビッド・ギルモアはギターもいいけど、歌(声)もいい。ギルモア主導期のフロイドにはあまり思い入れはないけれど、間違いなくこの人がフロントマンです。エンジニアのアラン・パーソンズが様々なSE(特に“マネー”におけるレジスターの音は斬新。アナログ時代ゆえ、これだけで1か月かかったそうです)でいい仕事をしてます。サックスも重要。そして”虚空のスキャット”の女声、加えて”タイム”ほかでコーラスを担当した4名の女性シンガーたちが、間違いなく今作のキーパーソンでしょう。このアルバムを再現したライブ盤もDVDもあるのですが…残念ながら当時のメンバーではありません。さて、「宮殿」「危機」「狂気」がプログレ3大教典なんですぞ。「恐怖の頭脳改革」を加えて4大教典でもいいけど通常2文字に省略しないから困る。「恐怖」とか「頭脳」とか「改革」とか略してるのを見たことないもの。でも凄いでしょ?全部「き」で始まる!(ホントは「クリムゾンキングの宮殿」で最初は「く」だけどそこは御愛嬌)



#75 / ATOM HEART MOTHER / 1970

★★★★★★★★

Pink Floyd atom heart mother (320x320)

最初に聴いたフロイドのアルバムはこれでした。あまりにも有名なヒプノシスの牛ジャケが凄いインパクトでしょ。「原子心母」→牛 どうしてこうなるかね?ストーム・ソーガソンの友人のアドバイスだったとか。ちなみに牛の名はルルベル3世。そして四字熟語の如く「ゲンシシンボ」と読ませたアイデア。このド直訳は凄いな。レコード会社の洋楽ディレクターのセンスに脱帽です。アルバム・タイトルのヒントになったのは…プルトニウムで駆動するペースメーカーを埋め込んだ母親の記事らしい。Atom Heartを移植したMotherってコトだったのね。で、牛か。分からなくもないね(笑) アナログA面すべてを使った表題曲はとにかく衝撃的でした。チェロとホーンセクションとコーラスが大活躍の、壮大なスケールのクラシックという趣ですが、これが、当時のフロイドが選択したプログレッシブ・ロック。元々あった楽曲に前衛音楽家のアレンジを加えて完成した曲らしく、要するに「LET IT BE」のフィル・スペクターみたいな役割の人がいたわけだ。23分のに及ぶ大作の終盤、それまでの色々な場面(「Father’s Shout/父の叫び」「Breast Milky/ミルクたっぷりの乳房」「Mother Fore」「Funky Dung/むかつくばかりのこやし」「Mind Your Throats, Please/喉に気をつけて」)がフラッシュバックしてひとつに纏まる瞬間の盛り上がり(「Remergence/再現」)は感動の一言です。B面はロジャーの“If/もしも”で静かに始まります。生々しくも囁くような歌唱がとても印象的。「エリックの青春」のサントラを思い出したよ。続くリチャード・ライト作の“Summer’68”はポップな曲調が逆に郷愁を誘う大好きな曲。69年のウッドストックと関係あるんでしたっけ?動と静のコントラスト、ホーンセクションの盛り上がりも素晴らしい。次はデビッド・ギルモア作の“Fat Old Sun/デブでよろよろの太陽”でライブの定番曲。サイケ風味もあるけど聴きやすい。ラストは全員による“Alan’s Psychedelic Breakfast”というミュージック・コンクレート(人や動物の声や騒音などを加工した電子音楽)です。前作までのサイケ~実験音楽の名残が一番感じられる曲だ。後の繋がりからアラン・パーソンズの朝飯かと思いきや別のアランでした。以上、全体として比較的聴きやすい整合性のあるプログレ、フロイドとしては初めてといってもいい大衆プログレが聴けます。テクニカルなプログレじゃないんだけど、モンスターには不思議な求心力があるのでした。シド・バレット、ロジャー・ウォーターズ、デビッド・ギルモアと主導権が移る毎に変化を見せるフロイドなので、まずは自分の好きな時代を見つけてみるのがいいかもしれません。このアルバムで全英1位を獲得しました。



