NOVELA
NOVELA(JPN)
#33 / IN THE NIGHT / 1980
★★★★★★★

当時ジャパニーズプログレハードと聞いて真っ先に思い浮かぶのがこのバンドでした。そんなプログレハードしていた時期の2ndアルバム「星降る夜のおとぎ話」です。バンドの最高傑作は次作「PARADISE LOST」だと思っております(レコードも買ったし)が、今作には17分の大作にして名曲の“回想のかけら”が収録されているわけで、さらには大学時代に“Farewell”をコピーしたという想い出も込みで、まずはこのアルバムを選んでみたという次第。インパクト絶大なヴォーカルメロが衝撃的なオープニングタイトルチューンで掴みはバッチリ。前出”Farewell”をコピーしたバンドのメンバーは全員後輩(しかもバンド歴が浅い)だったから、まあすんなり決まったよね。折角の鍵盤入りバンド(後にも先にもこのバンドだけ)だったから、とりあえずNOVELAが演りたくてさ。他にも”イリュージョン”や”ロマンス・プロムナード”や”マジカル・アクション”もコピーしたよ。あとはUFOとかVANDENBERGとか…後輩の意見を取り入れたのはMSGくらいだったかも。さて収録曲に戻って、高橋ヨシロウのHR志向が炸裂する”ヒドラ伯爵の館”もたしか候補で、ドラマーが無理ってことで却下されたという記憶があります。さあここまではプログレハードの面目躍如といった曲構成で、満を持して登場するのが”回想のかけら”。LP時代のB面ですね。色んなパートで構成される、バンド随一のプログレ作品となっており、必聴曲でございます。締めの“Little Dreamer”は女性ヴォーカルが担当しており、最後の「おやすみなさい」まで、構成はパーフェクトでしょう。2006年にリリースされた25周記念ベスト盤ではアンジーのヴォーカルでリ・レコーディングされているらしいけども、気にはなるがそれほど唆られない。80年のテイクが最高だと思ってるからね。女性ヴォーカルを起用したのはファインプレーだったと断言する。さて、当時はコレが日本のプログレハードなんだと頑なに信じて聴いてたわけですが、その後、本場のプログレをいろいろ聴くようになってからは「NOVELAはプログレか?」という疑念を持つようになります。師匠と協議の結果、初期に関してはプログレハードでいいんじゃないかという結論に達しました。アンジーの歌唱は、個人的にも一般的にもかなり微妙(下手)だってのが定説かな(笑) ヴィジュアル的にも、ANGELになり損ねた安全地帯みたいでこれまた微妙。当時4オクターブだのと宣伝文句にあった気がするが、テル(平山照継)が作曲すればNOVELAになるってのが全てではなかろうか。ベース(高橋ヨシロウ)が後のACTIONだったりもするから、いい具合にハードさも加わって、個性的な音が出来上がったんだね。リズム隊はとにかく聴いてて気持ち良かった。もちろん永川敏郎の鍵盤の彩も欠かせません。
#94 / PARADISE LOST / 1981
★★★★★★★

アンジー、テル、山根基嗣、ヨシロウ、秋田鋭次郎、永川敏郎による最後のアルバムになってしまいました。1st「魅惑劇」は貸レコード屋で借りて、2ndは友達から借りて、初めて自分で買ったNOVELAはこの3rdでした。そういう意味でも一番思い入れのあるアルバムですが、それを差し引いても文句なしに素晴らしい。ちなみにプロデュースは森園勝敏先輩(四人囃子)なんだよ。曲が繋がってる辺りからも推察できる通りのコンセプトアルバム、ゆえにこれまでで一番プログレッシブ(楽曲も長短、硬軟織り交ぜ粒ぞろい)な傑作といえるでしょう。しかしながら、ヨシロウが脱退する理由もここですかね。”ファッション雑誌のパッション・プレイ”で気を吐いてますが、流行の乗ってジャパメタがやりたかったらしい。好き嫌いが分かれる(嫌いな人が圧倒的に多いと思われる)アンジーのヴォーカルも、アルバム3枚も聴けば慣れてくるし(無理な人は一生無理か)音程がフラフラしてたって(妙なビブラート)個性として受け入れられる。てか、聴くべきところはソコだけじゃないってコトがわかる。結果的にはこのアルバムが全盛期でしたね。最高傑作かと問われると即答に困るけれど、傑作であることには違いない。前作「IN THE NIGHT」はプログレハードとして文句の付けようがない作品だし、「魅惑劇」もタイトルに違わぬファンタジックな世界を気に入っているからね、ここは穏便に、優劣をつけるのはやめておきましょう。聴くなら最初の3枚を聴け、ということで。この後、山水館組のヨシロウと山根が秋田を誘って、ACTIONを結成すべく脱退したことで、趣味嗜好が異なるメンバー(ヴィジュアル系とファンタジー系とハードロック系)によるケミストリーってやつが失われてしまいます。10CCパターンかな。新メンバーによる次作も悪くはないけれど、当然の流れとしてアンジー&テル色が強くなってしまった。必要悪と言ったら失礼かもしれないが、ヨシロウの存在は大きかったということ。
#390 / 魅惑劇 / 1980
★★★★★★

