RAGE
RAGE(Germany/独)
#322 / THE MISSING LINK / 1993
★★★★★
デビューは84年だからHELLOWEENよりお兄さんだったりする結構なベテランバンド。RUNNING WILDあたりと同期になります。SCORPIONSとACCEPTに次ぐジャーマン第3世代でしょうか。初期の別段面白くない作品から始まり、マンニ・シュミット時代の集大成がこの8thアルバムです。前作「TRAPPED!」で独特の臭み(いい意味で)を纏った感があり、間違いなくここがバンド第1のピークでしょう。マンニ・シュミットの弾むような独特のリフと、ピーヴィー・ワグナーのキャッチーな歌メロが炸裂します。スネアの音が妙に軽くて好きじゃないけど。残念なことにマンニ時代は今作にて終幕(後にこのメンバーで別バンド結成)となってしまうのですが…ツイン・ギター時代を経て第2のピークを迎えます。才人ヴィクター・スモールスキーと職人マイク・テラーナという最強面子ですよ。この体制は自分が理想とするヘヴィメタル(ハードロックじゃなく)に限りなく近かった。パワー、スピード、アグレッションの基本要素に加えて独特の歌メロとテクニカルでトリッキーなギターだね。できることならピーヴィー以外のヴォーカルでRAGEの曲が聴いてみたいけど(笑) ちなみにANNIHILATORなんかも自分の理想形に近いっス。86年リリースの「REIGN OF FEAR」を師匠宅で聴いた覚えがあり、特に面白くもなかったのでスルー続け、B誌の好評を受けて見事にハマったのは「TRAPPED!」だったからそれにしようかとも思いましたが、まずは傑作のコレをオススメしときます。ジャケもいいよね。そこに描かれているものこそが“The Missing Link”なんですね。理科のお勉強にもなる秀逸なジャケでした。
#720 / UNITY / 2002
★★★★★
前作からMIND ODYSSEYのヴィクター・スモールスキーが加入。ピアノも弾くしクラシックの素養もあってオーケストラのスコアも書ける才人がなぜピーヴィーと!?おまけにドラムには…MASTERPLANやARTENTIONやAKSEL RUDI PELLやMETALLIUMやYNGWIEやKIKOやSAVAGE CIRCUS等で有名なマイク・テラーナ!誰もが最強トリオの完成と思ったよね。かつて炎で「鶏の首を絞めたような」と形容されていたピーヴィーの苦しそうなヴォーカルもここまでくると味が出てきて個性的で良いです。年輪を重ねてピーヴィー節と呼べるものを確立していると思います。ヴィクター加入後のRAGEはどれを聴いてもツボ。ちなみにテラーナはすでに脱退しました。
#920 / SOUNDCHASER / 2003
★★★★★
序盤は素晴らしい。ピーヴィーの歌メロも冴えてる。けど、今回はそのテンションが続かなかった。アルバム丸ごと飽きずに聴かせるのは難しいんだね。やはりCDの収録時間が長すぎるのでしょうか。技術の進歩は時としてこういう事態を招くね。法律で1枚45分以上録音しちゃダメってコトにして、そのぶん販売価格を下げるってのはどうでしょう?ボートラはボーナスCDにする。作り手は入魂の10曲で勝負できると。クオリティが上がると思うけどな~。さて話を戻して…ヴィクターのギターはやっぱりいいね。トリッキーながらも考えられたギターソロだ。出しゃばり過ぎないところがニクい。前作「UNITY」と連作と捉えて良いのかしら。
#1414 / TRAPPED! / 1992
★★★★
ハマるきっかけとなった6thアルバムです。これ以前に師匠宅でデビューアルバム「REIGN OF FEAR」を聴いたことがあって、その時点では何てことなかった。印象に残ってるのはジャケのみ。その後このアルバムがBURRNで高得点だったから興味が湧いたんだろうね。確かに良かった。導入部のアラビア音階にそそられる“Shame on You”からの3曲でファンになりました。特に“Solitary Man”のウォオ・オ・オ・オオオにはやられたね。ソリタリ・メ・エ・エ・エ・エエエnだぜ(笑) 斬新だ。3曲目の“Enough Is Enough”の歌メロもいい。この辺が他のジャーマンと違うところ。確かにジャーマンメロなんだけども臭みが少ない。RUNNING WILDが近いかな。同じような音楽を聴いて育ったのだから当然といえば当然だけどね、高音で破綻してゲロゲロになるガラガラ声(笑)という共通点もそう思わせる要因かもしれない。美しいメロを歌い切れない歯痒さですな。まあ無骨な感じがイイじゃないの。トム・エンジェルリッパーにも似てる。遡ればウドか。そういえばACCEPTの名曲“Fast as a Shark”をカバーしてますが全く違和感なし。マンニ・シュミットのギターもいい。