#151 / ANIMALS / 1977

★★★★★★★

Pink Floyd animals (320x320)

リアルタイムのフロイド作品です。人間を動物に喩えて社会批判をしたコンセプトアルバムで、特権階級が犬、資本家が豚、労働者が羊という設定になっています。ロジャー作の“Pigs on the Wing”というアコギの短い曲がイントロとアウトロの役割を担い、その間に“Dogs”と“Pigs”と“Sheep”というそのまんまのタイトルが挟まる構成です。(中学生諸君、羊は複数形でもsheepなんだね)ちなみに“Dogs”と“Sheep”は、前作「炎」に収録されなかった曲が元になっています。これらの原曲は2011年のリマスター盤「炎」に収録されました。全曲いいけれど、とりあえず“Dogs”でしょう。プログレというより普通のロックなんだけどね、ギターがカッコいいです。アコギが極めて自然に楽曲に溶け込んでるところも凄いな。ギルモアにしては珍しいツインギターのハーモニーが鮮烈なのね。元々のギターパートをロジャーが消してしまったため録り直したそうです。ロジャー…まさか故意に…後々の事を考えると勘ぐってしまうけど。”Pigs”もいい味が出てるね。アルバムの真ん中に位置してるからメインキャラなのかな、ヒプノシスによるジャケでは、豚が空を飛んでいます。舞台はロンドンのバタシー発電所。そこで12メートルの豚の風船を飛ばしたんだって。ところが実際は、撮影1日目の工場(雲がいい雰囲気だから)と、同3日目の豚(1日目は飛ばず、2日目は飛び去ってしまった)の合成写真ですと!まあ合成は合成だけどさ、ホントに巨大豚を揚げてたとはね~、さすが一流はやることが違う。”Sheep”もいいよ。ギルモアのソロはないけれど、それを忘れてしまうほどカッティング、コードプレイが秀逸です。曲に合わせた通常のギターがあって、それにからむ2本目のギター、リズムを敢えて外したギターがやたらとかっこいい。ズラしてズラしてズラしまくって、最後の最後に通常のリズムでコードを弾くから一気に溜飲が下がるという仕掛け。鍵盤の数種の音色もナイス・チョイスです。ベースはギルモア(Pigsも)が弾いてます。導入部のフレーズは”吹けよ風、呼べよ嵐”の印象的なダブルベースが思い当たる。このアルバム中ではプログレ度が一番高い曲でしょう。ちなみに師匠のお気に入りは”Dogs”で、私は”Sheep”派でした。さて、これ以降のフロイドのアルバムには、正直それほどの思い入れはございません。まあせいぜい「ファイナル・カット」まで。ロジャーが去った後は、やっぱり何かが足りない気がするんだね。ロジャーとギルモアのケミストリーが重要だったのさ。シド主導の初期作品は、別物と捉えているので問題ないが、ギルモア主導のフロイドは優等生すぎる。かといってロジャー主導の2枚もね、これぞフロイドとは言い難いものがあるんだな。まあいいさ。全盛期のアルバムを何百回でも聴いてやるぜ。



#300 / WISH YOU WERE HERE / 1975

★★★★★★★★

Pink Floyd wish you were here 2 (320x320)

