LAAZ ROCKIT
LÄÄZ ROCKIT(US/米)
#1404 / NOTHING’$ $ACRED / 1991
★★★★
ベイエリア系パワースラッシュバンドの5thアルバムです。一般的には前作がイチオシとされているようですがコレでもいいと思う。メンバーチェンジのごたごたを経て製作されたらしいです。ギターの片割れが交替した影響は無さそうだ。ギターリフのザクザク感は確かにベイエリアのそれで安心印のサウンドです。加えてリードギターがテクニカルだったりして、アレックス・スコルニックのTESTAMENTを髣髴とさせる。違いはタイトさでしょうか。リズム陣のキレがいまいちなのか、スラッシュ・メタルにしては全体的にリバーブを掛け過ぎているせいか、スピード感が伝わり難いかも。91年にしては音質もイマイチ。まあそれを差し引いてもインストパートは良しとしよう。何よりこのバンドで一番の問題はヴォーカリスト。好みの問題かもしれませんが、このテンションのみの芸風(ライブ映えはするんだろうけど)はどうにも気に入らない。吐き捨て型と絶叫型の中間かな。よって音程がどうのこうのってタイプじゃないんだが、それにしてもワンパターンなのね。テンション系ならRAVENみたいなのが良かった。
#1659 / LEFT FOR DEAD / 2008
★★★★
前作から17年振りの復活作にして現状最終作となっている6thアルバムです。その後ドラマーやベーシストが亡くなっているので、今後新作は無いでしょう。個人的には今作をバンドの最高傑作と認識しております。というのも80年代の作品にさほど興味を持てなかったから。他のベイエリア勢と比べて、スラッシュ度が低めなバンドでした。スピード・メタルおよびパワー・メタル寄り。ミレニアム以降のベイエリア・スラッシュ反撃の狼煙は、チャック・ビリーのベネフィットコンサート「Thrash of the Titans」でした。チャックのために再結成したバンドも。そこにラーズ・ロキットは参加してませんが、間違いなく影響されたはず。今や定番となっている「スラドミ」もモチベーション維持に貢献しているでしょうか。とりあえずリズムがタイトだとすべてが丸く収まるってもんだね。個人的に苦手だったヴォーカルも耳障りな高音がオミットされメロディに気を配るようになっており、これなら気にならない。ギターもザクザク一辺倒じゃなく、ちょっとしたリフも駆使しており、ソロはもともと折り紙付き。アルバムを締めくくるインスト“Outro”は8分超の大作。ストレートなタイトルとは裏腹にアウトロとしては長すぎるけど、動と静のバランスを駆使した素敵な作品。ここで聴ける2人のギタリストのプレイは、完全にソロイストのそれです。今聴くと、美しい静のバートはバンド自体のアウトロという気がして感慨深いです。