Stop thinking you can't do things and start thinking you can. Your future is whatever you make it, so make it a good one.

RUSH

RUSH(Canada/加)

#13 / 2112 / 1976

★★★★★★★★

Rush 2112 (320x319)

プログレハードの原点はこのカナディアン・トリオと言い切ってしまいましょう。同郷のTRIUMPHもトリオだったね。出自がLED ZEPPERIN的なシンプルHRだから3人で事足りたけども、プログレにシフトするとちょい頭数が足りないと思うでしょ。ところがですよ、全員がテクニシャンだからトリオでも賄えちゃうってわけ。ダブルネック・ギターやらペダル・シンセなんてものを駆使して、壮大な曲でも音が薄くならないところが凄いよね。ドラマーがニール・パートに交代した2nd「FLY BY NIGHT」からモダンになりかけの「MOVING PICTURES」まではどれもこれも思い出深く素晴らしです。これらの作品群が私的にはプログレハードの原点であります。どれがベストアルバムかは見方によるけれど、この4thを挙げる人は多いと思う。師匠のイチオシもコレかな。何しろA面すべてを使った”組曲2112”が衝撃的だったから。もちろんニール・パートによるオリジナル・ストーリーで、銀河戦争後の管理された世界のお話。物語中で言うところの、洞窟で過去の遺物となったギターを発見する場面での高揚感は鳥肌モノでございます。プロデュースは「FLY BY NIGHT」から変わらず、後にRUSHの父と呼ばれるテリー・ブラウンです。この関係は「SIGNALS」まで続きます。現行DVDに収録されている”2112”のキーを下げたバージョンにはがっかりしてしまうとともに、老いは平等に訪れることを痛感する。当時のお宝映像とか無いのでしょうか?皆すっかりおじさんになってしまったけど、まだまだライブも元気いっぱいだから「キー下げ」の件を除けばDVDもマストアイテム。円熟期だね。うちのバンドメンバー(おじさん)たちは我が家に集まると相変わらずこういうのを観て盛り上がってます。



#84 / PERMANENT WAVES / 1980

★★★★★★★★

Rush permanent waves

ニール・パートの世界観に徐々に侵食されプログレハードの道を突き進むことになるトリオ。その大作志向は「A FAREWELL TO KINGS」で極まりました。レーベルの意向もあり(ニール・パート自身も大作を組み上げるのに疲弊していたとか)ラジオで流せる短めの曲(”The Spirit of Radio”や”Freewill/自由意志”)を作り始めたのが今作で、思惑通り売れてしまいました。そうなるともっと売れたくなるのが人間の性、続く「MOVING PICTURES」ではこの路線を拡大し、全米3位の売り上げを記録するのでした。かくして大作主義は姿を消したわけですが、個人的にはこの過渡期に位置する7thアルバム「永遠の波」をバンドのピークとしたい。理由は、コンパクトな作品と大作(”Jacob’s Ladder/ヤコブの梯子”と”Natural Science/自然科学”)が丁度いい塩梅で収められているから。ちなみに”自然科学”は3部構成の組曲で、第3部のタイトルが”Permanent Waves”なんだね。オープニングを飾る“The Spirit of Radio”が、5分以内でもプログレできることを証明しました。ポップな感覚を取り入れつつ、激しいリズムチェンジもある名曲ですね。長尺曲を凝縮したとも言えるほど諸々詰まってますけど。いい曲だからコピーしようぜなんて軽いノリで始めると…キメのフレーズがなかなか合わなかったりして苦労しますよ。キーも高いし、嫌がらせかってくらい難易度は高い。ビシッと決めるには、キメフレーズを繰り返し合わせるしかない。当然これまでの高邁な雰囲気がまだまだ大部分を占めてますが、その後の大変化の前兆であったことが、今だからこそわかるね。プロデュースはテリー・ブラウン、ピアノおよびアートワーク(肝心の写真は別の人)はヒュー・サイム。ちなみにこのアルバム、なぜかレコードを買わなかったらしい。この前後はほとんど買ってるのに。カリパクされた可能性もあるかな。その反動でしょうか、このCDはリマスター盤を含め3枚持ってるよ(笑) やはり“Spirit of Radio”に対する思い入れが大きいということでしょうね。



