Stop thinking you can't do things and start thinking you can. Your future is whatever you make it, so make it a good one.

BEATLES

THE BEATLES(UK/英)

#100 / LET IT BE / 1970

★★★★★★★★

Beatles let it be (320x320)

音楽というものをハッキリと意識し始めたのはいつでしょう?タイガーマスクのソノシートや歌謡曲のドーナツ盤、テレビ番組の録音やラジオ番組のエアチェック、BAY CITY ROLLERSやKISSで盛り上がったりしていた中学生時代…。で結局のところ、もちろんリアルタイム世代じゃないんだけれど、小学生の頃に自然と耳に入ってきたビートルズがルーツなのではないかと。洋楽に限定すればほぼ間違いなかろう。CMで使われていた影響から最初に意識したのは“She Loves You”だと思う。ジーンズをはいたままバスタブに入ってブラシでウォッシュした人がたくさんいたはず!HM/HR好きを自負してはいるけれど、ジャンルを問わず何が1番かと訊かれたなら迷うことなくBEATLESと答える。何年経っても色褪せないところが凄い。レノン&マッカートニー恐るべし。初めてきちんとレコードで聴いたビートルズ作品はたぶん「赤盤」と「青盤」で、それ以前には「ホワイトアルバム」や「アビィ・ロード」もカセットテープで丸ごと聴いている。更にそれ以前の作品については、エアチェックして聴いていた有名曲しか馴染みがなかった。それでも半分くらいは聴いたことになるのかも。今回紹介する「レット・イット・ビー」もアルバムを通して聴いたのはしばらく後の話なんだけどね、タイトルチューンが大好きだし、ラストアルバムだし、ということで選ばせて頂きました。同名映画のサントラという変則アルバムなので切り離して考えた方がよさそうだけど…重要なオリジナルアルバムであるのは間違いない。まずは解散間際に、ビートルズとして最後の力を振り絞ったゲット・バック・セッションありきで、同時に撮影もしていたということ。そのレコーディングが「アビィ・ロード」製作の後にも行われていたことが分かって、公式にラストアルバムと認定されました。ただ…過剰なオーヴァーダヴを排した原点回帰アルバムという最初のコンセプトが徐々に崩れてしまいます。結局フィル・スペクターがオーケストラとコーラスのアレンジを重ねた本作がリリースされるのですが、特にポールは気に入らなかったと。で30年以上の時を超えてネイキッド(アレンジ排除盤)がリリースされるという流れ。けど先に聴いた作品が刷り込まれてるから、ネイキッドが真の姿だと言われても頭が受け付けないのは当然ですね。オープニングの“Two of Us” は、ベースラインをギターの如く弾いており、そこばかりに耳が奪われる。ポールのやりたい放題と思いきや…ジョージがギターの低音で弾いてるんだって。目から鱗の新事実。“Dig a Pony”は複雑なリズムが心地よい曲。ギターも面白くて、なんとなくシド・バレットを思い出しました。 そしてジョンの名曲“Across the Universe”の登場。「Jai guru deva om」の部分を「Across the Universe」と歌っているんだと思ってましたけどね、明らかに違うとも思ってたのよ。音は似てると思うんだよね。ジョンの言葉遊びという気もしてくるね。ポールには納得できまいが、この曲におけるフィル・スペクターのオケとコーラスは絶品だと思う。徐々に被さってきて最後は大盛り上がりですわ。ジョージの“I Me Mine”はまあ普通かな。“Dig It”は次の“Let It Be”への繋ぎみたいな例のおふざけ。 “Let It Be”もネイキッドはネイキッドでいいんだけど、やっぱこっちだね。“Maggie Mae”はジョンの即興。でここからアナログB面に突入します。まずはポールの絶叫が響き渡る“I've Got a Feeling”で再スタート。続くはノリノリの “One After 909”です。最後にジョンが「Oh Danny Boy…」と突然歌いだす。ちなみに「9」はジョンのラッキーナンバーだそうです。そして“The Long and Winding Road“ですね。流石にこの曲でのフィル・スペクター・アレンジはやり過ぎかもって感じ。最初から全開だもの。それでも擦り込まれているのはこのヴァージョンなのね。ジョージの”For You Blue“は結構好き。ジョンのスライドギターがいいよね。ジョンのアイデアらしい。曲中にちょいちょい登場するアドリブの歌や語りはこのアルバムならではの特徴です。ライブ録音ならではのノリだよね。コレだけ聴いてると解散寸前とは思えないんだけど。さてオーラスに控えしは”Get Back“でございます。コレは文句なし。ピアノでビリー・プレストンが加わったゲット・バック・セッションのメイン・ソングです。アップル・ビルの屋上で「原点回帰」を高らかに歌い上げたのですが…ビートルズは解散してしまいました。