モンスターアルバム「狂気」の次で「アニマルズ」の前。こちらも黄金期(ウォーターズ/メイスン/ギルモア/ライト)を代表する9th「炎~あなたがここにいてほしい」です。ちなみに全英、全米ともに1位を獲得。ジャケも「原子心母」「狂気」「アニマルズ」同様ヒプノシスでこれまた黄金期。どのジャケも素晴らしいと思いませんか。でね、ヒプノシスのリーダー、ストム・トーガソンはロジャーやシドと高校時代の仲間なんだって!さて今作もこれぞフロイドで大好きな作品なわけで、名曲“Shine on You Crazy Diamond”が収録されております。トータル25分超の変則的な大作(5曲収録の1曲目が同曲第1部で5曲目が第2部というナイスな構成)です。クレイジーダイヤモンドとはドラッグ中毒でバンドを離脱したシド・バレットのこと(ロジャーは否定してるけど)だと思うわけ。というか思いたい。このアルバムをレコーディング中のアビィロードスタジオをシドが訪問した際、その変わり果てた姿(太った体に禿げ上がった頭)にメンバーはすぐに彼とは気付かなかったそうだ。そこにはトーガソンもいました。その場にいたかつての仲間たちはとてもショックを受けて…ロジャーは涙を流したと。シドの様子がね、その外見だけでなく、人と接する様子も散漫で支離滅裂だったんだって。ドラッグの弊害なんでしょう。ロジャーとトーガソンの衝撃はそうとうなものだったはず。その後2006年にシドが亡くなるまで会うことはなかったそうだから…なんとも悲しいエピソードじゃないかい。“狂ったダイアモンド”に挟まれているのは“ようこそマシーンへ”と“葉巻はいかが”(歌っているのはロイ・ハーバー)と“あなたがここにいてほしい”の3曲。このアルバムもよく聴いたよね。てか今でも聴いてる。は2011年のリマスター盤のうちボーナスCD付きの「狂気」と「炎」は、ちょっと安くなってから買いましたよ。



#400 / MEDDLE / 1971

★★★★★★★★

Pink Floyd meddle (320x320)

「原子心母」の次にリリースされた6th「おせっかい」です。今回のヒプノシスによるジャケは水に映った耳および音波だそうです。これは“エコーズ”のオープニングとリンクしちゃうね。ジャケの出来には作者もメンバーも満足していないそうですよ。インパクトはあるけど、他の作品と比べると「なるほど」って感じ。完全なオリジナル(シド・バレット脱退後は、サントラの「モア」、変則盤の「ウマグマ」、管弦楽器やコーラスを纏めるために第5のメンバーが存在した「原子心母」をリリース)としては久々の作品となりました。魔人ブッチャーの入場テーマ曲で有名なインスト“吹けよ風、呼べよ嵐/One of these days”で始まるアルバムですね。ディレイのかかったベース(実際はロジャーとギルモアのダブルベースだそうだ)が印象的すぎて一気に心を奪われてしまいます。ギルモアのスライドギターとともに盛り上がる様は圧巻。ニック・メイスンの「One of these days, I’m going to cut you into little pieces」を合図に曲はクライマックスを迎えるのでした。続くアコギとスライドギターとベースのフォーキーな“ピロウ・オブ・ウインズ‘はビートルズの楽曲かと思えるようなメロを披露。ギルモアの声はいいね。次の”フィアレス“もビートルズ的メロ。リヴァプールFCサポーターの合唱”You’ll Never Walk Alone“がサンプリングされているあたり、ちょいと深読みしてしまう。リヴァプール=ビートルズだもんね。4曲目の”サン・トロペ“もポール・マッカートニー的なほんわかしたジャジーな小曲。スティーヴ・マリオットの犬の鳴き声で始まる”シーマスのブルース“はアナログ盤だとA面ラス曲ですが、CDだと次の曲へのイントロダクションみたいな役割を果たしているかも。そして最後に待ち構えるは…フロイドの代表曲(24分近い大作)“Echoes”ですね。とにかくコレに尽きます。機会があれば是非、北海道や東北の夜明けの直線道路で聴いてください。寒い地域の方がいいと思う。防風林が車窓を流れたりしたら最高だね。イントロの「ピン!」でゾクッ!ですよ。曲順がわかってるオリジナルアルバムでもゾクッ!だからベスト盤で突然出てくる「ピン!」にはゾクゾクッ!となりますな(笑) ん~この感覚、賛同してくれる人が世界に1人でもいてくれればそれでいい。「原子心母」と「狂気」というモンスターに挟まれて埋もれがちな作品ですがね、今作も間違いなくバラエティに富んだ名盤です。



