NIGHTWISH
NIGHTWISH(Finland/芬蘭)
#1441 / OCEANBORN / 1998
★★★★
オペラの歌唱+シンフォニックメタルという形態のオリジネーターです。結成当時はアコースティック・トリオだったそうですが売れなくて考えたのが現在のスタイルというわけ。コレは世界進出盤の2ndアルバムです。煌びやかなキーボーによってゴージャス感を漂わせた北欧系であり、ギター主導で疾走するジャーマン系でもある楽曲-いわゆるメロディックシンフォメタル曲をバックに、本格的なオペラの歌唱を聴かせるという路線はちょっとした衝撃でした。歌っているのはターヤ・トゥルネンという人。顔見知りの音大生(もちろん声楽科)に聴かせたら微妙な反応だったので、そっち筋の玄人耳にはたいしたことないのかもしれませんが、ありがちなゴシック系の女声ヴォーカルとは一線を画す声楽家然とした歌いっぷりが圧倒的です。よくぞメタルバンドにシフトした時に辞めなかったなと思う。2001年にはベース&ヴォーカルとしてTAROTのマルコ・ヒエタラが加入してツインヴォーカル体制になり頂点を極める(「ONCE」アルバム)ものの…ターヤが解雇(2005年)されます。売れたが故の金銭トラブルなんだろうけど結果的にはマルコがターヤを追い出した形でしょうか。ちなみに現在は3代目女性Voが活躍中。
#1723 / WISHMASTER / 2000
★★★★
衝撃度では前作ですが、曲の出来はこの3rdに軍配を上げます。確実なグレードアップが成されました。単純にメタル度も上がってるよね。前作は新たなスタイル(女声オペラ+シンフォメタル)の提示が第一目標のアルバムでした。よって、割と似通った印象の曲が多くて1枚通して聴くと飽きちゃったりしてね。シンガーも同じようなパターンの歌唱だったように思う。お披露目ですから。比べて今作は歌メロの幅が一気に広がった感じだ。基本オペラ歌唱ではあるけれど、色んなパターンが聴けるから飽きない。曲の展開も大幅に増量して、プログレッシブメタルと呼んでも差し支えないくらい。まあシンフォメタルですけどね。もちろん女声オペラ主導なのは変わらないのですが、ともすればヴォーカルばかりが目立っていた前作とは違い、ヴォーカルがバンドの一部になったと感じる。そう聴こえるのは、独特な歌唱に負けない楽曲の充実と演奏のレベルアップに他ならない。男声が加入する次作はまた別モノと言えなくもないので、やっぱコレがイチオシだね。ちなみに本国での人気は凄いそうですよ。フィンランドで3本の指に入るとか。
#1883 / CENTURY CHILD / 2001
★★★★
欧州ではARCH ENEMYなど足元にも及ばないくらいビッグなシンフォメタル・バンドの4thアルバムです。男声ヴォーカルとしてTAROTのマルコ・ヒエタラが加入したのが新味となってます。ディープヴォイスで朗々と歌い上げる歌唱力は、ターヤとタメを張るにも十分だと思う。新機軸となる男女掛け合いヴォーカルやデュエットに可能性の広がりを予感させる。曲自体は前作ほど魅力を感じませんが、それを補うべくターヤの歌唱は多彩になってます。今回はヴォーカルを聴かせるのが最優先事項らしい。アルバムのハイライトは”The Phantom of the Opera”あたりでしょうか。これがデュエット曲なんだけども…ちなみにIRON MAIDENのカバー曲ではなく本来のミュージカルの方ね。大作”Beauty of the Beast”がハイライト・パート2といったところでしょうか。フルート?(シンセかも)がリードを奏でるバラード小曲も素敵。というわけで、ツインヴォーカルとターヤの実力お披露目作品という結論でいいのかな。この体制での本領発揮は次作ということで。