#175 / ABBEY ROAD / 1969

★★★★★★★

Beatles abbey road 2 (320x320)

ビートルズのリマスターCDが発売されたのは2009年、即座にAmazonでBox Setを予約してゲットしました。初ステレオ云々はともかく、これを機に聴くがよろしい。若い世代も学校で歌わされたりしいてるはずだから、知ってる曲が結構あるよね。経済的に無理なら親に頼んでみよう。BOXセットは高額だけど、ビートルズだったら買ってくれるかもよ。オリジナルアルバムはすべて必聴だと思いますが、今回は有名すぎるジャケの「アビィ・ロード」をチョイスしてみました。ゲット・バック・セッションの後にレコーディングされた時点ではラスト・アルバムでしたが、今作リリース後に「LET IT BE」のレコーディングが追加されていたため、公式にはラス前アルバムに位置しています。しかしながら内容を確認してみると、特に今作の目玉であるB面の未完成曲メドレーを聴いちゃうとね、ホントに解散間近だったんだなと感じるし、コレがラスト・アルバムということでも良かった気がする。ジャケについても触れないわけにはいきませんね。とりあえず我が家でも、額入りのポスターを飾っているけれど、おそらく世界中で物凄い数のポスターが消費されてるんだろうな。ポールが裸足になってるだけで死亡説が流れるとは、熱烈なファンは想像力に満ち溢れている。その最悪の結末がジョンの射殺事件ということになるのでしょう。アルバムは“Come Together”で幕を開けます。印象的なベースが曲の骨格を成している。2曲目はジョージの名曲“Something”です。ジョージの作品は独特なものが多く、それが各アルバムのいいアクセントとして機能しているのですが、この曲に関してはポールの作曲と言われても納得してしまいそう。続く“Maxwell's Silver Hammer”と“Oh! Darling”はレノン&マッカートニー作品。前者はいかにもビートルズらしい佳曲、後者はポールの熱唱が凄い。5曲目はリンゴの名曲“Octopus's Garden”です。ファニーな雰囲気がいかにもリンゴ。こののんびりした歌声がリンゴ節ですね。“I Want You (She's So Heavy)”はさすがに長くて飽きる。B面はジョージの“Here Comes the Sun”でスタート。エリック・クラプトンの家の庭で日向ぼっこをしているときに書かれたとか。言われてみれば温もりを感じるね。続いてはコーラスグループの面目躍如“Because”です。エレクトリック・ハープシコードが荘厳さを演出している。さてここから件のメドレーが登場。“You Never Give Me Your Money”から“Sun King”、“Mean Mr. Mustard”、“Polythene Pam”、“She Came in through the Bathroom Window”、“Golden Slumbers”、“Carry That Weight”、“The End”、そして“Her Majesty” まで、12分強に纏め上げられた「サージェント・ペパー」と言われたりもする、アイデアの寄せ集めとは言い切れないレノン&マッカートニーの集大成メドレーです。ジョンとポールの殴り合い、最後のメッセージにふさわしい。まあアレだね、本当に興味がある人は、こんな付け焼刃なレビューではなく(笑)、何らかのビートルズ関連本を1冊読んでみることをお勧めいたします。



#178 / SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND / 1967

★★★★★★★

Beatles sgt peppers (320x306)

海の向こうのライバルBEACH BOYSへの倍返しを達成したどころか、「RUBBER SOUL」「REVOLVER」で磨いてきたスタジオテクノロジーを駆使した実験的サウンドの集大成、と呼ばれるほどの名盤となってしまった8thアルバムです。ちなみに次作「MAGICAL MYSTERY TOUR」も同様の路線ですよ。ビーチボーイズは言うに及ばず、サイケロックの連中にまで多大なる影響を与えることになりました。世界初のコンセプトアルバムってことで、この作品をプログレの始まりとする説もあるくらい。架空のバンドを設定したストーリー性といい、アートワーク(著名人が多数登場する賑やかなジャケ。左下には福助が居る)といい確かに後のプログレはこの延長線上にあるような気がしてくるね。イントロとアウトロに据えたタイトル曲がアルバムのテーマ。“With a Little Help from My Friends”と “Lucy in the Sky with Diamonds”(ぶっ飛んだ歌詞やサイケな曲調からドラッグでハイになった状態で作詞したのではと疑われた作品ですね。タイトルの頭文字を並べるとLSDってそりゃ疑われるわな)で畳み掛ける、オープニングの3連発は特に強力。”She’s Leaving Home“や”When I’m Sixty-Four“も、様々なアコースティック楽器を駆使して重要な「静」の部分を担っています。”Being for the Benefit of Mr.Kite!“では摩訶不思議な効果音が炸裂します。出番は少ないものの(色んな楽器を使うのに夢中でギターの出番がほぼ無い。ちょっと目立つギターがあるかと思えば、弾いてるのはポールだったりする)ジョージお得意のインド音楽もありますよ。今作に限っては、似通ったタイプの曲が存在しないのだ。しないのD物語はポールの曲をジョンの曲が挟む形の“A Day in the Life”で大団円を迎えます。実験的な音楽を追及した中期はコレにて終了…のはずでしたが、変則盤の「マジカル・ミステリー・ツアー」が2009年に9枚目のオリジナルアルバムとして認定されたので、現在では「マジカル…」までが中期ってことになるのかな。特に中期のアルバムに関してはステレオ盤をお勧めいたします。モノラル盤こそビートルズという人にこそ是非聴いてほしい。色んな音がハッキリ聴こえるからね、聴く度に新しい発見があると思うよ。ポールのベースだけに注目して聴いてほしい。目から鱗のベースプレイに、飽きるほど聴いたアルバムをまた何十回も聴くことになるでしょう。ところでビートルズ・トリビュート・イベントはご覧になりましたか?”SGT. Pepper’s…”から”With a Little…”の流れでヴォーカルがポールからリンゴにリレーされる場面はとても感動的でしたね。



