Stop thinking you can't do things and start thinking you can. Your future is whatever you make it, so make it a good one.

CAMEL

CAMEL(UK/英)

#36 / THE SNOW GOOSE / 1975

★★★★★★★

Camel the snow goose (320x320)

プログレ5大バンドに次ぐポジションにいた(と思っている)、アンドリュー・ラティマー率いる叙情派プログレバンドです。初期のアルバムはどれもオススメですが、やはりこの3rdにしてコンセプト・アルバムがひときわ思い出深い。ポール・ギャリコの短編小説にインスパイアされて制作されました。アルバムに嵌った故、コンセプトを深く理解したら新しい発見があるかもなんて思ってね、後に本を読んでみました。ざっくり言ってしまうと、優しい男女の、優しさゆえの切ない恋物語。原作者がタイトル(というか原作から引用した歌詞が問題だったとか)の使用に難色を示したため、正式にはアルバムタイトルの頭に「Music inispired by…」が付くんですね。邦題は「白雁(スノーグース)」。アンドリュー・ラティマーのギターとフワっとした声を聴くと「ああ、キャメルだ」とすぐにわかる個性に癒されます。フルートも然り。何かしらの個性がないと5大バンドの牙城に迫るのは難しいのです。もうひとりのキャメルの顔、鍵盤担当のピーター・バーデンスも忘れてはいけない。そしてこの二人のメロを支えるリズム陣が、ドラムのアンディ・ウォードとベースのダグ・ファーガソンというわけ。今作はコンセプト・アルバムということもあって、ロンドン交響楽団によるオーケストラ・アレンジが施されております。何から聴こうかと迷ったなら、まずは「スノーグース」を、是非一度お試しあれ。ジャケも素敵でしょ。中身が透けて見える素敵なジャケ、プログレというジャンルに限らず名盤とはこうあってほしいもの。個人的には、明らかに原作を読む前と後の印象が違います。景色が想像できるのよ。すでに今作を愛聴しているプログレファンの皆様、騙されたと思って原作を読んでから聴いてみてくださいませ。



#155 / MIRAGE / 1974

★★★★★

Camel mirage (320x320)

2ndアルバム「蜃気楼」です。1発目に「SNOW GOOSE」を紹介しましたが、ともすれば異色作(ストーリーアルバムでオールインスト)と言えなくもなく、ちょっと間違ったかなという気がしてたのね。もちろん名盤ですけど…実はキャメルというバンドの本領は、その前後の作品にこそあると思ってます。癒し系プログレのトップであると同時に、ジャジーでテクニカルな側面も併せ持ち、カンタベリー人脈との繋がりからも推察できる曲作りの妙があるんだね。曲中に劇的な展開を入れるのも決して忘れない。そしてロック耳には、ポップな方向にシフトする前のアルバムが心地いいし、加えてプログレ度が高ければ言うことなし。今作は他の作品と比べると少しハードな印象があり、そこがまたいいわけよ。”Lunar Sea”や”Echoes”等、バンドを代表する名曲はたくさんあるけれど(そのうち紹介します)、何しろこのアルバムには、バンドの代表曲にしてライブの定番、”Lady Fantasy”(13分弱の組曲)が収録されているわけで、やっぱりこっちがイチオシかなと思い直した次第です。高校時代、まだ私が誘われる前のバンド(師匠、ドラマーT、ベースRに加え、ベースRの兄貴である鍵盤Kという編成)でコピーしたらしいけど、こんな長い曲、覚えられたのかい?聴くのはいいが演るのはちょっと、というタイプの曲だと思うけど。これ以外の曲もいいです。A面の”Freefall”、”Supertister”(インスト)、”The White Rider”(組曲)、B面の”Earthrise”(インスト)。そういえば全5曲、プログレだね~。2002年リマスター盤がお勧めです。74年のライブ音源と”Lady Fantasy”のオリジナル・ミックス(73年)なるものがボートラ収録されていますゆえ。



