RIOT
RIOT(US/米)
#6 / ROCK CITY / 1977
★★★★★★★★

記念すべき第1回モンスターズ・オブ・ロックに、JUDAS PRIEST、RAINBOW、SCORPIONSらとともに招聘された、US東海岸の新星によるデビューアルバム「怒りの廃墟」です。特に最初の2枚はUS産らしからぬメロ、ツインリードギターが満載で、ともに想い出深いアルバムだね。中心人物は、マーク・リール(後にリアリ表記に変更されました)で、この人が素敵なメロディの源泉になっています。「ROCK CITY」は高1の時に、同級生にしてバンドメイトのK.T.(ドラム)がレコードを持っており、それを録ってもらったのね。ただ購入に至った経緯までは知らず、師匠(同級生にして当時のバンドメイトS.O.)の推薦で購入したということが判明したのは30年後でした(笑) 「K.T.がRIOT?」と、かねがね疑問には思ってたんだよね。YMOとか聴いてたヤツだったからさ。長く付き合っていると(ほぼ年に3回集合)こういう面白いことも起こるって話ですけど何か!? ボーカルのダブルトラックが印象的なオープニング”Desperation”に続き、珠玉の名曲“Warrior/幻の叫び”が登場します。この日本人に刺さるサビメロとツインギターのハーモニーは、HR史に燦然と輝く感涙必至の名演だ!当時、五十嵐夕紀(女声アイドル歌手)が”バイ・バイ・ボーイ”というタイトルでカバーしていたくらいだからね。日本語詞を筆頭にかなりダサい仕上がりでしたが、この曲に目を付けた担当者は凄いな。かくいう我々も、結構いい歳になってからコピーしました。今作からは#4”Overdrive”もチョイス、#3”Rock City”は上手くいかず、モノにはならなかった。それでも共に想い出深いことに変わりなし。アナログ盤で言うところのB面も、#6”Tokyo Rose”を筆頭に、#7”Heart of Fire”、#8”Gypsy Queen”、#9”This Is What I Get”と佳曲揃いです。捨て曲なしの超名盤と言いたいところですが、どういうわけか肝心のA-1とB-1が弱い気がする。誰しもが力を入れるポジションゆえ不思議。他よりハードめの曲を配置したけど嵌らなかったといったところでしょうか。ちなみに私のHR耳は①「楽曲そのもの」②「声」③「ギター」という優先順位で曲を聴いていると思われます。全部良ければ個人的名盤に認定という仕組み。RIOTの初代シンガーはガイ・スペランザという特徴的な名前(フロリダ出身…中米系?)の人。もちろん大好きなシンガーの1人なのですが、アルバム3枚を残して音楽業界から足を洗いフロリダで害虫駆除の仕事に転職したそうです。惜しくも2003年11月8日に47歳の若さで亡くなってしまいました。
#67 / NARITA / 1979
★★★★★★★

東海岸を代表するHR/HMバンドの2ndアルバムです。タイトルはもちろん78年に開港した成田国際空港(当時は新東京国際空港)が由来で間違いない。ご丁寧に縦書きの漢字表記ときたもんだ。がそれ以上に、管制塔占拠事件で広く世間の注目を集めた(連合赤軍でいうところの”あさま山荘事件”に当たる)一連の反対運動で多くの犠牲者が出た事で、すでにNARITAは有名だったと思われる。RIOT(暴動)が注目したのは恐らくこの三里塚(成田)闘争でしょう。今作がリリースされた79年も、テロ・ゲリラ事件や反対運動は継続されていました。というわけで、日本のハードロックファンにとってはインパクト絶大なアルバムタイトルですが、それはターゲットが日本だから。前作にも”Tokyo Rose”って曲があったからね。ちなみに今作は日本先行リリースという戦略でした。それはさておき大好きなアルバムです。ガイ・スペランザの歌がメインという気がする。何はともあれ“Road Racin'”というHRアンセムが収録されているゆえ、それだけで必聴盤ということになりそうです。当然コピーしましたよ。高校でも大学でも。“Narita”もスリリングでカッコいいインストだし、ステッペンウルフのカバー曲“Born to be wild”は原曲を越える勢いだったりする。コレもたしかコピーしたかな。ヴォーカルメロが好きだった”49er”は却下された気がする。個人的にはデビュー作同様によく聴いて刷り込まれているから、どの曲も即座にサビメロが思い浮かびます。ジャケのアザラシ人間?も健在。キャラの名前はジョニーというらしい。今作では相撲取りのまわしを締めて戦闘態勢のジョニーですが、コレはライブでお馴染みのガイ・スペランザのポージングだそう。この時代の映像がリリースされないものかね。ブートレグは持ってるけど、もうちょい鮮明な映像で見たいです。
#218 / FIRE DOWN UNDER / 1981
★★★★★★