中古か新品か定かではありませんが、とにかく最終的にはレコードを買ったデビューアルバムです。2つのバンドが合体(4+2)したプログレバンドで、後に2が4の1を引き連れACTIONを結成します(笑) しかしコレをプログレと呼んでいいものやら迷うところ。MOON DANCERなんかとは違ってメディアへの露出はなかったから、とりあえずプログレ歌謡扱いはされてなかったよね。ただ、少女マンガとコラボしてしまうあたりは微妙でした。長い曲もある、変拍子もある、ギター歪んでる、ハイトーンヴォーカル、ジャケも雰囲気出てる、歌詞もそれっぽいとなれば、まあプログレハードで良さそうだが、最も的を射た表現と思われる”ジャパグレ”を推したい。伊藤政則には”元祖ヴィジュアル系”と認定されていたわけですが、そう呼ばれる原因を作った張本人と思しきアンジーも古希を超えているはず。自身の加齢も含め何とも言い難いですが、ボーカルは微妙かな~。とりあえず上手いと思ったことはない。このデビューアルバムのギターの音が、初期JUDAS PRIESTの音に似てる。グレンだかK.K.だか忘れたけどギブソンSGを弾いてたよね!? SCHEHERAZADE時代にはJPのコピーもしてたらしいし、テルはSGの音が好きなんだね。オープニングの”Illusion”は大学時代にコピーしました。カッコいいギターリフとツインリードが選曲の決め手だったかな。ジャパグレ小曲の”Night with No Name/名もなき夜のために”、”Unbelieving Words/恋はあまのじゃく”を挟み、A面を締めくくる11分超の”Letticia”が登場。個人的には「走れメロス」的な歌詞が好きです。B面は大作が2つ。9分越えの”They Boyhood~The Cliff/少年期~時の崖”は、静と動のコントラストが素晴らしい。ラストのタイトルチューン”La Songerie”も文句なし。ジャジーな展開など挟みつつ、14分という尺の長さを感じさせない一大抒情詩に仕上がっています。これだけ聴いてたら間違いなくプログレなんだけども。ちなみに今作ジャケを手掛けたのは、ピート・シンフィールドの「STILL」を描いた人ですって。
#543 / 青の肖像 / 1981
★★★★★