#112 / MOVING PICTURES / 1981

★★★★★★★★

Rush moving pictures (320x320)

ラッシュ中期を締めくくるスタジオ作は、「西暦2112年」を上回る全米売上枚数400万枚に達したこの8thアルバムで間違いなし。ただ今思えば、問題作「SIGNALS」に繋がる不吉な感じが、前作「永遠の波」よりも更に漂っている。今回も前作同様ラジオでのオンエアを意識したコンパクトな楽曲を意識しており、この路線でもうちょい続けると思ったんだけどね、この後も踏襲されることになる「総決算的ライブ盤をリリースしてリセットするパターン」が適用され、この路線も一旦終了します。そして、ありがたくない進化を遂げると。そういう意味で貴重な作品でもあり、バンド史上最高の売上枚数を記録したことを差し引いても、コレは間違いなくRUSHを代表する優れたアルバムです。前作から試みられたポップフレーバーが、絶妙な匙加減で散りばめられ、プログレハードな楽曲に溶け込んでるね。クイーンで言うところの「オペラ座の夜」に当たる作品と捉えていいんじゃないかな。バンドの過渡期に生まれた奇跡の1枚ということにしておきましょうか。この時期からRUSHを知ったファンは、ここを全盛期と捉えているかもね。冒頭3曲の畳みかけは、プチライブができるほど強力かつパーフェクトな並びですね。”トム・ソーヤー”、”レッド・バーチェッタ”、”YYZ”(インスト)だもの、ファンの皆様、異論はございませんね。やっぱゲディ・リーの、硬質で歪んだリッケンバッカー・サウンドが特徴的です。歴史を遡れば、”Roundabout”(YES)に於けるクリス・スクワイアのアレですね。この3曲はいずれもライブの定番曲でもあるわけで、つまりはRUSHの代表曲ということ。DVDで見ることができる現在のライブでは、まあ何百回とプレイしているにせよだ、余裕綽々で“YYZ”を演奏してる姿は凄いとしか言いようがない。オジサンになってもなお、円熟のプレイに魅了されてしまう。特にアレックスなんてそのへんのオッサン丸出しなのにね。他にも”Limelight”、”The Camera Eye”、”Witch Hunt”、”Vital Signs”と、これまでの高邁路線が残る曲があり、アルバム全体としては前作を踏襲する構成になるのかな。世間では「西暦2112年」「永遠の波」と並んで人気があるアルバムのようです。本国では1位、英米でも3位と売れまくりました。



#156 / A FAREWELL TO KINGS / 1977

★★★★★★★

Rush a farewell to kings (320x320)

前作「2112」からの大作主義を継承した、ラッシュ流プログレが存分に味わえる5thアルバムです。この時期ならではの、ニール・パートの文学的、哲学的世界観を具現化した長編が収録されています。それが、11分超”のXanadu”であり、10分半弱の”Cygnus X-1 BookⅠ:The Voyage”というわけ。でもね、次回作「HEMISPHIRES/神々の戦い」で、この続編(BookII)に辟易することになり、大作に嫌気がさしてしまうニールでした。やり尽くしたのか、単にめんどくさくなったのか、売れちゃったせいで時間がなくなったのか…個人的にはあと何作か聴いてみたかったけれど、この選択はバンドにとっては吉と出ました。楽曲をコンパクトにした7thと8th(後述)で、更なる成功を手にすることになったからね。それからのRUSHはご存知の通り、アルバム制作に於いて大作主義に戻ることはなく、ライブで再現されるに留まっている。そのライブでオーディエンスと一体になる名曲”Closer to the Heart”も今作収録曲です。もちろんタイトルチューンは、変拍子を駆使した、文句なしの感動作です。イントロのアコギから期待感に胸が高鳴るね。ちなみにシンセを本格導入したのも今作からで、後々トレードマークの一つとなるペダル・シンセサイザーお披露目アルバムでもある。プログレ絶頂期の3枚はレコードを買いました。楽曲がコンパクトになったとはいえ、「PERMANET WAVES/永遠の波」や「MOVING PICTURES」も十分にプログレハードでしたが、それ以前の作品だからね、プログレ度はより高いです。今作を含めこの時期のRUSHがリアルタイム。最初に聴いたのは「永遠の波」で、遡ってその周辺作品をゲットしました。何しろお金がなかった学生時代だから、特に国内盤を買うときは熟考に熟考を重ねたものさ。そんな中RUSHのレコードは迷わず手に取っていたから、かなりの思い入れがあったってことですよ。悲哀たっぷりのジャケも素敵でしょ。アルバムタイトル(王様たちへの別れ)とドンピシャではございませんか。