ガイ先生(NARUTOじゃないよ)最後の作品となってしまった3rdアルバムです。発売当時は師匠経由でも回って来ず、TT経由でも回って来ず、御用達「友&愛」にも置いてなく、とことん縁がなかったらしい。何曲かはエアチェックで聴いたけれど、アルバムを丸ごと聴いたのはCDがリリースされてからでした。よって1st、2ndに比べると、聴いた回数は少ないんだね。とにかく最初の2枚が大好物だから、今作でもハードすぎると思ったりする。言わばメタル寄りのハードロック。哀愁の旋律は間違いなく後退してしまった。ガイ・スペランザにフォーカスされていない気がするね。そりゃあレット・フォリスター時代に比べたら、十分にメロディは残っているけれど。今にして思えば、ガイ先生が歌ってるだけで良かったんだな。わが青春のRIOTは最初の2枚、もしくは3枚だったということ。オープニングの”Swords and Tequila”は申し分のないインパクト。他にも”Outlaw”(タイトルとは裏腹に一番メロディックかな)、”Don’t Hold Back”、”Run for Your Life”など、勢いのある楽曲が多い。総じてギターの音が強調されているようですが、音量に負けないインパクトのあるリフが多く、2本のギターを上手く使っている。”Altar of the King”導入部分の取って付けたようなアルペジオパートも印象的だけど、この曲のために作ったものじゃないよね。他の曲と合体させるべきだったのでは?ラストの”Flachbacks”には、伝説の第1回モンスターズ・オブ・ロック出演時の歓声が挿入されました。バンドミーティングと称して年に3回開催していた飲み会は、そのまま麻雀大会に移行するのが普通でした。「索子」を捨て牌する際に“Swords and Tequila”が定番でね、同じく「八萬」を切る時はパーワン・ラレベルと(笑)。しばし休止状態のこのイベント、また集まれる日は来るのかな。師匠次第だよね。
#479 / RIOT LIVE / 1989
★★★★★★

デビュー当時からのファンであれば、ライオットのライヴはコレしかないでしょう。ガイ・スペランザ時代の1stフルレングス(82年にリリースされたレット・フォリスター時代の同名EPは全くの別物)ライブです。音源は、80年4月のロンドン・ハマースミス・オデオンと、同年8月ドニントンの第1回モンスターズ・オブ・ロック出演時の混合となれば、ワクワク感を禁じ得ないのであります。特に後者は伝説のロックフェスで、80年にダイジェスト盤がリリースされ、そこに収録された”Road Racin’”以外の曲が聴けるとなれば、それだけで有難い。その“Road Racin’“のみ曲カブりが発生しておりますが、全く気にならないどころかむしろ大歓迎。偉大なロックアンセムだからね、何パターンでも聴きたいってくらいですよ。まだ3rdアルバムをリリースする前なので、当然最初の2枚から選曲されているのがポイントです。音質もいいね。そして何よりガイ・スペランザのパフォーマンスです。元々が地声を活かした無理のない歌唱だから、ライブにおいてもスタジオ録音と比べて全く遜色がないんだね。ハマースミス音源は”Angel”、”Do It Up”、”Road Racin’”、”White Rock”、”Narita”、”Tokyo Rose”で、MOR音源は”Warrior”、”Overdrive”、”Rock City”、”Back on the Non-Stop”(ライブ音源でしか聴けない曲だが出来は普通)、”Kick Down the Wall”、”Train Kept A-Rollin’”(定番のカバー)、”Road Racin’”という内訳。個人的には2曲差し替えてほしいところですが、これらはライブの醍醐味でもあるのかな。こうなると映像作品が見たくなるよね。あるでしょ絶対。ブートレグは確かに存在するのだから、現代のデジタル技術でどうにかなるのは確か、問題はそうする価値があるかって話さ。大金持ちのRIOTファンに託すしかなさそうだ(笑)
#743 / RESTLESS BREED / 1982
★★★★★

