COLOSSEUM II
COLOSSEUM II(UK/英)
#115 / ELECTRIC SAVAGE / 1977
★★★★★★

元コロシアム(ギタリスト:クレム・クレムソン他)/テンペスト(ギタリスト:アラン・ホールズワース、オリー・ハルソール)のジョン・ハイズマン(Ds)とゲイリー・ムーア(G)を中心に結成された、フュージョン/プログレ・バンドです。他のメンバーの中にも、後に名を馳せるドン・エイリー(Key)とニール・マーレイ(B)が名を連ねているスーパーグループ(当時有名だったのはドラマーだけだったので、「そういえばスーパーだったね」ってコトになったのは後々の話)なんですね。しかしながらスーパー故に短命、アルバム3枚を残して解散してしまいました。ジャンルとしてはジェフ・ベック系の音楽が想像されますが…たしかにその要素は多々あるけれど、ハードロック志向の鍵盤とベースがいたことによって生じたケミストリーですね、いい塩梅にHR寄りのフュージョンロックに仕上がりました。要は、ハードロック耳の我々にも刺さる音楽ということ。が、今回紹介する2ndアルバムでは、シンガーが脱退して1曲を除いてインスト作品に、ニール・マーレイが早くも交代したことによってHR色も後退しています。まず手数が多いドラムに耳を奪われますが、そこで若き日のゲイリー・ムーアのギター、既に腕利きドン・エイリーの鍵盤というリード楽器が暴れまくっているという、中々にエキサイティングな音楽です。オープニングの”Put It This Way”や”Desperado”にて基本的な方向性が掴めるでしょう。”The Scorch”や”Intergalactic Strut”ではプログレッシブとジャンル分けされる所以がわかる。ウン”Scorch”はいいね。そんな中、ゲイリー節を堪能できる”Rivers”が個人的イチオシ曲です。高校時代、師匠にUFOか何かのアルバムを録ってもらった際、カセットテープの余りに録音されていたのがこの曲でした。師匠に録音を頼むときは敢えて60分テープを渡すのね。アルバム本編が40分だとして、各面10分くらい余る計算(若い人たちにな理解不能な話でしょうが)になるよね、すると親切な師匠はその余白に、自分の推し曲を録ってくれるわけ。そっちの方が本編より楽しみだったりした時期がありましたな(笑) そんな思い出抜きにしても”Rivers”は名曲だよ。アルバム唯一のヴォーカル曲でもあり、しかも歌っているのはゲイリーだもの。”Lament”も歌なしの同一路線で素敵です。とりあえず全部いいな。「入口がハードロック時代のゲイリー」世代だと、物足りなく感じるでしょうね。おそらくソロデビュー作「BACK ON THE STREETS」も同様だと推察する。でもね、こういう面もあるというか、むしろ出自はこちら。HRに寄っていく以前の貴重な時期なんだよ、とか言っても無駄なんだろうけど。百歩譲ってブルーズ時代よりはいいんじゃない?
#265 / WAR DANCE / 1977
★★★★★

コラシアムⅡ最後の作品になってしまった3rdアルバムです。当時は”コロシアム”ではなく”コラシアム”表記でしたよね。コラシアムのジャズロックを進化させたコラシアムⅡの、ジョン・ハイズマン(2018年没)流クロスオーバー・フュージョン最終章。前作に引き続きギターはゲイリー・ムーア(2011年没)、keyはドン・エイリー。ベースはニール・マーレイからジョン・モール(2006年没)に交代しています。”War Dance”と言われると、確かにそんな雰囲気を感じるタイトルチューンで開幕。メンバー同士のバトルって意味合いもあるかもね。”Fighting Talk”なんてタイトルも同様の理由から?タイトルありきで作曲したか、出来上がった曲のイメージからタイトルを付けたのか、どちらも可能性あるな。前作のオープニング曲だった”Put It This Way”の続編的な”Put It That Way”は、各メンバーのテクニックが炸裂するハードフュージョン。今回も唯一のヴォーカル曲”Castles”で歌っているのはゲイリーですが、同じタイプのしっとり曲ではあるものの、前作収録の“Rivers”には及ばなかった。そしてアルバムのハイライトは”The Inquisition”で間違いないでしょう。こちらもメンバー全員によるバトルの様相で、そんな中ゲイリーのスパニッシュギターが切り込んでくるスリリングな展開を聴かせてくれます。3部構成の”Star Maiden/Mysterioso/Quasar”が続き、締めくくりは”Last Exit”。バンドの解散はすでに決まっていたかのようなエンディング曲のタイトルだね。それにしてもハイズマンのドラミングは忙しい。
#466 / STRANGE NEW FLESH / 1976
★★★★★

元COLOSSEUMのジョン・ハイズマン(Ds)が結成したスーパーグループのデビューアルバムです。ゲイリー・ムーア(G)、ドン・エイリー(Key)以下、今作でベースを担当したのは、後に色んな所(VOW WOWにいたるまで)で活躍することになるニール・マーレイ。そして、マイク・スターズ(後にジョン・ロートンの後釜としLUCIFER’S FRIENDに参加)という専任ボーカリストが在籍する唯一のアルバムでもあります。ハードロック畑のメンバーが3/5を占めたため、COLOSSEUMとは似て非なるハード寄りフュージョンの様相を呈している。大筋では、残した3枚のアルバムのどれを聴いても方向性に大差はないのですが、今作のボーカル曲(特にファンキーな”Gemini and Leo”とポップ曲”Secret Places”)は好みが分かれるポイントかも。収録は全6曲。オープニングの”Dark Side of the Moog”は文句なし。タイトルはPINK FLOYD「狂気」のパロディで、moonをmoogと捩っている通り、エイリーのムーグシンセがリードする今作では唯一のインスト。ハイズマンらしい手数の多いドラミング、シンセにからむゲイリーのギター、このメンツだとこうなるというお手本みたいなスリリングな楽曲だ。パティ・スミスのカバー”Down to You”も、長めのインストパートを中盤に挟んだ秀逸バラードに仕上がっている。終盤2曲は、ジャジーな”On Second Thoughts”と、徐々に盛りを見せる10分半のプログレフュージョン大作”Winds”。10曲のデモ音源(さらにライヴ音源3曲追加バージョンもある)をボーナス収録したリマスター盤がオススメです。3枚のアルバムをリリースしましたがヒットには結びつかず(そりゃそうだろ笑)、ゲイリーは4度目のTHIN LIZZY参加のため脱退、まもなくエイリーもRAINBOWに加入することになり、バンドは解散しました。