#181 / HEMISPHERES / 1978

★★★★★★★

Rush hemispheres (320x320)

迷わずレコードを買った6thアルバム「神々の戦い」です。原題の「ヘミスフィア」は半球という意味で、ジャケに描かれているのは脳、どうも脳の半球という意味もあるようだね。意味深なタイトルを冠し、「西暦2112年」「A FAREWELL TO KINGS」に引き続き、今回も大作主義が貫かれているのは大歓迎ですが、残念ながら今作が大作主義の終焉作となってしまいました。後のインタビューによると、このアルバム制作で長編に懲りたんだそうです。懲りたのはもちろんニール・パート。作詞および曲の骨格はニールが作るわけで、複雑且つ緻密な作業がホントに嫌になったんだろうね。勢いのまま、前作ラストに収録されていた”Cygnus X-1 Book 1”に「to be continued...」を付け足してしまったから。もちろん最初からそのつもりで、すでに構想はあったものの、制作のプレッシャーから、相当なストレスを感じていたらしい。「ヘミスフィア」はニールの脳であり、邦題は「ニールの戦い」と考えても良さそうだ。結果として、これが最後と言わんばかりの18分越えの6章から成る“Cygnus X-1 BookⅡ:Hemispheres”が今作のハイライトとなっています。前作最終曲の続きなので、アルバムの1曲目に配置されました。この長編を抱えているため収録曲は全4曲。プログレだね~。2曲目は4分弱の”Circumstances”、そして、カエデ(Maple)とナラ(Oak)が日照権を争う寓話曲“The Trees”が5分弱、4曲目にしてオーラスは、アレックスのギターが主役の9分半のインスト曲“La Villa Strangiato”です。11のパートに分けられた(あまり意味ない気がするけど、アレックスの直観で付けた?)長い曲ではあるけれど、ニールが苦労するほどの複雑な構成の曲ではなく、アレックスの珍しくアグレッシブなプレイに全振りしたような、とにかくカッコいい曲に仕上がっている。いずれにせよ、コレも個人的には絶頂期の大好きな1枚です。作るのに苦労したんだなぁと思って聴くと感動も倍増します。大作主義に別れを告げる素晴らしいアルバムだと思う。この後はご存知の通り、楽曲はコンパクトになりシンセも取り入れ、プログレ寄りのプログレハードから、より大衆的なプログレハードにシフトすることになるのでした。お疲れさま、ニール!



#256 / FLY BY NIGHT / 1975

★★★★★★★

Rush fly by night2

バンドの方向性をシフトチェンジ‘、そしてメンバー交代でレベルアップした2ndアルバム「夜間飛行」です。後に中古LPも買いました。かデビュー作のストレートなHRとは明らかに異なり、HRを主軸としつつもプログレッシブな要素を大々的に取り入れています。やろうと思ってできちゃうところが凄いけどね。ジャケもインパクト大。1stのジャケがチープだっただけに、僕たち生まれ変わりました宣言にふさわしい。ニール・パートは今作から参加で、ドラムはもちろんのこと、作詞面においてラッシュの方向性を決定づけたのでした。ニールの加入がなかったら、こうも易々と方向転換できなかったでしょうね。よく聴いたアルバム(師匠に録ってもらったカセットだったけど)だから、”Anthem”、”Best I Can”、タイトルチューンなど、どれもこれも思い出深いのですが、何といっても一番の思い出は、大作志向の先駆けとなる名曲“By-Tor and the Snow Dog/岩山の貂(てん)”ですね。RUSHを語るうえで外せない初期の名作であり、師匠と一緒に聴きながら、あーだこーだと分析した思い出があります。中盤の変拍子パートで、6-5-4-3-2-1と1拍ずつ減らしていくアイデアはオリジナル曲に使えるとかね。ところで、皆さんは貂という動物をご存知かな?風貌の通りイタチの仲間なんだって。ちなみにフェレット/ferretは雪貂と書くらしい。でもって黒貂はセーブル/sable(あの高価な毛皮の)と言うそうだ。白貂はermine。イヤイヤ、肝心のsnow dogが見当たらないんだけど!哺乳綱ネコ目 イヌ亜目 イタチ科テン属?確かに「イヌ」が含まれているけれど、カナダ特有の言葉ですかね。もしくは日本のレコード会社が勝手に貂と訳したか。