#180 / MAGICAL MYSTERY TOUR / 1967

★★★★★★★

Beatles magical mystery tour (320x320)

当初リリースされたのは、自作自演映画のサントラ+既発シングル曲というアメリカ編集の変則盤でしたが、後に本国でも発売されめでたく公式アルバム9枚目のポジションを獲得した作品です。実はビートルズのアルバム中で、好きな曲が一番多いのはコレだったりするから困ってしまう。映画そのものは駄作ということで意見は一致しそうですが、挿入曲は実に素晴らしい。よって、映画として鑑賞するのではなく、プロモーションビデオとして見ればいいのではないでしょうか。実際のところ、ポールが小躍りする“The Fool on the Hill”(リードボーカルはポール)の場面は秀逸だと思うし、大団円を迎える“愛こそすべて/All You Need Is Love”(リードボーカルはジョン)のシーンも実に楽しげでよろしい。所謂グランドフィナーレ~カーテンコールですね。オーケストラの使用楽器が見て取れるところもありがたい。そういう意味で、やはりアルバムを聴いただけでは片手落ちだと思われる。我慢して(笑)映画も観ましょう。出鱈目で退屈な場面の応酬だけどね、だからこそ耳慣れた曲が流れた時の爽快感が得られることでしょう。まずサントラを聴いてからの映画鑑賞という順序をご提案申し上げます。さてアルバムですが、アナログA面が映画のサントラで、B面がシングル曲となっております。A面のレコーディングは67年4月25日から11月で、B面の“Hello Goodbye”や“All You Need Is Love”なども同時期の録音らしい。それと“Strawberry Fields Forever”は、サージェントペパー制作前か制作初期の段階にレコーディングされてます。プログレッシブな雰囲気を纏った大好きな曲です。管弦楽器の使い方が素晴らしく、ヤングジョッキーのプログレベストにランクインしたのも頷ける出来栄え。サージェントペパーに収録されていても全く違和感がないけどね、コンセプトに合わなかったのでしょう。いずれにせよサージェントペパーへの布石であったことに間違いはなさそうだ。あとは“Penny Lane”が、サージェントペパーの製作期間中に作られてるね。それではA面をざっくりご紹介。オープニングのタイトルトラックは映画の冒頭に使われている実に楽しげな楽曲。マジカルでミステリアスなツアーにようこそ!2曲目にして早くもハイライト、前述の名曲“Fool on the Hill”の登場です。しかしいい曲だよね。大好きですわ。3曲目は異色のインスト“Flying”です。当時は気にも留めてなかったけれど、四人囃子がカバーしていたことで、個人的に一気にクローズアップされました。ジョージらしいインド風味の曲(コレ以外はレノン&マッカートニーの作詞作曲)を挟んで、ちょっとコミカルな“Your Mother Should Know”に続きます。そしてA面ラストを飾るのが、ちょいちょいカバーされてるサイケロックの名曲“I Am the Walrus”。ぼくはセイウチ…ぼくは卵男(ハンプティ・ダンプティらしい)…ググーグジューブ♪という擬音が秀逸です。やっぱ天才だな。グッジョブと掛けてる説は正しいと思う。劇中ではサイケな衣装を身に纏ったメンバーが演奏してるから、さながらPVの様相を呈している。こちらも、映画中数少ないハイライトシーンの一つです。



#200 / THE WHITE ALBUM / 1968

★★★★★★★

Beatles white album (320x320)