#299 / MOONMADNESS / 1976

★★★★★

Camel moonmadness

「スノーグース」に続く4th「月夜の幻想曲(ファンタジア)」です。キャメルの最高傑作との呼び声が高い名盤ですが、第一期のキャメルはここまで、個人的な好みにドンピシャなプログレは今作にて終了となってしまいました。第二期にも“Echoes”という名曲があるんだけどね、コレは例外の一つであり、全体的にはポップ風味が増したという印象は否めない。もっとも今となっては、ポップ化に対してかなり寛容になっているので、5th以降のアルバムもそれなりに楽しんでいますが。というわけで、今作は初期キャメルの集大成で間違いない。特に思い出深いラス前の“Air Born”(師匠がカセットテープの余りに録ってくれた)のみならず、オープニングインスト”Aristillus”からラストの9分超インスト“Lunar Sea”まで全部いい。バンドの特長であるアンドリュー・ラティマーのギター、ボーカル、フルート、リコーダー、ピーター・バーデンスの多彩なキーボード、変拍子、#2”Song Within a Song”でのダグ・ファーガソン(B)のボーカルなど、キャメルの魅力が余すことなく詰め込まれています。ジャズ・フュージョン風味がちらつき始めた(#3”Chord Change”)今作を最後にベースのダグ・ファーガソンが解雇され、CARAVANのリチャード・シンクレアが加入しました。これ以降のポップ化を含む方向性の変化は、元キャラバンがカンタベリー風味を持ちこんだからに違いない。そのせいで、当時はキャラメル(CARAVAN+CAMEL=CARAMEL)と呼ばれていたそうですよ。VAN HALENにSAMMY HAGERが加入した際のヴァン・ヘイガー的な(笑) これは当然、音楽性の変化に対するコアなファンからの揶揄ですね。大人の嗜好品(キャメルはタバコの銘柄)が子どものおやつ(森永に代表されるお菓子キャラメル)になってしまったと。さすがモンティパイソンの国、どんな状況でも上手い事言うもんだね。今作をこれから手に入れようと思っている人には、2002年盤をおすすめします。”Another Night”のシングルバージョンをはじめ、”Spirit of the Water”のデモ、”Song Within A Song”と”Lunar Sea”のライブ音源(76年ハマースミスオデオン)などがボートラ収録されているので。



#457 / A LIVE RECORD / 1978

★★★★★

Camel a live record (320x314)

キャメルの数あるライブ盤の中でイチオシはこちらの1stライブアルバムです。74年~77年というキャメル絶好調時の2枚組実況録音だから間違いなし。当時レコード店でもらった(買ったレコードはキャメルじゃなかった)ライブシーンのポスターを長らく部屋に貼ってたんだけど、おそらくはこの時期のショットだと思われる。今作の邦題は「ライヴ・ファンタジア」。つまりここ日本においてキャメルのプログレはfantasyと捉えられていたってことでしょうね。さて、聴きたい曲はほぼ聴ける選曲です。アナログ盤A面”Never Let Go” と”Song Within a Song”は77年はマースミス・オデオン。”Lunar Sea”は同年ブリストルでの録音。B面の目玉”Lady Fantasy”のメドレーは74年マーキーにて。そして今作の目玉中の目玉はC面D面をすべて使った「SNOW GOOSE」の丸ごと再現でございます。ちなみにこれは75年ロイヤル・アルバート・ホールでのライブとなっております。個人的には差し替えてほしい曲もありますが、まあ「雨のシルエット」までならこうなるかな。どうせ手に入れるなら2002年のリイシュー盤がお勧めです。すでに旧規格を持ってる人が買っても損はないです。大幅にボートラ追加(時期が時期だけに「雨のシルエット」からの選曲が多いのはご愛敬)のみならず、曲順並べ替え仕様となっておりますゆえ。



#567 / CAMEL / 1973

★★★★★

Camel (318x320)

ファンタジープログレの歴史はここから始まった、記念すべきデビューアルバムです。ライブの定番にして代表曲の“Never Let Go”が収録されています。後の名曲“Lady Fantasy”の雛形といえるでしょうね。曲作りはギターのアンドリュー・ラティマーとオルガン、メロトロン、ピアノ、シンセのピーター・バーデンスが半々という構成。ヴォーカルはこの両名にベースのダグ・ファーガソンを加えた3人がそれぞれ2曲ずつ務めるというのは中々珍しいかな。後に喧嘩別れすることを考えると、デビュー当時のこの頃はさすがに仲良さそうでいいね。キャメルは2nd~4thが大好きです。それは間違いない。でも5th以降も、別物と捉えればそれはそれで楽しめる。かつては苦手だった囁き系のヴォーカルも今では大好物になってることだし趣味嗜好は年齢とともに変化するものなんだね。10年、20年経って久々に聴いてみたら「おや!?」みたいな。この調子なら死ぬまで飽きずに過ごせちゃうね(笑) いや~音楽って素晴らしい!