#333 / CARESS OF STEEL / 1975

★★★★★

Rush 鋼の抱擁 (320x320)

ニール・パートが思い描くプログレハードに更に近づいた3rdアルバム「鋼の抱擁」です。聴いたのは「神話大全」より後でした。このアルバムだけはなかなか入手できなかったんだよ。1stも同様ながら買う気はなかったからいいんだどね、下手すりゃ「SIGNALS」とか「GRACE UNDER PRESSURE」よりも後だったかもしれない。そんなわけだから好きな時代のラッシュの中では一番最後に聴いたアルバムなのね。やっと輸入盤のレコードを手に入れたのは大学時代。そもそも日本盤のリリースが無かったんだと思う。外袋から判断するにおそらくキニー…。ということは、大学時代にタジに買ってきてもらったのかな。なので、すでに紹介した作品より聴いた回数は明らかに少ないです。よって思い入れも少ないかなと。大作が2曲(一つはB面すべてを使用)収録されてるものの、後の大作と比べるとちょっとね。まだ練れてなくて実験的な段階って感じがします。しかしだ、これが次の「2112」で結実するわけだから…必要なアルバムだったってことさ。今作が売れなかったことで方向転換を迫られたにもかかわらず自分たちのスタイルを貫いた重圧、結果的にはいいプレッシャーになったわけだね。さすがです、皆さん。



#439 / ALL THE WORLD'S A STAGE / 1976

★★★★★

Rush all the worlds a stage (320x320)

カナダの至宝、記念すべきファースト実況録音盤です。収録されているのは、デビューアルバムから4th「2112」までのベスト選曲です。81年リリースの2ndライブ盤「神話大全」は、5th「A Farewell to Kings」から8th「Moving Pictures」までのベストチョイスだから曲被りなし。ゆえにKISSのALIVE同様、2作まとめて聴きたいところ。かくいう私も、実は「神話大全」を先に聴いてます。今作を全く聴いてないわけじゃないんだけど、覚えてるのは”Working Man/Finding My Way”くらいだから聴いていないに等しい。今ならどちらも容易に入手できるゆえ、迷うことなくリリース順に聴くがよろしい。テクニックは折り紙付き、ガチのプログレバンド顔負けの腕前に感動する…と言いたいところですが、後々のライブに比べるとより生々しくラフな仕上がりかも。音の厚みもまだ「トリオなのに凄いな」ってレベルじゃない。特にハイライトとも言える”2112”はリリースしてから間もないってこともあり、こなれた感じがなく心配が先に立つ。まあそこがいいんだけどね。願わくばこのライブの映像が見たいです。すっかりオジサンになった映像でもじゅうぶんインパクトはあるんだけど、このヒラヒラの衣装を身に纏った若かりし頃のパフォーマンスが見たいじゃん!YouTubeなんかで見かけたりするってことは、カナダには映像が残ってると証拠でしょ。メンバーの意向で封印されてるんだろうか?いつの日か封印が解かれることを願うばかり。



#440 / EXIT...STAGE LEFT / 1981

★★★★★★★

Rush exit

「神話大全」です。2作目のライブ盤にして2枚組大全(笑) ファンにとってはジャケも嬉しいね。各スタジオ盤のジャケに描かれた主役たちが集合してるんだよ。ジャケと言っても裏ジャケというか中ジャケも含まないといけませんが、ひとしきりキャラ探しに没頭してしまうという仕掛け。後にPINK FLOYDもベスト盤で試みた手法ですな。こりゃ楽しいわ!現役バンドゆえDVDで演奏する姿を見ることもできるんだけど、残念ながら新しいものばかり。それはそれで楽しいけどね、やはりこの時代の映像が、できればこれ以前の映像が観たいよね。ゲディとアレックスが2人ともダブルネック持っててさ~ニールはゴージャスなドラムセットに囲まれててさ~。ああ、スリムだった頃のアレックスが…。最初のライブ盤に収録されるべき曲が一つあるのはご愛敬。カブってないから問題なし。問題なしどころか確かニールの処女作のはずだから大歓迎ですわ。で次のライブ盤となると、さらにそれ以降のアルバムからチョイスってことになるので…80年代からRUSHを聴き始めたファン向けという気がする。よって我々世代(最初からのファン)はこの2作品に思い入れがあるのです。※同タイトルのDVDがあったのでオークションでゲット。しかし…収録時間が短く画質も酷く、しかも純粋なライブではなかったけど、とりあえず懐かしかったよ。



