Stop thinking you can't do things and start thinking you can. Your future is whatever you make it, so make it a good one.

P.F.M.

PREMIATA FORNERIA MARCONI(Italy/伊)

#96 / PHOTOS OF GHOSTS / 1973

★★★★★

PFM photos of ghosts (320x320)

数あるイタリアンプログレ・バンドの中で一番メジャーな存在、賛否両論あるでしょうが、こと日本に於いてはPFMってことになるのかな。EL&Pに見染められたことで、イタリアに留まらず世界進出を果たした数少ないプログレバンドでもあります。もちろんイタリアには、NEW TROLLSやOSANNAなど多種多様なプログレバンドが存在しており、好みの音が必ずや見つかるに違いないと思われますが、PFMをきっかけにイタリアンプログレに嵌る人が多いのも事実なんですね。PFMはPREMIATA FORNERIA MARCONI(プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ)の略です。中心人物はギター&ヴォーカルのフランコ・ムッシーダなのかな。キーボードの人もキーパーソンだと思われる。そこにヴァイオリンのマウロ・パガーニを加えた体制が全盛期ということで間違いない。イチオシはこの3rdアルバム「幻の映像」で決まり。KING CRIMSONのピート・シンフィールドが英詞を担当し、EL&Pのマンティコア・レーベルからリリースされ、ヨーロピアン・プログレのクオリティを世界に知らしめた傑作です。イタリア盤の2nd「Per Un Amico/友よ」を再録したものがメイン(2ndから全曲、1stから1曲、新曲が1曲)なので当然その2ndも素晴らしい出来ですよ。言語だけでなくアレンジも異なるイタリア盤に軍配を上げる人も多いと思う。よって、英盤、伊盤ともに名盤に認定です。最初に聴いた曲は…プログレッシブ・ロック特集でオンエアされた“Celebration”でした。これはなかなかの衝撃でしたね。やたらと景気がよく気分が高揚しました。疾走しつつもどこかコミカルなところはEL&Pを彷彿とさせる。この曲のみならず、一筋縄ではいかない展開がてんこ盛り、数曲分のアイデアを1曲に纏め上げたような楽曲ばかりなので、聴くたびに新しい発見がある。プログレファンなら誰しも、オープニング曲”River of Life“でノックアウト必至でございます。紛うことなき名曲ですね。ギター、フルート、チェンバロ、メロトロン、コーラス、歌メロ…すべてが美しい。これぞプログレの醍醐味です。ここから前出曲に繋がる展開がまたおいしい。5大バンドに劣っているのはメジャー感だけ(笑) 楽曲は堂々と肩を並べるレベルです。イタリアンプログレ入門の1枚として自信を持ってお勧めします。イタリア盤との聴き比べもぜひ。



#289 / THE WORLD BECAME THE WORLD / 1974

★★★★★

PFM 蘇る世界英語盤

4thアルバム「蘇る世界」。5thアルバムも「蘇る世界」。すでに紹介した「幻の映像」同様イタリア語盤と英語盤があって、収録曲も異なるというややこしさなんですね。曲数も違う。しかも、イタリア語盤の1曲目”L’isola Di Niente”の邦題が”幻の島(マウンテン)”だもの、さらにややこしい。こと哀愁という点においては断然母国語の方に軍配が上がると思うのですが、音質重視派には英語盤かも。まあね、おそらく最終的には両方聴くことになりますよ。個人的に英語盤の方から紹介する最大の理由、それはイタリア語盤に未収録の名曲タイトルチューン(デビュー作に収録された”Impressioni Di Settembre”の英語版)と、”Four Holes in the Ground”(La Luna Nuova/新月-原始への回帰”の英語版)の存在です。前者は文句なしの名曲で、ここで聴ける歌声はグレッグ・レイクの如しです。フォーク調から徐々に盛り上がりを見せる展開からは「クリムゾンキングの宮殿」収録曲が想起されます。メロトロン、ムーグも素晴らしい。後者は起伏に富んだ展開で聴かせる一大絵巻、これぞプログレの醍醐味ともいえる代表曲です。NICEというかキース・エマーソンみたいなテーマ、イタリアンな第2テーマ、半ば強引なボーカルパートなど、4~5曲分のアイデアを詰め込んだような作品。今作から元AREAのベーシストが加わりました。前任を凌ぐテクニカルなプレイが聴けます。その影響かジャズロック的な展開が増えたかも。10分を超える荘厳なオープニング曲”The Mountain”の序盤でいきなり主張してお披露目完了。リズム陣が強力になったのは良かったのですが、後に音楽性を変えるきっかけもこのメンバーチェンジだったかもね。ACQUA FRAGILEのボーカルが加入、マウロ・パガーニの脱退と、大きな出来事が続きます。パガーニ脱退後の「JET RAG」が過渡期的作品となり、「PASSPARTÙ」に至ってはもやは別バンド。この手の音楽をPFMがやらなくても、と思ってしまう。PFMを聴くならパガーニ在籍時のアルバムをおすすめします。



#552 / PER UN AMICO / 1972

★★★★★

PFM per un amico (320x320)

