PRISM
PRISM(JPN)
#149 / PRISM / 1977
★★★★★★
ハードロック系フュージョンとでも申しましようか、その手の音楽を演っているプリズムの1stアルバムです。和田アキラ(アキコではない)先生だけで成立するところへ、四人囃子を脱退(「ゴールデン・ピクニックス」で燃え尽きたとか)した森園勝敏先輩まで参加しちゃったというミラクルが発生した奇蹟のデビュー作なのね。生粋のフュージョンと言い切れないのは、森園先輩の存在が影響しているからだと思う。アキラ先生といえば「ロックおもしロック」というTV番組で流れたCMが有名ですね。GrecoのGO1400を弾き倒す様が衝撃的でした。思えばアレが速弾きの初見だったかも。一方の森園先輩はというと、ほぼ使っていなかったらしいけど、同じくGrecoのMR(ミック・ラルフス・モデル)が思い出されます。四人囃子のフロントマンからアキラ先生のサポート役に降格!?…なんて扱いになるはずもなく、2番手ではない、もう一人の主役としてしっかり主張してます。収録曲のイチオシは、ヤングジョッキーでオンエアされた“Love Me”で間違いなし。謎の女性による気怠いヴォーカル曲から一転、中間部分ではハードに歪んだギターソロをひたすら弾きまくります。アキラ先生の代表作であり文句なしの名演です。オープニングの“Morning Light”と共に、エアチェック音源を何度も聴きました。ハードなサウンド連発のB面もいい。“VikingⅡ”から“Tornado”、そしてエンディングの“Prism”と徐々にテンションが上がっていく様は、若さ漲るアキラ先生を堪能できること請け合いでございます。77年の日本に於いて、コレは凄い作品だと思う。
#618 / SECOND THOUGHTS/SECOND MOVE / 1978
★★★★
これはフュージョンというジャンルなんだね。プログレとは言わない。フュージョン系のプログレというのもあるけど基準がよくわからないから説明もできませんが、プログレ風味があるとすればそれは森園先輩の存在に他ならない。そして今作はその森園先輩最後のアルバムになってしまいました。結構地味な役回りだったアキラ師匠のサポートはこれにて終了。ラテンフレーバーありのほぼ1stの延長ですがホーンセクションという新機軸あり。今回は森園作品“Daydream”も収録。A面を締めくくるギターバトルが聴きどころの“Spanish Soul”はいいです。そして圧巻はオーラスの大作“Beneath the Sea”でしょうね。アキラ先生が弾き倒してます。鈴木リカ徹と村上ポンタ秀一のツインドラムだそうだよ。まあ流石に“Love Me”に相当する曲は見当たりませんでした。やっぱりあれは奇跡の名曲だったんだね。
#1331 / SURPRISE / 1980
★★★★
森園先輩がバンドを去って2作目、通算4枚目のアルバムです。4ピースバンドになった前作は“風神”などベスト盤収録の数曲しか聴いていないので、とりあえずそれはすっ飛ばして(現在高値で3rdには手が出ない)この4thです。森園先輩が抜けた穴を埋めるべくアキラ先生が弾きまくっているのがいい。それだけで爽快ですわ。ゆえに四人囃子臭はすっかり消えましたね。個人的にはその四人囃子臭が好きだったけど、もはやこのバンドに期待することではないようで、これはこれで素晴らしいと思います。カシオペアとはまた別の、ロック寄りフュージョンの一つの究極形でしょう。アキラ先生はSANTANAやRETURN TO FOREVERやJEFF BECKが好きなんだそうだ。前作のようにあからさまなラテン風味の曲はありませんが、JEFF BECKのロックスピリッツを主軸として、その他がいい感じでブレンドされております。ルーツは隠しきれないってことだね。
#1530 / PRISMⅢ / 1979
★★★★