#528 / RUSH / 1974

★★★★★

Rush rush (320x320)

カナダの至宝と呼ばれるグループの歴史はここから始まりました。記念すべきデビューアルバム「閃光のラッシュ」です。といってもね、今作においてはまだ、広く認識されているRUSHの音楽を演ってはいません。方向性が決まる前の、LED ZEPPELINのようなHRバンドなんですね。シンプルなトリオ編成で軽妙なHRもアリっちゃあアリですけど、この直後に詩人ニール・パートを迎えることでプログレハード路線に大きく舵を切るわけです。これが正しく大英断。「SIGNALS」以降のモダンでコンパクトになった音より遥かに好きだけど、パート加入による路線変更がなかったなら、世界的なバンドに成長してはいなかったでしょう。次の「FLY BY NIGHT」からは、大作をちょいちょい挟みつつのプログレハード路線にシフトするから逆に貴重な楽曲の数々ともいえる。 その気になれば今すぐにでも作れちゃうんだろうけどね。ニール加入前にもう1枚くらいストレートなやつを残してくれてもよかったかも。ラストの”Working Man“は今後の変化を予感させるに足る名曲ではないでしょうか。ダサいと言い切れないシンプルなジャケも嫌いじゃない。



#837 / SIGNALS / 1982

★★★★

Rush signals (320x320)

80年代に入って変化を余儀なくされたのか、自らすすんでそうしたのか定かではないけれど、70年代のロックで育ってきた我々をがっかりさせるアルバムがたくさん登場しました。その後、原点回帰とか言って多少は元に戻るんだけど、どうしたってあのテイストにはならなかったりする。80年代サウンドを上手く消化して更なる高みに到達する稀有な例もありましたが…我らがRUSHのこの9thもそうした80年代が生んだ問題作なんですね。まず電子音が耳障りでしょ。テクニカルだけどプログレハードと呼ぶには起伏に乏しい。長尺曲もない。今はまあ冷静に聴けるものの、当時はかなり落胆したよね。特にRUSHは一番多くレコードを買ったバンドだったから当然のように買うつもりでいた。でもね、このアルバムは誰かが先に買って内容を知ることができたので買わずに済んだのね。せめてもの救いだと思ったよ。かくしてこれ以降急速にラッシュ熱が冷めてしまい、CD時代を迎えるまでは聴いたり聴かなかったり(もちろん貸しレコード屋さん)で、去年(リリースから30年を経て)10thと11thも同時にやっと購入したのでありましたが…この時代のベスト盤もあるからね、結局のところそれで事足りるかも。



#1013 / GRACE UNDER PRESSURE / 1984

★★★★

Rush grace (320x320)

よりコンパクトなプログレハードに方向転換して2枚目となる10thアルバムです。概ね前作と同じような路線の楽曲たち。アレックスのギターのエフェクトが最大の特徴でしょうか。POLICE的な浮遊感とでも申しましょうか…まあRUSHがやらなくても、と思ってしまうわな。まあね、曲そのものはカッチリしてるし、演奏も折り紙つきだから(つーか余裕綽々でしょ)クオリティは高いわけですよ。でもさ~、突き詰めるとやっぱ「何故ラッシュがコレを」なんだよ。ハマることはなかったけど、今作と11thに関しては偶然中古レコードは買っていたので曲はなんとなく覚えてるんだけどね、「SIGNALS」も含めどの曲がどのアルバムに収録されているかまでは分からない。曲単位のインパクトが薄れたせいだと思う。その後のアルバムについてはもっと酷くて、下手すりゃ1度しか聴いてないからね、せっかくCDがあるのだからしっかり聴いてみようと思います。