ガイ・スペランザとマーク・リアリでライオットなわけですよ。一応動向は追うけれどもすでに心は離れてしまったんだね。「ツアーに疲れた」とあっさり辞めてしまったガイに代わる新ヴォーカリストのレット・フォリスターですが…全然違うよ!ワイルド系だもの。声はブラッキー・ローレス(#5なんてまるでW.A.S.P.の曲みたい)に似てると思う。かくして俺たちの叙情的なライオットは終わりを告げたのさ。順を追って聴いてみると3rdアルバムからその兆候はあったね。お馴染みだったジャケのアザラシ君も脱皮(真意は多分逆。バックのアザラシ顔の月の影響で人間がアザラシに変身しているものと思われる)して方向性の転換を暗示してるかのようですな。
#756 / THUNDERSTEEL / 1988
★★★★

先日(1月27日)『RESTLESS BREED』を紹介しましたが、そろそろライオットと思ったのは虫の知らせだったらしい。2012年1月25日マーク・リアリが亡くなったそうです。享年56歳。というわけで新たに追悼の1枚は…2代目ヴォーカリスト、レット・フォリスターで迷走、偽装解散を経て復活した6thアルバム『サンダースティール』。歌っているのはハイトーン・ヴォイスのトニー・ムーア。ドラムはボビー・ジャーゾンベクと当時人気者のマーク・エドワーズ。復活作で名盤の誉れが高いけれど…ガイ先生の時代とは別モノだな~。ツーバスドカドカって…。ジャケも痛い。かろうじてライオットかなと思えるのはリアリのギターソロのフレーズくらい。名曲“Fight of the warrior”も焼け石に水だ。前回「ガイ・スペランザとマーク ・リアリでライオット」と書いたばかりですが…天国で久々にコンビを組めるじゃん。正真正銘の4thアルバム作ってね。
#1006 / BORN IN AMERICA / 1983
★★★★

今回もレット・フォリスターが歌うことになった解散前の5thアルバムです。この路線が好きという人もいるみたいだけどね、ガイ・スペランザ時代にハマった我々を満足させることはできないのでありました。オープニングのタイトルトラックからして…翌年にBRUCE SPRINGSTEENがリリースする“Born in the USA”で消し飛んだね(笑) もしやスプリングスティーンはRIOTの曲をヒントにしたか?特にこの曲で思ったんだけど、シャウトしたときのフォリスターの声がTRIUMPHのギル・ムーアに似てるんだよね。そうなるとTRIUMPHの初期の曲みたいに聴こえてくるんだな。当時アルバム唯一の救いだと思ったのは、往年のサビメロをもった“Gunfighter”でした。フォリスターで沈んだRIOTは諸事情により解散。マーク・リアリがトニー・ムーアとボビー・ジャーゾンベクを従えて復活するのは5年後でありました。
#1557 / RIOT IN JAPAN-LIVE!! / 1992
★★★★