イタリア語盤の2nd「友よ」です。英語盤3rd「幻の映像」のオリジナル曲が聴けます。自分も含め多くの場合最初に聴いたのは英語盤だったと思うんだけども、もちろんそれはそれで洗素晴らしい出来の名盤です。ピート・シンフィールドに見出された原石だからね。間違いないわけ。でオリジナル盤は誰しも英語盤の後に聴いたはずなんだね。たいていの場合最初に聴いた盤の印象が強くて、そっちの方が記憶に刻まれるのは間違いないよね。今作品に関しても確かに音質はショボイと思います。その点洗練された英語盤に敵うはずは無いわけさ。でもね、個人的にはですよ、逆に洗練されてない原石の魅力にやられちゃったんだね。英語盤にそのまま収録された1曲を除いては音質どころかアレンジも違うんだもの。聴きやすい状態に修正される前だから雑多な印象ではあるものの、そのガチャガチャ具合が面白かったりするんだな。個人的にはコッチの方が好きだな。ともかく、それぞれにそれぞれの良さがあるのは間違いないからね…できることなら両方聴きましょ。マジで!英語盤同様1曲目の“Appena Un Po/River of life”でもうメロメロなわけですよ。イントロからわくわくしますな。あとは感動の洪水に身をゆだねるだけですわ。英語盤を聴き倒した後なら違いがハッキリわかって殊更楽しいと思うよ。やっぱこういうのを聴かされると、イタリアンプログレのトップに君臨するのはPFMってコトになっちゃうよね~。



#652 / STORIA DI UN MINUTO / 1972

★★★★★

PFM storia di un minuto (318x320)

これがPFMのデビューアルバム「幻想物語」です。もちろんオリジナルのイタリア語盤となっております。洗練される前の自由奔放なアレンジと相俟ってラフにしてテクニカルな演奏は、個人的には後の英語盤より好きですね。だからと言ってイタリア感は隠し味程度で、英国流をしっかり貫いているところがダイアモンドの原石たりえた理由なんでしょう。同時期のイタリアンに比べてテクニックもダントツだしね。オルガン、ピアノ、メロトロン、ムーグ、フルート、ピッコロ、ヴァイオリン、マンドリン…使用楽器を列挙しただけでわくわくしてくるでしょ。後の英語盤で再録される名曲の数々が収録されたファンタジックプログレの名盤なので、英語盤だけじゃもったいないぜ。さてPFMは別格として、ここでイタリアンプログレにハマるかどうかの判定材料をひとつ。巻き舌系のイタリア語に違和感を感じたらキツいでしょう。歌を大事にするあまり単なる歌モノになってるケースも多いのでコレは大事。カンツォーネ→カンタウトーレ(カンタウトリーチェ)という独自の歴史を持つ国だから(地中海音楽もまた独特)歌心全開のこのジャンルも実は魅力的だったりする。プログレ耳をも刺激するフォークロック調の名盤が結構あるみたいだよ。



#1098 / L'ISOLA DI NIENTE / 1974

★★★★

PFM 幻の島 (320x320)

英語盤「蘇る世界」と同時にリリースされたイタリア語盤「幻の島」です。基本的には世界進出に向けた英語盤より好きなんだけどね…デビューアルバムに収録されていた“9月の情景”の再録“The World Became the World”が入っていないところがミソ。個人的にコレは大きなマイナスポイントなんですね。この名曲はPFMの代名詞といっても過言ではないと思ってますので。この後、ライブ盤「COOK」とACQUA FRAGILEからリードヴォーカリストを迎えた「CHOCORATE KINGS」をリリース後、バンドのブレーンであるマウロ・パガーニが脱退してしまいます。新ヴァイオリニストを迎えたにもかかわらずソロ主体のジャズ・フュージョン調にシフトするんだけども、こうなるとPFMの抒情性溢れるクラシックテイストが好きなファンは黙ってませんね。ラテン風味がこれまた微妙(笑) マウロ・パガーニがPFMだったのね。



#1344 / COOK / 1975

★★★★

PFM cook (320x317)

別物だと思って買ってみたらイタリア盤「LIVE IN USA」と同じ内容でした。少々薄気味悪いがジャケとしては、アートワークと呼べるのはこっちだね。イタリア盤はやっつけ仕事のライブフォトですから。元AREAのベーシストを迎えた絶頂期にリリースされた初の実況録音盤です。「甦る世界」の英語バージョンリリース後のアメリカ・ツアー、トロントとニューヨーク公演の音源とのこと。1曲目はいきなりその英語盤に収録されている名曲“原始への回帰/Four Holes in the Ground”で最初からパワー全開でライブでも確かなテクニックを披露しております。ハイライトは何と言っても「幻の映像」からの“Celebration”ですね。“The World Became the World”のテーマを繋いでメドレー形式の長編にアレンジされてます。「鬼のパンツ」や「ゼナ」他、日本人なら誰しも口ずさむことができると思われる“フニクリ・フニクラ”を挿入するあたり余裕綽々の遊び心も垣間見えます。ラストのライブ用に作られた曲には、これまたメジャーな“ウィリアム・テル序曲”も。ちょっと食い足りないという人には、セントラルパーク公園を追加した完全版がお勧めです。個人的には“River of Life”に興味津々だ。