#1740 / A SHOW OF HANDS / 1988

★★★★

Rush a show of hands (320x320)

2020年1月7日、カナダの至宝RUSHのドラマーにしてかつてのブレーンのニール・パートが亡くなりました。67歳、脳腫瘍で闘病中だったそうですね。15年くらいから事実上引退していたらしい。RUSHはフェイバリット・バンドだから好きなアルバムはすでに紹介済みなので…今回は「神話大全」以来の実況録音盤「新約・神話大全」にしました。ライブだとドラム・ソロ(The Rhythm Method)があるからね。「神話大全」以降にリリースされたスタジオアルバムからのベスト・セレクション的内容なので、このシンセ期からのファンのみならず、むしろ80年代RUSH(「SIGNALS」から「HOLD YOUR FIRE」まで)があまり好きではないファンにとって重宝するアイテムではないかと。かく言う私も、「SIGNALS」で大いにズッコケたクチなのでそれほど思い入れはなかったのだけれど、ニールが亡くなったとなれば話は別ですよね。古めの曲としては”Witch Hunt”とラストに定番”Closer to the Heart”を収録。ひとしきり思いを馳せた後は、やっぱ映像ですね。持ち合わせがないならYoutubeでもよし。



#2013 / HOLD YOUR FIRE / 1987

★★★★

Rush hold your fire

「POWER WINDOWS」に続く12thスタジオアルバム。その「POWER…」はまだ紹介していないが…特に意味もなくこちらが先になってしまった。 ”Force Ten”で幕を開ける今作ですが、まあ概ね「SIGNALS」以降の音像を踏襲している。またコレか…というのが正直な感想。MTVでよく目にした2曲目”Time Stand Still”がイチオシかな。ゲディ・リーのベースのブリブリ感と女性シンガー(エイミー・マン)のヴォーカルパートが気持ちいいです。全体的にはまったりしているものの、じっくり聴いたらやっぱりいいところはあるのね。前出曲や”Mission”とか目が覚めるような秀曲が挟み込まれていたりして、まだまだ格の違いが垣間見える瞬間が多々あるわけ。とはいえ皆様に「コレがRUSHですよ」と勧めるのは憚られるのも事実。特に往年のファンだと、今さら「SIGNALS」以降のアルバムを手に入れようなんて考えは浮かぶまい。そこで97年にリリースされたベスト盤「RETROSPECTIVEⅡ 1981-1987」をお勧めしたい。Ⅰは1974-1980だから全スタジオ作品を揃えるとして、Ⅱは概ね「SIGNALS」から「HOLD YOUR FIRE」までのベスト選曲になっている。実際に今作からは先に挙げた3曲が選ばれているし。前回紹介したライブ盤「新約・神話大全」と併せれば80年代ラッシュはほぼお浚いできますぜ。



#2112 / POWER WINDOWS / 1985

★★★★

Rush power windows

キーボーやストリングスがゲスト参加した11thアルバム。アートワークはもちろんヒュー・サイム。直近2枚のシンセ増幅路線に抗議すべく機材をすべて手放したアレックス、今作レコーディングには借り物の機材で臨んだらしい。抵抗の甲斐あって(笑)幾分ギターサウンドが蘇っている気がする。レコードやCDを持ってはいるものの、ぶっちゃけ「SIGNALS」以降の作品に関してはさほどの思い入れがない故、97年にリリースされたベスト盤「RETROSPECTIVEⅡ」でざっくり聴くことが多かったのね。これはシリーズ2作目で、81年~87年にリリースされた5枚のアルバムのベスト盤。今作からはオープニングの”The Big Money”とエンディングの”Mystic Rhythms”(いずれもシングルカットされた)、4曲目の”Marathon”が収録されており、他のアルバム「SIGNALS」「GRACE UNDER PRESSURE」「HOLD YOUR FIRE」に関してもほぼほぼ代表曲が選ばれている便利アイテムなのですよ。まあ言うまでもないことでしょうが「MOVING PICTURES」だけは話が別でね、”Red Barchetta”と”Limelight”と”Tom Sawyer”の3曲で満足できるはずがないのです。RUSHは「神話大全」まで、「SIGNALS」以降には興味がないという同世代の方々、このベスト盤はオススメです。



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