一般的に「ホワイト・アルバム」と呼ばれている初の2枚組作品です。自身のアップル・レーベル第1弾アルバムでもあります。US盤ゆえに外されていた「マジカル・ミステリー・ツアー」が9枚目のオリジナルアルバムに格上げされたため、10枚目の作品ということになっています。良く言えばバラエティに富んでいるし、換言すればまとまりに欠けているのだが、前者の意見が多数派なんじゃないかな。ソロ作品の集合体?結構じゃないか!4人がアイデアを持ち寄って2枚に纏められたわけだから、紛れもなくTHE BEATLESでしょ。結果的に現代音楽のすべてが入っいるなんて評されてもいるからね、やはり名盤ということでいいと思う。トータル30曲のボリューム、プログレと呼んでも差し支えないほど多種多様な曲。どうせ通して聴くのだから問題ない。曲単位ではなく、アルバム丸ごと通してよく聴いてたのは…“LET IT BE”と“ABBEY ROAD”とコレと“赤”と“青”なんですね。中学生当時の洋楽発信源は、同級生で後のバンドメイトHAだった。HA自身はリアルタイム世代の兄から影響されたものと思われる。録音してもらったカセットテープはもう存在しないけど、TDKの一番安いやつだったな。まずはアナログA面、オープニングはレノン=マッカートニーのロックンロール曲“Back in the U.S.S.R.”です。ファニーな雰囲気が幕開けにピッタリ。続いては例のインド滞在中に作られた“Dear Prudence”(プルーデンスはミア・ファローの妹で一緒にインドに滞在していたらしい)で、ポールのベースに要注目のプログレッシブな曲だね。この妙なベースライン(インド風なのか?)にも、天才の片鱗が窺えます。1曲飛ばして“Ob-La-Di, Ob-La-Da”の登場だ。この超有名曲に解説は不要でしょう。しっかりした展開もあり、これぞレノン=マッカートニー作品の真骨頂。そして、オノ・ヨーコがソロを歌う曲などを挟んで繰り出される、ジョージ作の名曲“While My Guitar Gently Weeps”。なんとリードギターはエリック・クラプトン!文句なしであります。B面のオープニングは、お馴染みの管弦楽団が効果的な“Martha My Dear”で、コレ以前のアルバムにも収録されてたタイプかな。1曲飛ばして、松崎しげるも大好きな“Blackbird”が登場。コレも、ポールの特異な奏法が炸裂するアコギの名曲だね。その後ジョージやリンゴのヴォーカル曲など交えつつ、ジョンのスリーフィンガー(ドノヴァンに教わったらしい)アコギ曲の“Julia”でアコースティックサイドという趣のB面が終了。C面の幕開けは、印象的なリフが引っ張るハードめの“Birthday”。1曲挟んで、“Blackbird”同様ポールのマーチンD-28サウンドが美しい“Mother Nature’s Son”と忙しい不規則リフが気になる“Everybody’s Got Something to Hide Except Me and My Monkey”、ヒンズー教の導師を皮肉った“Sexy Sadie”がありまして、ヤングジョッキー等で常にハードロック扱い(実際VOW WOWをはじめ多くのバンドがカバーしている)だった “Helter Skelter”の出番だ。ポールのシャウトが炸裂してるね。ハードロックサイドと言ってもいいC面は終了。スタジオセッションのような“Revolution 1”でD面がスタート。続くプログレ調の“Honey Pie”は、空耳「大仁田~♪」で有名?2曲挟んで登場するのがビートルズ史上最長曲の“Revolution 9”。レノン=マッカートニー作品なのにポールがレコーディングに参加してない曲です。オーラスの30曲目は、オーケストラをバックにリンゴが歌う“Good Night”だね。レノン=マッカートニーの作品なのにどちらも歌っていない初めての曲なんですと。リンゴの声は癒し系、結果的にはエンディングにふさわしい担当だったかもね。以上、あらためて聴いてみると、やっぱアルバム1枚に凝縮できた気もするね。そしたら更に強力な1枚になっていたかもしれない。



