PAIN OF SALVATION
PAIN OF SALVATION(Sweden/瑞典)
#1730 / ENTROPIA / 1997
★★★★

基本はメタルでもプログレッシブ、時にジャジーで時にファンクなミクスチャーの若き雄、北欧より登場の巻。曲構成が複雑なものとそうでないものがいい塩梅で繰り出されます。動と静のコントラスト、ともすれば唐突な展開でさえ、面白く聴くことができました。CYNICの激変パートが想起される音楽です。ブレーンのダニエル・ギルデンロウ(G&Vo)が歌えるタイプだったのが原因かと思われますが、2nd以降はここまで複雑なことを演ってるイメージはないかな。3rdまで聴いたところで見切りをつけました。文字通りのファースト・インパクト、デビュー作でありったけのアイデアを放り込んだ結果でしょう。特にプログレハードな長尺曲に魅力があるように思う。バラード系は…まあシンガーが力量を示したいだけかな。色んな歌い方ができるんですよ的な。初期メンバー(ベーシスト)がMESHUGGAHに引き抜かれたとか、なるほど似たようなカテゴリーかもと頷けるエピソードだね。厳密には比較対象ではないのだけれど、当時のDREAM THEATERより楽しめました。豊富なアイデアがテクを凌駕した結果ですな。
#2061 / THE PERFECT ELEMENT, PARTⅠ / 2000
★★★★

単なる3rdアルバムということにとどまらず、3部構成の第1部に当たるアルバムでもある。つまりは壮大なスケールのコンセプトアルバムの1/3ということ。その序盤に当たる本作は…登場人物のheとsheの幼年期から青年期の出来事らしいです。曲のタイトルは以下の通りで、「児童虐待」「性」「悲劇」「薬物問題」「愛」「痛み」「怒り」「損失」「恥」「後悔」「内なる葛藤」となっている。英詞を訳さずともストーリーが何となく想像できる邦題は有難いですな。青春映画の定番テーマが並んでいるのでアンテナにビビッときたら是非。肝心の音の方ですが、よくよく聴いていみると実に多彩なことを演っている。ダニエル・ギルデンロウのアイデアだと思われますが、この人はFLOWER KINGSやTRANSATLANTICにも参加している才人なわけで、流石と言う他ないでしょう。もはやDREAM THEATERがどうのというレベルではなくなっている。独自の雑食系プログレハードを確立したね。言い方が難しいが、音が濃密すぎないところが素晴らしい。8分~10分の長尺曲が5曲あっても飽きずに聴けたました。デビューから今作までしか聴いていないバンドですが、どうやら第2部、第3部も聴く価値がありそう。