#670 / BREATHLESS / 1978

★★★★★

Camel breathless (318x320)

「MOONMADNESS」リリース後、まずベースのダグ・ファーガソンが解雇されます。後釜に座ったのはカンタベリーの重鎮にして元CARAVANそしてHATFIELD AND THE NORTHのリチャード・シンクレアでした。更にはゲストメンバーとしてメル・コリンズを迎えます。そして「RAIN DANCE(雨のシルエット)」をリリース。今作は同じメンバーで制作された6thアルバムというわけ。ラジオ向けのコンパクトな楽曲が多くなったものの、どちらも7分強の”Echoes”と”The Sleeper”にプログレ魂をしっかりと残している。今回のゲストメンバーは鍵盤のデイヴ・シンクレア、そう、ベースのリチャードとは従弟同士で当然元CARAVANだね。もうひとりクラビネットで参加した人も元CARAVAN。ラティマーがバーデンスを追い出すための布石とも勘ぐれるね。事実として、今作レコーディング後にキャメルの片翼ピーター・バーデンスは脱退、ほどなく前出2名が後釜に収まっているのだせんじゅつ。一気にCARAVAN率が高まってしまったから、そりゃあカンタベリーの一群に括られたり、CARAMELとか言われちゃうのは仕方がないわな。でもね、そんな事はどうでもよろしい。黙らっしゃい!ここにおわすをどなたと心得る!畏れ多くも超名曲“Echoes”にあらせられるぞ!頭が高~い!控えおろう!というわけでね、この1曲だけで★5つ進呈しますよ。というくらい想い出深く大好きな曲でございます。



#818 / RAIN DANCES / 1977

★★★★

Camel rain dances (320x319)

ご存知の通りCARAVANからリチャード・シンクレアが移籍してきてキャラメルの素地が出来上がりました。更には元KING CRIMSON他のメル・コリンズ参戦ですよ。この人のキャリアはもの凄いんだよ。ビッグネームと共演しまくり大会。興味がある人はwikiで調べてください。加えて今回はゲストにブライアン・イーノときたもんだ。この辺からオリジナルkeyの存在がフワフワし始めたね。アンドリュー・ラティマーVSピーター・バーデンス、勝負の行方や如何に…勝者ラティマー。あからさまに様子が変わってしまい、当時はがっかりした新生CAMELの5thですが、今では冷静に聴けるようになりました。ジャジーでポップで…カンタベリー系としては傑作の部類に入っちゃうでしょ。結果的にはオシャレな雰囲気が結構気に入ったりしてますわ。こちらが勝手に期待するプログレ度は確実に薄まってしまったけれど、まあプログレ衰退期ゆえ諸事情があったのかもしれない。売りたかったレコード会社と売れたかったラティマーとの利害が一致。職人気質のバーデンスは弾かれたという構図かな。勝手な推測ですけどね。



#1105 / I CAN SEE YOUR HOUSE FROM HERE / 1979

★★★★

Camel I can see your house from here (320x320)

パンクな時代、更にポップな方向に加速した7th「リモート・ロマンス」です。前作でCAMEL の一翼ピーター・バーテンスが脱退した結果こうなりました。ELOみたいな曲はまだしもだ、AORな歌唱やテクノ風の曲(なぜコレをアルバムタイトルと関係ないのに無理やり邦題にした?)まで飛び出す始末。つーかどいつもこいつもイントロが短いもの。そんなのプログレじゃない! ファンタジーなキャメルを期待すると1曲目からズッコケるぜ(笑) F1グランプリが思い出される軽快な曲だけどさ、時代かな~。KING CRIMSONで有名なメル・コリンズが参加した2曲目もそんな感じ。3曲目の“Eye of the Storm”は安心する。やっぱキャメルはこうでないと。あとは“Hymn to Her”とエンディングのインスト“Ice”が良いです。前者は間奏でのフュージョン風な盛り上がり方が素敵。師匠のオリジナル曲を髣髴とさせるね(笑) 後者はラティマーのギターとツインキーボードを堪能できる大作です。丸ごとポップじゃなし、締めくくりがこの大作だから救われる。プロデュースはルパート・ハイン。パーカッションでフィル・コリンズも参加しているらしい。