森園先輩も抜けちゃったし、もういいかなとも思ったのですが、すでにベスト盤で聴いていた“風神”が捨て難く、廉価版が出たので買ってしまいました。すっかり所謂フュージョンですけどね、すでに紹介した4th同様アキラ師匠が結構弾きまくってるからいいんじゃないでしょうか。高中正義的と共通ではありますが、師匠をはじめとして皆さんテクが確か。まあフュージョン奏るからには大体そうか。前作からの流れでラテン風味の楽曲は今回もあります。もちろんオールインスト。まあアレだね、多少なりともロックスピリッツを求めるなら、プリズムは4th「SURPRISE」までかな。次の「COMMUNITY ILLUSION」も聴きましたが、ちょっと大人しすぎるかもしれない。アキラ師匠のプレイもどこか控えめで寂しさを感じてしまう。さてお目当ての“風神”はやっぱり良かった。曲名は風神ですが前半のパートはどう聴いても雷神という趣で途中から風神の如き曲調に変わる大作。風神/雷神というタイトルでもよかったかも。参考までに…これから購入する場合、2003年発売の紙ジャケHybrid SACD盤には気を付けましょう。オリジナルより回転数が遅い不良品だそうですよ。回転数が遅いためキーが半音ほど低くなっており、当然の結果として尺が長くなっているとか。ポジティブに捉えるなら、ギタリストにはいいかもしれない。師匠の高速フレーズが多少なりともコピーしやすいかもよ(笑)
#1868 / COMMUNITY ILLUSION / 1981
★★★★
2021年3月28日、和田アキラさんが64歳(6歳違いという事実に愕然としたりして)の若さで亡くなりました。我々世代にとってはね、間違いなく当時のギターヒーローの一人でしたよ。竹田和夫、高中正義、char、森園勝敏、山本恭司、高崎晃…etc。「ロック寄りのギターを弾くフュージョンの人」って捉えてたけど、やっぱGoのCMのインパクトが大きかったね。そんなわけで、キーボーが交代した5thスタジオアルバムです。正直ここまでくるとそれほど思い入れはないです。4thと5thに関しては、リサイクルショップのワゴンセールで偶然出会ったから買ってみただけのこと。1枚300円くらいだったと思うが、その出会いが無かったら聴いてもいなかったはず。たしか同ワゴンセールにて人間椅子にも出会いました。久しぶりに寄ってみようか。店は存続しているものの、外観からしてもはやCDを置いているようには見えないけど。話が逸れたね。アルバムの内容はですね、相変わらずの和フュージョンです。ロック風味は薄いけれど、アキラ先生と渡辺健のプレイはじゅうぶん楽しめます。曲もバラエティに富んでいる。全7曲。ところで、アキラ先生のシグネイチャーモデルを知ってるかい?SSHSという変態チックなピックアップ・レイアウトは和田配線と言われているそうだよ。
#2131 / PRESENTⅠ / 2003
★★★★
25周年記念セルフカバー・アルバム。タイトルに「Ⅰ」とあることからお察しの通り、「Ⅱ」も合わせてリリースされております。この時点でのメンバーは…アキラ先生、木村万作(90年頃~)、岡田治郎(2001年頃、渡辺建と交代した新ベーシスト)というトリオ。ゲストは、キーボーに久米大作、ギターに森園勝敏。プリズムはアキラ先生のみならず、渡辺のベースもウリだったわけですが、岡田もフレットレス・ベース遣いで遜色なく聴けるのでご安心を。この時点のメンバーによるセルフ・カバーゆえ、この時点でのアレンジが施されているのですが、そこがちょっとね、と感じてしまうのは致し方ない。フュージョンというカテゴリーにしてハードという、あの頃のプリズムではないわけ。それにしてもアキラ先生は元気だ。ハードロックテイストは減退したものの、まだまだアグレッシブに弾きまくっておられる。今作の収録曲…デビューアルバムからは”Morning Light”(森園参加曲)と”Love Me”(好きな曲だけにガッカリ度は一番)と”Dancing Moon”、2ndから”Beneath the Sea”と”Spanish Soul”、3rdから”Sunrise Cruise”など、まあまあ期待が膨らむ選曲ですが、これを円熟の演奏で聴かせるという趣向だと刺激が足りないのね。最後の1曲”元寇”のみが新作。で今作を聴いた結果、”風神”等を収録した「Ⅱ」を購入するのはやめました。