#208 / RUBBER SOUL / 1965

★★★★★

Beatles rubber soul

この時代のアルバムは一般的に「シングル曲の寄せ集め」にすぎなかったのだそうです。その概念を払拭したというところにこの6thの価値があるらしい。つまり、現在のようにトータル性を念頭に置いて制作されたということ。そういう意味で革新的なアルバムなんですね。今作にはバラード系やアコースティック系の名曲を多数収録。そして後の作品を予見させる様々な楽器も使い始めています。その最たるものが、インド音楽に興味津々のジョージが“ノルウェーの森”で使用したシタールってことになるでしょう。THE BYRDSのデビッド・クロスビーに紹介されたんですと。これは超ファインプレーでしたね。曲の雰囲気にドンピシャで、今となってはなくてはならない音になっている。サビメロのハモりも秀逸です。ちなみに“Norwegian Wood”は「ノルウェー産の木材」という意味であり「森」ではありません。あとは録音テクノロジー(テープ速度のマジック)によってチェンバロ風に聴こえるピアノにも注目。“Drive My Car”はベースがドライヴしていて好きです。“ひとりぼっちのあいつ/Nowhere Man”は極上歌メロ炸裂(その陰でポールが素敵なベースを弾いてるんだけどよく聴き取れなくてもどかしい)で文句なしの名曲。“Michelle”と“Girl”は、ともに不思議なフレーズが印象的で好きです。“In My Life”は件のチェンバロ風ピアノの間奏(最後のフレーズが尋常ではない速さに聴こえるのは早回ししてたからなんだね)がさらに名曲度を上げています。他にも“You Won’t See Me”とか、ジョージの“恋をするなら/If I Needed Someone”とか名曲のオンパレード!同じくジョージのカントリー調も新味。ラストの“浮気娘/Run for Your Life”も抜かりなしと。今回はカバー曲が入っていないのも高ポイント。レノン&マッカートニーに死角なしでございます。コンサートに嫌気がさしていた折、レコーディングに時間をかけ始めたアルバムでもあります。凝ったサウンドはBEACH BOYSのブライアン・ウィルソンに影響を与えたそうで、コレに対して「ペットサウンズ」の発表となり、更にそれに対する「リボルバー」ダメ押しの「サージェントペパー」というライバル関係が成立します。つまり、これ以降スタジオワークに注力するわけね。10年足らずの活動期間とは思えないこの密度が凄すぎる。



#261 / REVOLVER / 1966

★★★★★★★

Beatles revolver 2 (320x320)

進化し続けるビートルズ7thアルバムの新機軸はサイケロック(アートワークも含め)でした。KING CRIMSONの登場まで3年、この時期はサイケロックが熱かった。皆が新しいことをやろうと試行錯誤&切磋琢磨していた時代だ。まもなくこの混沌から、ハードロックやプログレッシブロックが誕生するわけですが、天下のビートルズがコレを見逃すはずがない。さらに創作意欲を掻き立てたのは海の向こうのサーフミュージックだったらしいです。BEACH BOYSの「PET SOUNDS」の濃密なスタジオテクノロジーに、ポール・マッカートニーとジョージ・マーティンが触発されたんだって。今作にてスタジオテクノロジーを駆使しまくったのはそれが原因でした。当然の結果としてステージで再現できない状況になり、コンサートツアーをやらなくなるんだけど、そんなのお構いなしに我が道を突き進むビートルズ。しかし、この作品で「PET SOUNDS」へのリベンジを果たしたにもかかわらず、とどめの一撃「サージェントペパー」の制作に更なる意欲を燃やすのでした。間健二で有名な(笑)“Eleanor Rigby”(ヴィオラとチェロ)、“Here There and Everywhere”、“For No One”(フレンチ・ホルン)が特に好きなアルバムですが、リンゴが歌う“Yellow Submarine”も忘れちゃいけない。このほのぼのとした雰囲気はリンゴならではのもの。ダルな雰囲気の“I’m Only Sleeping”もいい。“She Said She Said”も好きだし“Good Day Sunshine”も良い。コピーした“And Your Bird can Sing”も当然忘れがたい。ちなみに、オープニングの“Taxman”を含む3曲がジョージ作。最後の2曲は「サージェントペパー」への橋渡し的楽曲でしょうか。“Got to Get You into My Life”は次のアルバムに収録されていても違和感がない。“Tomorrow Never Knows”は「PET SOUNDS」の“God Only Knows”を意識しての曲なのかもね。これまた秀逸なサイケ曲に仕上がっています。徹頭徹尾よくできたアルバムですね。個人的思い入れを度外視すれば、ビートルズのベストアルバムかもしれない。



#283 / PLEASE PLEASE ME / 1963

★★★★★

Beatles please please me (320x320)

新時代を告げるロック革命はここから始まった!世界音楽遺産の記念すべきデビューアルバムです。オールディーズのカバーや職業作曲家に作品を提供してもらうのが主流だった時代、オリジナル曲では勝負させてもらえないのが普通でした。売れないと困るからね。今作に収録されたオリジナルは6曲、その他8曲がカバーで、メンバーのお気に入り及びプロデューサーのジョージ・マーティン(“Misery”で印象的なピアノ演奏もしている)が用意したものと思われます。シングルヒットがあったからこそとも言えますが、それを受けて急遽制作されたこのアルバム、録音済みのシングル曲以外を1日で録り終えたんだって。一発録りでしょうね。しかもジョンは風邪をひいてたらしい。“Twist and Shout”は最後の力を振り絞ったシャウトだったんだね。まあそれはそれとして、やはりタイトル曲をはじめ“Love Me Do”や、陽水もカバーしていた“I Saw Her Standing There”や、“P.S.I Love You”等、オリジナル曲の出来が素晴らしい。カバーよりワンランク上の革新的な歌メロがあるのは確か。オリジナル曲で勝負して見事に勝利を勝ち取ったわけですよ。かくしてレノン・マッカートニーの快進撃が始まるのでした。