#1760 / NUDE / 1981

★★★★

Camel Nude

「ライヴ・ファンタジア」後のツアーが終了し、CARAVAN再結成のためシンクレアと鍵盤が脱退、ついでにコリンズも脱退。新ベースと元HAPPY THE MANのキット・ワトキンスが加入して「リモート・ロマンス」を制作。ワトキンスが脱退して元10CCのダンカン・マッケイが加入。そして今作をレコーディング。79年来日時に小野田寛郎少尉に関する本を入手、それに触発されて書き上げたオリジナルストーリー8thアルバム「ヌードの物語-Mr.Oの帰還」です。後にラティマーの伴侶となるスーザン・フーヴァーが作詞&コンセプトを担当した作品。初めての共同作業は大成功じゃない!? 映画のサントラっぽい仕上がりで、原題および邦題を参考に聴くのがお勧めです。タイトル通りの情景が目に浮かぶよ。①街での生活②ヌードのテーマ③徴兵の時④埠頭にて⑤島への上陸⑥島の風景⑦果てなき逃亡⑧心の聖域⑨プリーズ・カム・ホーム⑩巡る思い⑪保護⑫帰還⑬偽り⑭永遠の別れ⑮新しい旅立ち…となります。フュージョン風味の⑤Beachedと⑪Capturedあたりがハイライトでしょうか。特に後者はね、知る人ぞ知る前田日明の入場テーマですから。映画、音楽に次いでWOWWOWに入会を決めた理由はRINGSだったな。もう退会しちゃったけどね。ところで、今流れてる♪WOWWOWに入ろかな♪ のCMはいいね。柳楽優弥の親父がなぎら健壱って設定の妙に気付きました?「なぎら」も漢字にすると「柳楽」なんだよ。話を戻します。ギズモみたいに聴こえる部分は気のせい?確かに元10CCがいるけどね…メロトロンのクレジットもないし、普通にコーラスのオーヴァーダブなのかな。この後アンディ・ウォードが脱退し、遂にオリジナル・メンバーはアンドリュー・ラティマーだけになり、以降はラティマーのソロ・プロジェクトになっちゃうのね。バーデンス、カム・バーック!



#1912 / PRESSURE POINTS / 1984

★★★★

Camel pressure points

キャメルのライブ盤はたくさんリリースされている。wikiに掲載されているだけで14枚。これらのうち半数ほどしか聴いていませんが、明らかなハズレを引いたことがない印象。本来なら70年代最盛期のライブが優れていて然るべきと思うでしょ。でもね、90年代のライブもいいんだね。つまりジジイになってからの演奏もイケてるのさ。演ってる曲のタイプ(ファンタジー系プログレ)故なのかな。この辺りHR/HMバンドとは違うところですな。爺さんたちのメタルは痛々しくもあり微笑ましくもあり(笑)本来の楽しみ方ができなかったりするからね。キャメルの場合は、ラティマー主導になってからはAORみたいなところもあるから逆に違和感がないのかも。今作は84年のライブだから正直なところ微妙な時期ではある。一応ピーター・バーデンスとメル・コリンズがゲスト参加してたりするけど。当時はCDラック直行パターンだったけれど、今聴いてみるといいんだなコレが。「NUDE」や「STATIONARY TRAVELLER」をしっかり鑑賞した後だからこそだと思われる。当時はこれらスタジオ2作品もイマイチと切り捨てていたので。「A LIVE RECORD」のセットリストとはガラリと違いますが、80年代キャメルが堪能できる好盤です。旧盤は全10曲ゆえ食い足りなさが残ってしまうので、これから購入の際には、ボートラ6曲追加の2009年Expanded&Remastered Editionをゲットしましょう。



#2040 / STATIONARY TRAVELLER / 1984

★★★★

Camel stationary traveller

ラティマーのソロ的な9thを挟んでリリースされた、ドイツの東西分裂(ベルリンの壁)をテーマとした10thコンセプト・アルバムです。ヌードに続いてコンセプト作品とは、この方向性が好きなのか、あるいは伴侶スーザン・フーヴァーの差し金か。しかしながら、しっかりと一人CAMELが成立している事実が、この選択が正解だったことの証明なんだね。オープニングのインストからしてスリリングです。期待を煽るギターメロが素晴らしい。中盤に位置するタイトルチューンもインストですが、これまたいいね。あとは何と言っても最後の曲”Long Goodbye”でしょう。これぞCAMELのヴォーカルラインですな。総じてラティマーの歌唱には癒されるわけですが…この曲のリード・ヴォーカルのクレジットは前作にも参加した新メンバー(ゲスト)になってる。そうなの?#4はキーが高いから新Voってことはハッキリとわかるけれど、これも同じ人ですかい?ずいぶん器用な人なんだね。まあ歌メロはラティマーが考えたのだろうし、声質が似てるからいいんだけどね、この曲に関してはポイントはそこじゃない!アルバムのトリに”Long Goodbye”はまあありがちかもしれないが、本当にこの後解散しちゃうとなれば、ファンへのメッセージに違いなかろうと。PILOTのB&Voとメル・コリンズも参加してます。



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