ICED EARTH
ICED EARTH(US/米)
#1411 / NIGHT OF THE STORMRIDER / 1991
★★★★
ザクザクしたギターが目立つパワーメタルバンドの2ndアルバムです。やはり個人的なツボは弩スラッシュよりもこっち寄りにあるようだ。ベイエリアクランチも好物だけどね、スラッシュ寄りのパワーメタルの方がよりテンションが上がるみたい。コンセプトアルバムだそうだが英語が分からないから歌詞の世界観まではちょっとね。バンドの中心人物によるオリジナルストーリーらしいよ。それでもオープニングやエンディングからそうなんだろうなってことは容易に想像できる。アルバムのメインとなるのは概ねパワースラッシュ曲となっております。ヴォーカルは吐き捨て型の一歩手前だからセーフ(笑) バンドの肝は何と言っても高速シュレッド・リフかな。それはもうリズム隊を差し置いて曲を引っ張ってると言えるほど。そもそもスラッシュメタルバンドではないので貴重な作品かも。後々ドラマチックメタル方面にシフトしていくからね。まあそれはそれでクオリティは高いです。ちょいちょい交替するヴォーカリスト(に限らずメンバーチェンジが激しいバンド)次第では良いアルバムになってる。個人的にはティム・リッパー在籍時がピークだったかな。
#1682 / BURNT OFFERINGS / 1995
★★★★
活動する時期やメンバーによって音楽性がちょいちょい変わる(パワー、スラッシュ、プログレ)フロリダ出身のメタルバンドです。ブレーンはギターのジョン・シェイファーで現在残っているのは彼のみ。個人的にはドラマチック・パワー・メタルと認識していますが。今作は「NIGHT OF THE STORMRIDER」から活動休止を経て4年振りの3rdアルバムです。スラッシュ・リフも時折炸裂する前作と同じ路線なんだろうけど、仕上がりは結構違うかな。原因はシンガーの交替(ついでにドラマーも)でしょう。この先長きに渡りバンドを支えることになるマット・バーロウのシアトリカルな歌唱に因るところが大きいと思うわけ。前任者はいい意味でクセがなく音楽に溶け込んでいましたが、この人はかなりのクセ者(笑) 良くも悪くもICED EARTHの声はこのイメージなのだが…歌い方がね~、ちょっと苦手なタイプかも。曲によってはNEVERMOREの呪術系シンガー、ウォーレル・デーンに似てますが。後々プログレ・メタルにシフトするのは必然だったと納得できる大仰な歌唱なのさ。アルバムの締めくくりでもある今作のハイライト、16分超えの組曲“Dante’s Inferno”がコレ以降の路線変更を予告していたってことですな。
#2270 / THE GLORIOUS BURDEN / 2004
★★★★★
ジョン・シェイファーのバンドが、新ボーカルにティム・リッパー・オーウェンズを迎えた7thアルバムです。バンド史上一番売れた作品で、これにより知名度が一気に上がりました。リッパーは当初JP在籍時のサイドプロジェクトでしたが、ロブ・ハルフォード復帰に伴い正式加入。さらにはラルフ・サントーラ(MILLENIUMなど)がギターを担当した唯一のアルバムでもあります。ゲストとして前任ボーカル、マット・バーロウ(バッキングボーカルを残す)も参戦して話題は盛沢山。ちなみに3枚のアルバムを共にしたリズム隊は今作を最後に脱退、ベーシストはMEGADETHに加入します。このようにメンバーの入れ替わりが激しいバンドなので、スティーヴ・ディジョルジオやボビー・ジャーゾンベクが在籍していたこともあるんだね。今作は、独立宣言の調印、独立戦争、ワーテルローの戦い、南北戦争(ゲディスバーグの戦い)など、軍事史のハイライトを繋いだコンセプト作品です。ピアノ、フルートとピッコロ、ゲティスバーグ(1863)三部作(トータルタイム約32分)にはプラハ・フィルハーモニー管弦楽団が参加し、初期の音楽性とは全く違うドラマチックメタルを盛り上げています。冒頭のアメリカ国歌からして盛り上がること必至。件の三部作はちょっと長いと感じるが、そこまで飽きるものではなく、全体としてはかなりの力作に仕上がっている。2021年の議会議事堂襲撃に参加したシェイファーが逮捕され、他のメンバー全員バンドからの脱退を表明、事実上解散状態です。