90年の日本公演ということで、日本のファンのための企画盤ですかね。音質がイマイチで、歌っているのは残念ながらトニー・ムーア…と言ってしまいたいところですが、結構頑張っているから好感は持てるかも。もっとも往年の名曲は少ないわけで、「THUNDERSTEEL」以降のRIOTがメインになります。ただこれまた肝心の“Thundersteel”をはじめとする元気のいい曲が演奏されておらず、選曲がイマイチなんだよね。LIVEで演奏はされたけど出来が良くなかったからカットされたのでしょうか(笑) 個人的な聴きどころは当然ガイ・スペランザ時代の楽曲。中盤の“Tokyo Rose”と“Rock City”、最後の“Narita”から“Warrior”でホッとする。これで終わればいいものを…最後に微妙な仕上がりの“Smoke on the Water”のカバーを収録。しかもスタジオ録音。これは要りませんでしたね。
#2006 / THE PRIVILEGE OF POWER / 1990
★★★★

前作「THUNDERSTEEL」と同じメンバーで制作された6thアルバムは初のコンセプト作品。ジャケにあるたくさんのモニター、この一つ一つを巡るというコンセプトでしょう。SEが曲間に配置されたりしているから間違いない。楽曲は前作の延長線上…以上の出来だと思う。攻撃的でアグレッシブな新生RIOTが板についた感じ。トニー・ムーアのヴォーカルは上手いとは思わないが高音はしっかり出てる。結局ムーアによる第3期はこれにて終了するし、マイク・ディメオの第4期は更に興味を失ってしまった(何枚か聴いたけどね)から、個人的には今作にてRIOTは本当に卒業。実はTOWER OF POWERのメンバーによるホーンセクションの導入や先述SE等により評判が低めのアルバムなのね。その他のゲストとしては、ジョー・リン・ターナーやTMスティーブンスが名を連ねる。改めて聴いてみるとこれはこれでいいね。ジョー・リン・ターナーが歌う”Killer”、そして中華メロ曲を頭にくっつけた”Dance of Death”から冒頭のホーンが印象的な”Storming the Gates of Hell”の連発は強力。エンディングのアル・ディメオラのカバー”Racing with the Devil on a Spanish Highway”は7分越えのインストなんだけども、飽きずに聴くことができました。
#2240 / INISHMORE / 1997
★★★★★

マーク・リアリ以下、マイク・ディメオ、マイク・フリンツ、ピート・ペレス、ボビー・ジャーゾンベク時代の10thアルバム。前作で「THUNDERSTEEL」以降のスピードメタルメタルからの脱却を模索、今回はそれを推し進めた、ケルト神話とアイルランド神話に基づいたコンセプト作品です。アイルランドのイニッシュモアに住む少年が、愛する女性が戻るのをゴールウェイの丘で永遠に待ち続ける(ジャケットに描かれている)というストーリー。イギリス統治時代の19世紀、大飢饉(ジャガイモ飢饉)により数百万のアイルランド人が新天地を求め、西海岸ゴールウェイの港からアメリカ大陸に渡ったという歴史があるそうですよ。バッキングボーカルにトニー・ハーネル(TNT)、ダニー・ヴォーン(TYKETTO)、女性シンガーが参加している。ヴァイオリンを弾いているのは日本人女性。イントロに”Black Water”、アウトロに”Inishmore”(リールとフリンツのアイリッシュ・ツインギターがいい。ゲイリー・ムーアのメロです)の両インスト曲を配置。なぜファストチューンが多いのか?それは最後のボーカル曲”Inishmore(Forsaken Heart)を活かすため。なのだが、この曲は「空耳アワー」に於ける名作♪尻見ねば~♪が思い浮かんでしまう(笑) そして、波の音から悲しい鳥の鳴き声で始まる、日本盤ボートラ(引き換えに1曲カットされた)”Danny Boy”(インスト)が染みます。これもどうしたってゲイリー・ムーアが想起されるわけですが、元々の歌詞は女性から別れを告げるもの。歌詞を知る人には堪らんでしような。1曲オミットされたのを差し引いても余りある、アルバムのハイライトとしても良さそうなボートラを聴きながら、ストーリーを噛みしめたい。