2ndアルバム「イン・ザ・ナイト」と、3rd「パラダイス・ロスト(森園先輩プロデュース)」の間に出した4曲入りミニLPですが、CD化に伴い収録曲が増えています。LPには“青の肖像(パート1)”と“青の肖像(パート2)”が収録されてましたが、CDには「パラダイス・ロスト」に収録されていた“青の肖像(パート3)”が加わり、このシリーズを3曲続けて聴けるようになりました。ただ他の追加収録曲に関しては、第2期の作品なので違和感があり、有難迷惑(個人的には有難いです)と言えなくもない。“Secret Love”も “Ready to Fantasy”もいい曲だけどね、結構な歌謡路線の楽曲だから、オリジナル収録の4曲とは相性がいいとは言えない。今作一番の思い出は、大学時代にコピーした“メタマティック・レディ・ダンス”だ。当時は音源だけを頼りに歌詞を耳コピしたのですが、このたいした行数もない歌詞が分からなくて苦労したよ。バンドメンバーの後輩たち(ギターのF、ベースのT、ドラムのF、キーボーのMちゃん)と苦労して解読、後に確認したら違ってたけどね。とりあえず五十嵐先輩、歌詞カードがないと何歌ってるかわからないっス。なんなら歌詞カードでチェックしても納得できなかったりして(笑) 冒頭「青の肖像」たちがしっとりした曲調だから尚更の事、”メタマティック…”が始まった瞬間にアドレナリンが放出される。で歌詞がハッキリせずちょっと萎える(笑)LPの最後は”Nightmare”、歌謡路線の前出2曲に近いと思いきや、これは間違いなく第1期のテイストなわけで、やはり今作はこの曲で締めるのが望ましい。
#651 / SANCTUARY / 1983
★★★★★

メンバー交代によりファンタジー度が増した4thアルバム「サンクチュアリ(聖域)」です。高橋ヨシロウ(B)と山根基嗣(G)の山水館チームが秋田鋭次郎(Ds)を引き連れて脱退(ACTIONを結成)、新たに笹井りゅうじ(B)と西田竜一(Ds)が加わった第2期の1枚目は、これまでのジャパグレとは一線を画す、アートワークに表現された音世界が展開されています。ハードロック部分を担っていたヨシロウが脱退して100%平山照嗣のシンフォプログレ化したNOVELAの最高傑作とされる(個人的に異議あり)。“Divine Comedy”とはダンテの神曲のことですが、リーダートラックとして申し分なし。メロディも演奏も、新メンバーのお披露目以上のインパクトがあります。後に発表されるテルのソロアルバム「ノイの城」と同様の世界観。そこに登場するネルフェルティの声が、冒頭のタイトルコール(byテル)ですでに試されている。”Lunatic”はベースが歌ってます。硬い音質も相俟ってクリス・スクワイアを想起せずにはいられないテクニカルな歌謡ロックという趣。敢えて音を外したアコギソロが印象的な”Dream the Paint/夢の絵の具”、アートワークが具現化されたテクニカルプログレ曲”Through the Forest/調べの森”が続きます。永川敏郎作の美しいボーカル曲”To the Wings/翼に…”は、中盤にテルお得意のいかにもプログレなパートが展開されます。”Unconscious Prophecy/過ぎ去りし我らの日々”は前作「パラダイス・ロスト」の延長線上にあるHRテイストを感じる、前作のアウトテイクでしょうか。”Rose Sèlavy”は五十嵐久勝(アンジー)節炸裂の歌謡路線。そして”The Dawn of.../黎明”は、”ロマンス・プロムナード”と”回想のかけら”が合わさったようなエンディング大作、アルバムのハイライトで間違いない。夜明けを感じさせるしっとりしたバラードが一転、ストリングス、シンセ、鐘、パイプオルガン、そしてギターソロによって新たな世界が幕を開けます。この大仰さはミュージカルのエンディングの如しのテル’ズ ワールド。次のアルバムに期待が高まりましたが、山田ミネコの漫画に目を付けたのが間違いだった。「最終戦争伝説」のイメージ・アルバムを2枚発表後、アンジーはソロデビュー、永川はGERARDに専念するため脱退、デビュー当時からのメンバーはテルだけになってしまいます。熱心に聴いたのは今作まで、「最終戦争…」は1作目だけ貸レコード店で借り、ヨシロウ組のACTIONもそれほど聴かず終い。かつての新年会で、師匠がこの時代の映像(ひどい画質だった)を持ってきて皆で酒を飲みながら鑑賞しました。アンジーが動く姿を見るのは初めてってくらいだったから、イヤイヤイヤイヤ玉置浩二かっ!という感じだったよね。声も出てなかったな。しつこいようですが、NOVELAを楽しめる人はクセのあるボーカルを許せる人、もしくはボーカルを楽器の一部として聴ける人なのでご注意を。
#1131 / ぼくら野球探偵団 / 1980
★★★★★