#318 / HELP! / 1965

★★★★★

Beatles help (320x320)

アナログ盤のA面が映画のサントラという点では3rdアルバム「A HARD DAY’S NIGHT」に構成が似ている5thアルバム「4人はアイドル」です。やっぱり映画のサントラとなると曲作りにもことさら気合が入るのでしょうね。CDの前半部分は楽曲が充実しております。タイトルトラックの“Help!”で掴みはOKでしょ!1曲目としては完璧な曲だよね。続く2曲目“The Night Before”も、いかにも2曲目っぽくていい(何だ!?それ)。続いて名曲“悲しみはぶっとばせ/You’ve Got to Hide Your Love Away”の登場ですね。ジョンの声がいい感じ。ちなみにこの曲にはフルート奏者が参加してます。ジョージが歌う“I Need You”もいいアクセントになってる。“Another Girl”もよく聴いた。合いの手のようなコーラスが印象的な“恋のアドバイス/You’re Going to Lose That Girl”とCARPENTERSがカバーした“涙の乗車券/Ticket to Ride”で前半終了。どうよ、完璧でしょ?後半1曲目はリンゴが担当するカントリー調のカバー曲。いよいよキャラが立ってきました。さらにジョージの曲がもう一つ。“Tell Me What You See”とアコギの“夢の人/I’ve Just Seen a Face”も好きだね。QUEENの“’39”が頭をよぎる。そしてビートルズ屈指の名曲“Yesterday”の登場です。コレを知らない人がいるのでしょうかってくらい有名だよね。ここではヴァイオリン×2、ヴィオラ、チェロのストリングカルテットが参加。クラシック楽器の導入が始まりましたね。ラストのカバー曲“Dizzy Miss Lizzie”も有名だけどさあ、やっぱ“Yesterday”でアルバムを締めくくってほしかったな。アルバムタイトルの「HELP!」はアイドルグループから脱却したいという潜在意識の表れだとか…



#363 / BEATLES FOR SALE / 1964

★★★★★

Beatles for sale (320x320)

やっつけ仕事感が否めない4thアルバムです。アメリカに上陸してブリティッシュ・インベージョンと騒がれていた多忙な時期ですね。よって前作のようなオリジナル曲だけの構成ではありません。カバー曲が多い1枚目や2枚目のパターンに戻ってしまいました。カバーは6曲。チャック・ベリーの“ロックンロール・ミュージック”は有名ですが、個人的にはBEACH BOYSのヴァージョンが好きだったりする。“Mr. Moonlight”はオリジナルだと思ってたらカバーだったのね。他のカバーは知らない(笑) やっぱオリジナル曲の含有量でアルバムの良し悪しが決まるかな~。オープニングの“No Reply”とそれに続く“I’m a Loser”と“Baby’s in Black”ね。レノン・マッカートニー丸出しでしょ。“I’ll Follow the Sun”もアコースティックの定番曲だし。アナログB面1曲目の“Eight Days a Week”は文句なしのハイライトでしょう。リンゴが歌うカバー曲は…まだファニーなキャラが立ってないかな。ラストのジョージが歌うカバー曲も同様。“Eight days…”以降の後半部分がいまいち弱い気がします。タイトなスケジュールを考えたらやっぱり凄いんだけどね。ジャケのジョージの髪型が「カブみたいだ」とポールが言ってました。



#402 / A HARD DAY'S NIGHT / 1964

★★★★★

Beatles a hard days night (320x320)

ブリティッシュ・インヴェイジョンの真っ只中、全曲オリジナルを揃えた3rdアルバム「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!(水野晴郎氏が命名)」の登場です。アナログA面が同名映画のサントラでもあります。よって後半の数曲を除いてはお馴染みの(あくまでも個人的に)曲ばかり。オープニングのタイトル曲に続くのは…“恋する二人/I Should Have Known Better”(アナログ盤とステレオ盤ではイントロのハーモニカのメロが違う)でしょ。次が“恋におちたら/If I Fell”ね。で“すてきなダンス/I’m Happy Just to Dance with You”はジョージがヴォーカル。そして名曲“And I Love Her”ですよ。まだまだ続く“Tell Me Why”と“Can't Buy Me Love”だもの。B面も“Any Time at All”“や”今日の誓い/Things We Said Today“を経て”I’ll Be Back“で締めくくられます。レノン=マッカートニー、凄いね。



