KISS
KISS(US/米)
#2 / DESTROYER / 1976
★★★★★★★★★
現在でも依然として進行形の長い長いロック人生の出発点は間違いなくここでしたね。それはDEEP PURPLEでもなくLED ZEPPELINでもなかったんだよ。何しろビジュアルのインパクトが凄かったからね。RUNAWAYSなんかもそうだけど、中学生くらいだと速攻で虜になっちゃうでしょ。キッスカタログの中でダントツのお気に入りは歴史的にも個人的にも名盤中の名盤4th『地獄の軍団』ということになりますな。いやあほんと、当時はヘビーローテーションだったよね。しかもレコードじゃなくエアチェックしたカセットテープだったよ。大判の写真集を眺めつつ、ライブに思いを馳せたものでした。で、来日公演がNHKで放映されるってんで(ヤング・ミュージック・ショーだね)部活をサボったのをよく覚えてるよ。先輩たちが練習してるグランドの前を横切るのはヤバいってことで、学校の裏の石垣(城山公園)をよじ登って脱出したよね~。ビデオなんか存在しない時代だからどうしてもリアルタイムで見るしかないわけさ。小学校のとき、長嶋引退の日、掃除サボって以来だったと思う。高校時代はサボり放題だったけど、小中学生の頃は結構な罪悪感があって、サボりは一大決心だったな。そんな付加価値もあるから今聴いても当時の記憶がよみがえってくる。音楽ってそういうもんでしょ!だからね、いくらいいアルバムが出ても青春時代の思い出込みの旧作群には歯が立たないんだよ。“Detroit Rock City”のイントロダクションは今聴いてもゾクゾクする。始まるぞ~って感じは全く色褪せないな。“暗黒の帝王”も“雷神”も“地獄の遺産”も“燃えたぎる血気”もSweet Pain“も”狂気の叫び“も”べス“も“Do You Love Me”も全部が想い出だ。これまでの3枚のようなシンプル・ロックンロールからスケールアップしたのはプロデューサーのボブ・エズリンの手腕によるもの。“べス”に於けるオーケストラの参戦はその最たるものだね。ポールもジーンもピーターも、それぞれが持ち味を発揮しており素晴らしい。“雷神”はジーンが歌うべきだし“べス”はピーター以外考えられないよね。どうやらエースだけが嵌まってなかったらしい。結果、2曲に於いてディック・ワグナー(なんとAEROSMITHの2ndアルバムにも参加)という人物のリードギターに差し替えられてしまいました。リミックス盤がリリースされてエースのテイクが陽の目を見るのは33年後のことでした。
#52 / LOVE GUN / 1977
★★★★★★★
「地獄の軍団」は全曲が懐かしい。それほどよく聴きました。リアルタイムでアルバムを買ったわけじゃないけれど、当時はアルバムをほぼ全曲オンエアするFM番組があったから、テレビで言うところのザ・テレビジョン的な、ラジオリスナー御用達のFM STATIONでオンエアリストをチェックして録音するってパターン。これすなわちエアチェック!とはいえ名盤なので、後に中古レコードをゲット。もちろんCD時代にはCDも、更にはリマスター盤まで追加購入しましたよ。この6thアルバムはさすがに「DESTROYER」のように全曲とはいかないまでも、キラーチューンと言ってもいい”Love Gun”を筆頭に、“I Stole Your Love/愛の謀略”、ジーンが歌う“Christine Sixteen”、エースが歌う“Shock Me”なんかは想い出深い。あとカバー曲の“Then She Kissed Me”も、違和感があって逆にハマった。当時はカバーってことを知らなかったけれど、KISSの曲とは思えなかったのも確か。ちなみにオリジナルはクリスタルズの”Then He Kissed Me/キッスでダウン”。お気付きでしょうか?KISSのカバーは主語の性別を変えてるんですね。他にも”Tomorrow and Tonight”とか”Plaster Caster”とか…って結局ほとんど全部(笑) KISSに夢中になっていたのが中学生時代の4th~6thだから当然か。まだハードロックを聴き漁る以前、ヴィジュアルの派手さに騙されて、激しい音楽の代表と思い込んで聴いてたからね。ちなみに3作ともプロデューサーはエディ・クレイマー。今作のジャケも「地獄の軍団」を踏襲していて素敵です。衣装がゴージャスになってる(進化)から、ジャケを見比べるだけで楽しい。当時はミュージックライフ系の写真集なんかを書店で見つけると迷わず買っており、それ故コスチュームに関しては「DESTROYER」時のモノが刷り込まれてる。KISSといえば真っ先にアレが思い浮かぶ。マスクを脱ぎ捨てた時代がしばらく続いてからリメイク(再化粧)した時もアレだったしね。