上記ドラマの主題歌だったらしいが番組を見たことはございません。A面の“マジカル・アクション!!”がとにかく面白いってことでコピーしたんだね。もちろん師匠の推薦だったと記憶しています。地元バンドではしっかり合わせたことは無かったはず。キーボードが居ないバンドだったから…じゃあ師匠がkeyパートをギターで弾いて…みたいな話もあったね。で大学で組んでたバンドにはミカちゃん(key)が居たから演ってみたんだな。録音もした。ベース以外(笑)はまずまずの出来だった気がする。そして肝心のキーボードがね、音量が小さくて聴こえてなかったのよ。まあ録音方法にも問題があったのかも。そこで師匠を呼んで当時マイブームだった多重録音さ。keyパートをギターで被せてもらったというわけ。今は白髪が蔓延してすっかりロマンスな師匠ですが、楽勝でkeyパートを弾く当時の姿は実に頼もしかった(笑) そんな思い出を抜きにしてもいい曲だと思うよ。ジャパメタのマイベストCDには必ず入れちゃうね。NOVELAの中では特異なタイプの名曲でしょう。四人囃子の“ハレソラ”に通じるものがあると思うんだけど、いかがでしょう。ちなみにこのEPを探さずとも「SECRET TAKES」という作品に収録されてますよ。
#1340 / SECRET TAKES / 1993
★★★★★

こちらが名曲“マジカル・アクション”を聴くことができるレアトラック集です。もっとも“マジカル・アクション”だけなら後の「THE VERY BEST OF NOVELA」にも収録されてますが、これはこれで便利なアイテムではあります。“マジカル・アクション”のB面曲“アイム・ダンディ”は貴重かつ強力(笑) 何はともあれ一聴の価値ありです。““怒りの矢を放て!”と“ジェラシー”は今となっては何れかのオリジナルアルバムのボートラになっていたような気もする。“回想のかけら”はショート・ヴァージョンなので貴重かもしれないが物足りず。ライブ音源はライブ盤「FROM THE MYSTIC WORLD」の付録だったソノシート(懐かしいよね。若い人にはわかるまい)音源だそうです。要するに本編から洩れたやつ。コアなファン向けでしょうね。関西の実力バンドSCHEHERAZADEと山水館が合流して結成されたNOVELA。ノヴェラもシェラザードもバンド名の由来はRENAISSANCEのアルバムタイトルなんですね。テルの発案でしょう。TERU’S SYMPHONIAでの女性ヴォーカル起用は当然の帰結だったか。アニー・ハズラムとはだいぶ違うけど(笑)
#2123 / FROM THE MYSTIC WORLD / 1984
★★★★★

当時のカセットテープがまだ残っている2枚組実況録音盤「SUPER LIVE SHOW:FROM THE MYSTIC WORLD」。大阪厚生年金会館と中野サンプラザの音源が収められている。残念なのは第2期メンバーであること。ヨシロウの不在が最大の痛手だが、ライブならギターをもう一人、山根にもいてほしかった。ならばドラムも秋田だよね。大学時代、先輩に第1期のライブ音源を聴かせてもらったことがある。会場で隠し録りした音源で、どんな曲だったかも定かではないけれど、第1期であったことは間違いない。探せばブート盤とかあるんだろうけど。選曲は…ライブで再現するとなればこんな感じになるのかな。”Divine Comedy”の再現度がイマイチで残念。アンジーは決して上手いとは言えない。が、美輪明宏さんみたいなものだと思っているので(笑)良しとする。ライブを聴いて思うのはテルのポテンシャル。もちろんNOVELAの世界観はテルのアイデアであるけれど、表現者としては如何なものか。スタジオワークでは問題ないけれど、ライブとなると実力不足は否めない。Disc1よりもDisc2の方が印象が良かった。”Secret Love”とか”Ready to Fantasy”とか、それほど演奏技術を必要としない曲というか、ヴォーカルのキーが高くない曲というか、所謂歌謡ナンバーは出来がいいってのがね、第1期のファンとしては何とも歯痒い。プログレバンドのライブではないね。ラストの”Illusion”で多少は溜飲を下げることができる。クオリティの高い作品ではないけれど、懐かしさで評価が上がるのは致し方ないこと。