#476 / WITH THE BEATLES / 1963

★★★★★

Beatles with the Beatles (320x320)

ここまできたら全部聴いてしまおう。デビューアルバムから4か月後に録音された2ndです。よって、今回もカバーが6曲ございます。CARPENTERSでもお馴染みの“Please Mister Postman”とチャック・ベリーの“Roll Over Beethoven”は安心印。ベートーベンのスペルをコレで知った人も多いでしょう。”Till There Was You”はポールが作曲しそうな曲だから全く違和感なし。”You Really Got a Hold on Me”のダルな雰囲気もまた良い。オリジナル曲だと何と言っても“All My Loving”がダントツの出来でしょう。“All I’ve Got to Do”も印象的。あとはROLLING STONESに提供した“I Wanna Be Your Man”をセルフカバーしております。さらにジョージの曲が初登場。ヴォーカルでダブルトラッキングを導入しているらしいね。オジーほどあからさまではないので特に気になりませんが、言われてみればそういう曲がいくつかある。ジャケに用いられたハーフシャドウという手法により、これ以降アートワークも注目されることになるのです。プログレが最初じゃないのね。



#519 / YELLOW SUBMARINE / 1969

★★★★

Beatles yellow submarine 2 (320x320)

「ホワイト・アルバム」と「アビィ・ロード」の間に挟まれた11thアルバムだからバンド終焉間際ではあるものの、録音技術を駆使したプログレッシブな作品が生まれても不思議じゃなかった1969年。しかしコレはどうでしょう。A面のみがビートルズでB面はジョージ・マーティンによる同名アニメのサントラ(オーケストラによる演奏)という変則盤なんだね。アニメ自体は芸術性の高さから評判がよく、テレビ映画「マジカル・ミステリー・ツアー」の汚名を返上したとまで言われておりますが、B面はほぼ聴く価値はないと思います。更にはA面も、当初メンバーが乗り気じゃなかったこともあり、いかにも捨て曲といった趣の曲が…。そこに「マジカル・ミステリー・ツアー」製作時のアウトテイクや既発曲(1曲目の“イエロー・サブマリン”とA面ラストの“All You Need Is Love/愛こそはすべて“)を混ぜ込んでるわけだな。なるほど全英・全米ともに1位を獲れなかった唯一のスタジオアルバムってのも頷けます。件のアウトテイクがどの曲かはわかりませんが、”All Together Now“なんかはモンティ・パイソンがマネしてそうなファニーな雰囲気がいいし”Hey Bulldog“も誰かがカバーしてたかな。というわけでとにかくB面は要らないって結論が出てしまったので個人的な評価も低いわけ。ところが1999年溜飲を下げてくれる「イエロー・サブマリン~ソングトラック~」というアルバムがリリースされました。後々紹介しようと思いますがコレはいい。とりあえず主要作品はコレで全部だね。お疲れ様でした。でもね…まだ終わらな~い!



#599 / THE BEATLES 1962-1966 / 1973

★★★★★★★

Beatles 1962-1966 (320x320)

2枚組の通称「赤盤」ですね。「赤盤」だと安っぽい感じがするから、これからは「赤の聖典」とでも呼ぶようにしませんか?ビートルズの楽曲はもはや世界遺産レベルだからね。おいしいところがギュッと詰まったベストアルバムだから当然初心者向けでもありますが、アルバム全部持ってったって楽しめるよね。変則的な曲順で聴くのもまた楽しい。もともと海賊盤に対抗するためにリリースされたんだってさ。「赤盤」はデビューアルバム「ラヴ・ミー・ドゥ」~「リボルバー」から選曲。リリース順に聴けるのがベタだけどいい。バンドサウンドが凝っていく様がよ~くわかるから。ビートルズ世代ではない(ビートルズがデビューした年に生まれたから、この「音楽の小部屋」も1962年以降のアルバムレビューとしてるんだよ)ので正直なところ解散後のベストアルバムの方が懐かしかったするかな。多くのオリジナルアルバムより先に聴いちゃってるから、この曲順が刷り込まれてるんだね。皆さん赤と青どちらも手に入れましょう。どこかで聴いたことがある曲が詰まってと思います。ジャケはデビューアルバムとほぼ一緒ですが、ご覧の通り同時に撮られた微妙に違う別テイク。「青盤」と併せてナイスアイデアだよね。素晴らしい。



#600 / THE BEATLES 1967-1970 / 1973

★★★★★★★★

Beatles 1967-1970 (320x320)