#1676 / BLACK IN MIND / 1995
★★★★
脱退したマンニ・シュミットに代わり2名のギタリストが加入、デビュー以来のトリオからツインギターの4人体制になって2枚目となる9thアルバムです。単純にサウンドの厚みが増した気がします。楽曲も総じてヘヴィになった印象ですが「THE MISSING LINK」のいいところも残っているからいいのかな。“Sent by the Devil”とか“Until I Die”とか…「ミッシング…」に入っていても違和感がない曲だ。この後ピーヴィーはクラシック音楽とガチで取り組みます。ワグナーだけに!その結果、クラシック要素抜きの楽曲でもアグレッションが減退し、独特のいい意味での臭みも薄れ、なんだか普通のへヴィメタルになってしまった。この時期は一般的に低迷期と捉えられているのではなかろうか。もっともそのぶんヴィクター・スモールスキとマイク・テラーナを従えての復活は劇的だったけどね~。一気に溜飲を下げたファンは少なくないでしょう。というわけでこの作品はそれなりに楽しめました。4人編成RAGEではこのアルバムがベストだと思います。
#1802 / WELCOME TO THE OTHER SIDE / 2001
★★★★
新生レイジの起死回生14thアルバムです。マンニ・シュミットが脱退した後の4人体制レイジでは、ぶっちゃけあまりいいアルバムを作れていなかったように思う。きっとピーヴィーにも自覚症状があったに違いない。今回再度トリオ編成に戻り、人数は減っても確実にパワーアップしましたね。メンバーによってこうも変わるのかという顕著な例でしょう。そりゃあそうだよね。新たに加入したギタリストがMIND ODYSSEYのヴィクター・スモールスキーで、ドラマーがマイク・テラーナだもの。これは強力。最強のトリオといっても過言ではありますまい。まずイントロダクションでヴィクターの軽い挨拶。これに続く事実上のオープニング曲”Paint the Devil on the Wall”こそが待ってましたのピーヴィー節炸裂キラーチューンだ。作曲はスモールスキーとなってますが、歌メロを作ったのはピーヴィーでしょ。とにかくいいパートナーを見つけたね。スモールスキーの真骨頂でもあるオーケストラアレンジ組曲を挟んで、仕切り直しの”No Lies”で後半戦が始まる構成です。しかし、このアルバム自体が新メンバーの御挨拶レベルたっだと気付くのは、続く「UNITY」と「SOUNDCHASER」で今作を遥かに上回る内容を提示した後の事でした。
#1941 / SPEAK OF THE DEAD / 2006
★★★★
正直なところ最初の組曲が要らない。オーケストラとの再演でBRIND GUARDIANみたいなことになってますよ。言い出しっぺはヴィクターか?いや違うな。以前オケと共演した時ヴィクターは居なかった!ピーヴィーの悲願にヴィクターが手を貸したってところでしょうね。姓がワグナーってくらいだから(笑)きっと天命とか思っているに違いない。 長~いイントロダクションだと思えばいいのかもしれないけど、できれば別個の作品にしてほしかったよね。ともかく#1~8までが組曲だから#9の”No Fear“からいつものRAGEが始まるのでご心配召されるな。エンディングに向かって一気に加速する様は流石の展開です。ラストのタイトルチューンは見事な締めくくりだね。ところが日本盤はコレで終わらないのね。「ありがた迷惑」とか「蛇足」とか言い方は色々ありますが(笑) ボートラの“満ちし月”はやっぱり微妙でしょ。QUEENの“手をとりあって”みたいなものを想定したのかもしれないが、全編日本語はさすがにキツいかな。ここまでやるならイントネーションをもっと磨くべきでした。