#117 / ROCK AND ROLL OVER / 1976
★★★★★★
全米11位、トリプル・プラチナム・アルバムとなった名盤「地獄の軍団/Destroyer」の勢いのまま、同年にリリースされた5thアルバム「地獄のロックファイアー」です。初期3枚の路線に原点回帰した作品ということになっているらしいけど、タイトなスケジュールのせいでそうなっただけでしょ。収録曲こそ10曲だが、収録時間は今じゃ考えられない33分18秒だし。エディ・クレイマーによるやっつけ仕事とは言わないまでも、前作のボブ・エズリンみたいな仕事(オーケストラの起用とか)をする余裕はなかったと推察します。それでも流石キッス、コレはこれでヒット作(全米11位、ダブル・プラチナム)になりました。いかにもポール・スタンレーな”いかすぜあの娘/I Want You”で開幕。他にも、第2弾シングルとなったジーン・シモンズ丸出しの”悪魔のドクター・ラヴ/Calling Dr.Love”、同”熱きレディズ・ルーム/Ladies Room”、後にジーンが自身のソロでセルフカバーした”悪夢の出来事/See You in Your Dreams”、アルバムを締めくくるタイトルチューンなど、後に「アライヴ2」に5曲選ばれるのも頷ける内容です。そして何より、第1弾シングルとして全米15位になったヒット曲”Hard Luck Woman”が収録されているということ。リアルタイムで聴いた曲でもあり、大好きな曲ですね。当時“ハードラック・ウーマン”をハードロック・ウーマンだと思い込んでいた中学生が少なからずいましたな。ハードロックという言葉を覚えたてだったし、LとRの発音の違いとか気にしてないし、ラ行はラ行でしょ?みたいな。勇ましいタイトルなのにバラードとはこれいかに?そこから気付くことになる。前作”Beth”に引き続いてのピーター・クリスのハスキーボイスが染みる名曲です。件の「ヤング・ミュージック・ショウ」で放送された武道館公演を翌年に控え、全盛期であることは間違いなし。同世代の皆さま、4th~6thとALIVEⅠ・Ⅱが好物ですよね?
#137 / ALIVE! / 1975
★★★★★
キッス初のライブ作品「地獄の狂獣 キッス・ライヴ」です。75年リリースということは、この時点で発表済みの3枚からの選曲となっております。ハードロックンロール時代の総括、スタジオ盤とは異なる迫力を伝える傑作ライブアルバムとして、これまでのキャリアで一番売れた作品です。全米9位。音源はデトロイトをはじめとする「地獄への接吻」ツアーのもの。”ロックンロール・オールナイト”がデトロイトで大ヒットしたため、急遽ライブレコーディングを決行したらしい。それで次作「地獄の軍団」のオープニングが”デトロイト・ロック・シティ”というわけか!? デトロイトに感謝を込めて、なるほど繋がりましたね。”Deuce”、”Strutter”、”Firehouse”、”10万年の彼方/100,000 Years”、”Black Diamond”、”Cold Gin”、”Rock and Roll All Nite”など、この後長きに亘って演奏され続けることになる楽曲の、若さ漲る初期の演奏が堪能できます。ところで、KISSほどの大物となれば、もしや「ALIVE」の映像もあるのではないか?正確には大物になる前だけど、あのヴィジュアルだからね、とりあえず録っておこうみたいなノリがあったんじゃないかね。期待を込めて「KISSOLOGY BOX SET」買いました。12枚組ではありますが、お目当ては初期の映像だから、Disc1~4くらいで事足りてしまった。だったら「KISSOLOGY Vol.1」だけで良かったかも(笑) 結局のところ75年のデトロイト公演はなかった。が、それに近いものはあったので良しとします。キッスのライブはコレで決まり!と言いたいところですが、世代的に「ALIVE II」の方が思い出深かったりします。馴染みの曲が多いからね。さりとて「II」には“ブラック・ダイヤモンド”や“ロックンロール・オール・ナイト”など、ライブに欠かせない定番が入ってないというマイナスポイントも見受けられ、それぞれ一長一短あるんだね。よし、わかった! 2枚合わせて「ALIVE 完全版」ということにしようじゃないか。