こちらも2枚組の通称「青盤」ですね。もちろん今後は「青の聖典」と呼んでほしい。2000年にリリースされた「1」とか、2003年リリースの「LET IT BE…NAKED」とか、まだまだ記憶に新しい2009年の「STEREO BOX SET」とか…ビートルズ作品は地球滅亡までリリースされ続けるんでしょうね。やっぱり人類の宝ですよ。どんな凄いバンドであろうとビートルズと比較はできませんね。別次元の存在なのだから。さてこちらの「青盤」は「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」~ラストアルバム「レット・イット・ビー」よりセレクト。当然の事ながら、バンドの進化の凄まじさを感じられるベストアルバムとなっております。コンセプトアルバム、多重録音、サイケ、ストリングス、ブラスバンド、SEなど幾つものキーワードを想起させる音楽の波状攻撃ですね。「赤盤」と甲乙つけがたい…というか「赤盤」と「青盤」で一つの作品なんだよね。強いて言うならそのクオリティにより「青盤」に軍配を上げますが…。2001年にリマスター音源で再発されており、今なら赤と青のセットが比較的安く手に入ると思います。こちらのジャケは「赤盤」と同じアングルで8年の齢を重ねたメンバーショット。洒落てるよね。「レット・イット・ビー」の前に頓挫した「ゲット・バック」のジャケだったらしいです。



#1500 / YELLOW SUBMARINE SONGTRACK / 1999

★★★★★

Beatles yellow submarine songtrack (320x320)

30年の時を経てサウンドトラックからソングトラックにバージョンアップした作品です。69年作品はB面を占めるオーケストラによるサントラ部分が何とも残念だったわけで、今回は当然すべてカット、映画に使用されたビートルズの楽曲に差し替えられ、やっとあるべき姿に落ち着いたという感じ。さすがに既発曲が占める割合が高いゆえ、ベスト盤の一つという位置づけになるでしょうが。それはさておき画期的だったのは全曲でリミックスが行われているということなわけですよ。聞こえなかった音が聞こえるってレベルだからね、オリジナルをそれなりに聴いてきた耳には実に楽しい作品となりました。個人的には2009年のリマスターボックスセット(ステレオ盤)を愛聴しているわけで、つまりモノラルにこだわるリアルマニアではないゆえ、素直に楽しめるのかもしれない。リミックス大歓迎!何ならスタジオワークに執念を燃やしていた時代のアルバムは全てリミックスしてほしいくらいだ。さて今作で実感できるリミックスの効果ですが…“Yellow Submarine”のSEが鮮明です。リンゴの声がセンターに、コーラスが左右に振り分けられました。“Eleanor Rigby”のヴォーカルもセンターに。弦楽器もそれぞれよく聴こえます。一聴して気付かなかったが“All You Need is Love”はジョンの声がシングルトラックになってるんだね。オーケストラの音はさすがにリミックス効果抜群。“Nowhere Man”もジョンの声がセンターから鮮明に聴こえます。好きな曲ってのもあるけれど、個人的にはこの曲が一番インパクトがあったかな。何しろヴォーカルから始まるからね。一瞬ぞわっとしましたよ(笑)



#1501 / LET IT BE...NAKED / 2003

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Beatles let it be

フィル・スペクターというプロデューサーがおりました。現在は殺人罪で収監中らしいですが…それはさておき、ザ・ロネッツの“ビー・マイ・ベイビー”のヒットにより、オーバーダビングを重ねた斬新な録音が注目され、彼が手がけた作品群は「ウォール・オブ・サウンド」と呼ばれたそうです。ビートルズの「LET IT BE」はその彼が手を加えたアルバムでした。そもそもは、あの有名な「ゲット・バック・セッション」の音源を元に「LET IT BE」が作られたという流れであり、リンゴとジョージはスペクターの仕事に感心したものの、ポールは納得しなかったと。そりゃそうでしょうね、アレンジを施さないってコンセプトだったわけだから。アレンジする気ならポール自身がやってたって話ですよ。オーバーダブは後期ビートルズの得意技だからね。というわけで本来の姿に戻したといわれる作品がコレのはずなんだけども…編集された楽曲が含まれていたり、それはそれで問題があるわけね(笑) まあ細かい事はともかくだ、楽しめることは間違いないでしょう。個人的には70年盤が染みついてるからそちらに軍配を上げますが、70年盤をスタジオ作品、この盤をライブ作品として聴けばいいんじゃなかろうか。ポールが憤慨している“ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード”のアレンジも“レット・イット・ビー”のギターソロも、素晴らしさを再認識したよ。できることならポール自身がオーバーダブした作品というのを聴いてみたい気もするね。さて更なる問題が発覚。このCDは規格によって差があるらしいじゃないか。詳細は省くとして、とにかくCCCD盤は不評。ウチにあるのは、この情報を知らずにたまたま購入したUS盤で、硬質な仕上がりなんだとか。概ね好評なのはEU盤みたいだから…いずれEU盤を聴いて追記しないと。



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