#560 / THE WALL / 1979

★★★★★

Pink Floyd the wall (320x320)

音質が飛躍的に向上した(実感はありませんでした)大ヒットの2枚組コンセプトアルバムです。「狂気」は鼓動で始まり鼓動で終わる構成でしたが、今回は最後の曲と最初の曲が台詞で繋がっていると。パンク全盛時代にあって大ヒット、オールドウェイブと揶揄されたプログレの意地を見せた作品となりました。ただ…個人的にはこの辺りからあまり熱心に聴かなったんだね。英語の歌詞を吟味すればまた違った楽しみ方もできるかもしれませんが、古き良き時代の伝統的なプログレを愛する者としてはモダンな味付けが微妙でした。例のアニメーションのビデオクリップは飽きるほど見ましたね。“Another Brick in the Wall PartⅡ”ですな。子どものコーラスはプロデューサーのボブ・エズリンのアイデアらしいね。アルバムのほとんどの曲はロジャー・ウォーターズによるもの。そして…レコーディング中にロジャーはリチャード・ライトを解雇します。が、次の「ファイナル・カット」を発表後に今度はロジャー自身が脱退。解散と思いきや…まあ色々ありまして、ギルモア主導のフロイドとして存続するのでありました。



#666 / ECHOES:THE BEST OF PINK FLOYD / 2001

★★★★★★★

Pink Floyd the best of (320x320)

下手すると「狂気」や「原子心母」をいきなり聴かされたら何じゃこりゃとなりかねない。そういう意味ではフロイドをこれから聴こうという人にこの2枚組ベスト盤は最高だと思うよ。いや、初心者でなくてもコレは良い!“See Emily Play”から始まる長い歴史(リリース順じゃないよ)がざっくり凝縮されてます。あと曲順ね。普段アルバム単位でしか聴いてないからランダムに繰り出されるとこれがまた新鮮なんだな。(個人的にはロジャー脱退後の新しめのやつは要らないっす&やっぱり“Echoes”は最高!)ジャケもいいよ。説明がめんどくさいから省くけど、とにかくブックレットの裏表紙もジャケとして機能してて過去のアルバムを飾った名物キャラが両面ジャケに大集合なのさ。今回はとりあえず好きな方を載せときます。「炎」の燃える男、「アニマルズ」の豚と羊、「原子心母」の牛、「狂気」のピラミッド、「ザ・ウォール」のレンガ、「おせっかい」の耳、「ウマグマ」の窓etc…RUSHの「EXIT…STAGE LEFT」同様楽しいったらありゃしない。



#831 / THE PIPER AT THE GATES OF DAWN / 1967

★★★★

Pink Floyd the piper at the gates of dawn (320x318)

すべてはここから始まった。記念すべきデビューアルバム「夜明けの口笛吹き」だ。プログレ以前のプログレ?です。新し音楽を模索していた時代。69年の「宮殿」登場に向けての前夜祭的な!?概ねサイケロック。昔のエアチェックテープに”天の支配”と”地の精“が録ってあったから個人的お気に入りはそれなんだけど、このアルバムの特色は9分超えの”星空のドライブ“に集約されるのかな。UK盤には前述の“Astronomy Domine”をUS盤にはシングル曲”See Emily Play“(ちなみにこれもエアチェックテープに録ってあったのでとても思い出深い)を収録。どちらもサイケ時代(シド時代)の代表曲なので困っちゃうね。うちにあるのはUK盤だったから2枚組ベスト盤「エコーズ~啓示」をゲット。DISC1の#1が“Astronomy Domine”で#2が“See Emily Play”という痒い所に手が届くありがたいアイテムなんだね。ちなみに「ピンクフロイドの道」という初期音源集という選択肢もありますが、こちらは上級者向けだと思う。