#1766 / CHOCOLATE KINGS / 1977

★★★★

PFM chocolate kings

全米制覇を狙って、その意気込みがジャケからあふれ出しすぎた結果、皮肉なことにアンチを生んでしまった6thアルバムです。全米制覇失敗の巻。楽器と兼任ヴォーカル体制から、各自演奏に専念する為にシンガーを加入させて臨んだのにね。PFMのメンバーのプロデュースでデビューしたACQUA FRAGILEのベルナルド・レンゼッティを引き抜いた。兄弟バンドという括りだったはずだが、英語が堪能という理由で掟破りの行為に出た模様。内容はとりあえず素晴らしいです。特に冒頭、元々芸達者な人たちがそれぞれのパートに専念したからこその迫力があり度肝を抜かれる。ただし大幅な路線変更が為されてます。AREAのベーシストに侵食されてしまったか、ハード目のジャズロック風味が支配的。GENESISみたいな歌も違和感を禁じ得ず。従来の同バンドを期待して聴くと豹変ぶりにビックリする。ジャズロックに反対だったんだろうね、今作を最後にマウロ・パガーニが脱退してしまいます。脱退後の「JET LAG」ではさらに従来の持ち味が薄れ、そこで見切りをつけたファンも多いはず。私もその一人。そう考えると、今作はまだまだPFMのクラシカルな哀愁メロも残っているし、何より演奏が充実しているから許せるんだね。パガーニの例のヴァイオリンやフルートを聴くとPFMだと気付けるし。現段階ではPFMとAREAの中間路線くらいではないかと。件のレンゼッティも当時はとても嫌だったけど、今ではちょっと見直してる。ピーガブに寄せすぎたメロはイマイチなれど、ビブラート声がなかなかのポテンシャルだなと。AREAのストラトス師匠の小刻みヴァージョン。キーが低めだから地味に聴こえるがやっぱ逸材なのかも。



#2039 / JET LAG / 1977

★★★★

PFM jet lag

EL&Pのイタリア公演の前座を務めたのが縁で、グレッグ・レイクに呼ばれてイギリスで英語詞主体の「幻の映像」を制作、レディング出演、マンティコアからワールド・デビューと怖いくらいに順風満帆でした。しかし、ベーシストが元AREAに交代、さらに75年ACQUA FRAGILEのヴォーカルが加入。とどめはマウロ・パガーニの脱退でこれが運の尽き。とまあ昔からのファン目線で勝手なことを言っているようであってもだ、同様に思う人は少なからずいるはず。今作がその2名が加わった布陣での初スタジオアルバムなんだけども、もはやPFMにしてPFMにあらず。いや、いい内容なんだよ。PFMらしくないってだけ。でも大事なトコ。こちとらあのPFMが聴きたくて手に取ったわけだからさ。A級戦犯はアクアのVoでB級戦犯がアレアのベースといったところか。ジャズロック・テイストはアレアBが持ち込んだ要素に違いなく、タイトル曲を筆頭にプレイそのものも目立ってる。ここにグレッグ・レイク風のヴォーカルラインが残っていればまだしも…アクアVoによるピーガブ風の歌い回しがとどめを刺すと。ACQUA FRAGILEもGENESIS風だったから想定内ではあるけれど。ずっとイタリアで活動していればよかったのかな~。次作「PASSPARTÙ」まで聴いて私はPFMを卒業しました。



#2110 / RIVER OF LIFE / 2010

★★★★

PFM river of life

THE MANTICORE YEARS ANTHOLOGY 1973-1977というサブタイトルが付くベスト盤です。ヤフオクで安く出品されているのを見つけて落札してみた。リマスターでさすがに音質が向上してますな。2枚組のボリュームにもかかわらず物足りなさを感じてしまうのは、初期作品が好きだから。レンゼッティがしゃしゃり出てくる前の曲だけでよかったのに、とついつい思ってしまいます。シングルのB面”ハンスの馬車”とか未発表ライブ音源4曲があるので貴重なのかもだけど。よって、CD1は文句なしに楽しめましたが、CD2はイマイチって感じかな。各時代をざっくり聴いて感じたのは(レンゼッティ加入前の話ね)ヴォーカルがかなりグレッグ・レイクしてること。EL&Pが気に入るだけのことはあるって話さ。そう考えると…レンゼッティ加入にはEL&Pもがっかりしたのではなかろうか。曲はね、”Liver of Life”や”The World Became the World”を筆頭に申し分ないわけですが、”Celebration”に代表されるあのEL&P的突進力もウリのひとつでしたな。今作収録の未発表”セレブレーション”は音質がイマイチなうえテンポも速すぎて破綻しかけてるよね。更には、いつの時代の音源か定かじゃないんだけど、余計な声を出してるのはレンゼッティじゃないか!? 邪魔だわ~。



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