#1019 / UMMAGUMMA / 1969

★★★★

Pink Floyd ummagumma (320x320)

初期フロイドの2枚組4thアルバムです。ライブ盤とスタジオ盤が1枚ずつという構成。一般的にはメンバーのソロ作品が収録されたDisk2が貴重なんでしょうが…あまり面白くないね。色んなことを演ってはいるものの、サントラっぽい仕上がりかな。個人的にはDisk1のライブ音源です。昔ラジオでエアチェックした気がする。カセットのラベルに曲名を書いた記憶があるんだよね。“天の支配”と“ユージン、斧に気をつけろ”と“太陽讃歌”と“神秘”の4曲です。“星空のドライブ”も収録予定だったとか。だったら音源はあるってことだよね。いずれ世に出る日がくるでしょう。ヒプノシスのジャケが秀逸です。「合わせ鏡」の手法ですね。下手すると中身よりジャケの方が有名なアルバムかもしれません。この変則盤をリリースした翌年…全英ナンバーワンに輝く傑作中の傑作「原子心母」を発表するのです。



#1106 / A SAUCERFUL OF SECRETS / 1968

★★★★

Pink Floyd a saucerful of secrets (320x320)

シド・バレットが参加した最後の作品がこの2ndアルバム「神秘」です。ドラッグでレコーディングもままならないシドのヘルプでデビッド・ギルモアも参加してます。個人的な想い出はエアチェックした“Set the Controls for the Heart of the Sun”なんだね。“太陽讃歌”って邦題にそそられちゃったよね。この呪術的ナンバーはロジャー・ウォーターズの作品。アルバム全体ではシングルヒット狙いのシド色が残っているためサイケな印象が強い(ビートルズ風サイケも含む)のだけれども、大作タイトルチューンをはじめとするそこかしこに、後の作品でも聴かれる「フロイド節」の片鱗が窺えるところがミソ。ウォーターズの構想をギルモアが形にするってパターンだね。ラストを締めくくるアコースティック曲がシド最後の作品となりました。その一方でアルバムジャケットはヒプノシスが最初に手掛けた作品だってんだから皮肉な話ですな。



#1300 / P.U.L.S.E / 1995

★★★★★

Pink Floyd pulse (320x318)

プログレ四天王の2枚組ライブ盤です。94年のDivision Bell ツアーを編集。ほとんどがアールズコートでのテイクとなっております。全米・全英にとどまらず全世界のチャートで1位を獲りまくりました。演奏は角が取れちゃった感じだが仕方ない。円熟味ということにしておきましょう。アルバムタイトルは「狂気」の中で使われた効果音(心臓の鼓動)にちなんでいるらしいです。初回生産盤はCDケースに発光ダイオードが付いており、当時店頭でチカチカ光っていたのですよ。これすなわちパルス(点滅)というわけ。残念なのはロジャー・ウォーターズの不在(ベースを担当するガイ・プラットとは88年のライブ盤以来のお付き合い。「対」のレコーディングにも参加)だね。ロジャーが居ればもう少し違った形の完全無欠のライブだったに違いない。せめて、BOW WOWのライブにキンさんがゲスト出演したように、SCORPIONSのライブにウリやマイケルが参加したように、ロジャーもシドも参加してくれたら最高だったな。いきなり“クレイジー・ダイアモンド/Shine on You Crazy Diamond”で始まるところがいい。 シドに思いを馳せたところで“天の支配/Astronomy Domine”で畳み掛ける。シドを登場させるとしたらここだったね。想像しただけで泣けてくるじゃないか。Disk1はここが個人的なハイライト、最後は大人気の“Another Brick in the Wall PartⅡ”で締めくくる。そして、アルバムの目玉「狂気」の丸ごと再現で始まるDisk2だ。オーディエンスも盛り上がりも絶好調。“Time”の時計の音や”Money“のレジの音など、耳に馴染んだSEに歓声を上げたくなる気持ちは理解できる。「狂気」が終わると “あなたがここにいてほしい/Wish You Were Here”の登場だ。聴衆の大合唱が凄い。これはローマ公園のテイク。歌えないのなら、ここでシドを招き入れるって演出もアリだったよね。個人的にはここで終わってほしかったけど…最後は「ザ・ウォール」から人気の2曲で大団円。ちなみにジャケはやっぱりヒプノシス。それから、後にリリースされた「驚異」という映像作品もお勧めです。こちらは光のシャワーも満喫できるからね。ぜひ大画面でご鑑賞ください。



#1758 / RELICS / 1971

★★★★

Pink Floyd relics

初期3枚のアルバム「夜明けの口笛吹き」「神秘」「モア」からの選曲、およびアルバム未収録だったシングルで構成された2枚目のベストアルバムです。とにかく“シー・エミリー・プレイ”が好きだから持ってるわけですが、今となってはね、「エコーズ~啓示」にも収録されてるから要らないといえば要らないかも(笑) シド時代の作品が中心となっており、それ以外の曲も総じてシド風のモノがチョイスされている。まあ万人向けではないね。“ユージン、斧に気をつけろ”のスタジオ・ヴァージョンがどうしても聴きたいとか…結構マニアックな人向けの1枚でしょうね。別ヴァージョンを収録するのは売るための常套手段と分かっていても、手を出しちゃう人が少なからずいて、だからこその常套手段なわけで…。いずれ「時空の舞踏」にも手を出すであろう自分の未来が見えますな(笑) 追加レコーディングされた“マネー”やワンピースになった“狂ったダイヤモンド”ですよ、好きであればあるほど聴きたくなっちゃうでしょうが。



#1888 / A COLLECTION OF GREAT DANCE SONGS / 1981

★★★★

Pink Floyd 時空の舞踏

このベスト盤の邦題は「時空の舞踏」。ちょいレア感に興味をそそられて入手しました。今回の目玉といえる”マネー”はギルモアが録り直したバージョンですが…飽きるほど聴いてる曲なので、違いは分かるけどほぼオリジナルに忠実な演奏。ふつうリカバーする場合は同じことをやらないけどね、今回は事情が違うらしい。レコード会社の壁(キャピトル・レコードがソニーに音源を貸さなかった…まさに「ザ・ウォール」)のせいで録り直したという特殊な理由がある。ギルモアが頼んでもダメだったのか。交渉が面倒だから、だったらまた録っちゃった方が話が早いね、みたいなノリ?よって今回に限ってはオリジナルに忠実でなければならなかったわけだね。”クレイジー・ダイヤモンド”は第1部と第2部に分割されていたものが1曲に繋がってる。本来あるべき姿だから期待したんだけども、何やら違和感を感じるし、食い足りない気がしてくるね。焦らされるところがない分、盛り上がりに欠けるというか…オリジナル・アルバムの聴きすぎによる弊害なのかも。”アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール”は冒頭に短いイントロが追加されたシングル・カットver.ですと。その他ギルモアがチョイスしたのは”吹けよ風、呼べよ嵐”と”シープ”と”あなたがここにいてほしい”です。”あなたが…”は元々”クレイジー・ダイヤモンド”に挟まれてた曲なので、これだけは異議あり。謎のアルバムタイトルはヒプノシスのジャケットに対して付けられたものと思われる。ひと捻りした邦題も然り。元々ユーミンのアルバム「昨晩お会いしましょう」用にヒプノシスが提案した2パターンのうちボツになった方なんだってよ。マジか。ユーミンがこっちを採用してたら、アルバムタイトルが違うものになっていたってことか。あっちのジャケだったら少なくとも「dance」って単語は思い浮かばない。



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