#138 / ALIVEⅡ / 1977
★★★★★★
というわけで、リアルタイムの実況録音盤「アライヴ2」です。音源は主にL.A.フォーラム。プロデューサーはエディ・クレイマー。例に漏れず大歓声を追加、それどころか、ポール・スタンレーのリードヴォーカルとポール・スタンレーのコーラスが同時に聴こえるという掟破り的所業まで。個人的にはほぼ気にならないからOK。それよりもだ、大好きなアルバム(「地獄の軍団」「地獄のロックファイアー」「ラヴ・ガン」)からの選曲なので文句なしと思いきや、2枚組のアルバムなんだけどね、2枚目の半分(D面)がスタジオ録音の新曲なのね。当時としては新曲が聴けるから良かったのかもしれないけど、だったら「Ⅰ」とカブってもいいからライブの定番曲を収録してほしかったよね。というか、そもそも意図的に「Ⅰ」との被りを避けているのでセットリストに準じておらず、ライヴ・ベストみたいなことになっているのも頂けない。まあ難しいところだけど、結果的に新曲はそれほどのものではなかったから、やはりライブはライブで統一してほしかったよ。そんな中、この後には定番化する”デトロイト・ロック・シティ”のオープニング、加えて“狂気の叫び”で大エンディングってのは新鮮でした。パイロがドカンドカンで、終演に向って大いに盛り上がる。他にも”Love Gun”、”悪魔のドクター・ラヴ/Calling Dr.Love”、”Christine Sixteen”、”Hard Luck Woman”(ニュージャージー音源)、”Beth”(77年武道館音源)、”雷神God of Thunder”(同武道館)など、全盛期の楽曲が目白押しだ。それでも!アンコールで3曲くらい演ってから、“ロックンロール・オールナイト”でもう1回エンディングがあったって良かったんじゃあないか?どうせ「ALIVEⅢ」で曲がカブるでしょうが!などと今さらながらに文句を言ってみたくなる、少々残念なフォーマットでした。
#602 / KISS / 1974
★★★★★
すべてはここから始まった。記念すべきデビューアルバム「地獄からの使者」です。当時感じた「格好の割には普通じゃん」というマイナスの印象はさておき、定番曲目白押しのマストアイテムでしょう。“Duece”に“Strutter”に“Cold Gin”に“Firehouse”そして“Black Diamond”だもの!ピーター・クリスが歌ういい曲はバラードだけじゃないぞ。『デストロイヤー』以前の代表曲はベスト盤とかすでに紹介したライブ盤に収録されているからって感じで実は初期の3枚を持ってない。マストアイテムと言った手前そろそろ入手してもいい頃合いか!?というわけで聴きもしないでレビューは書けないので、遅ればせながら初期3枚購入しました。
#740 / HOTTER THAN HELL / 1974
★★★★
2nd「地獄のさけび」です。もちろん必聴ですよ。ここまでくると古臭い雰囲気こそがgood。トレードマークのメイクは歌舞伎の隈取からヒントを得たというくらいの日本贔屓。ジャケの日本語表記も痛々しくも愛おしい。ピータ・クリース、ポール・スタンリィ、ジイン・シモンズ、エイス・フューリって…コピーバンドの芸名みたいになってる(笑)。“Parasite”が懐かしいね。今聴くと恥ずかしい限りだけど当時(と言ってもリアルタイムじゃないよ)はあのリフがカッコいいと思ってたよ。先に聴いたのはやっぱりライブバージョン「ALIVE」だったかな。まあアレはアレ。比べちゃいけない。タイトル曲とか、やはり「ALIVE」に収録されている曲が印象的ですが初期の他の作品と比べると馴染みが薄いね。
#859 / DRESSED TO KILL / 1975
★★★★★
3rdアルバム『地獄の接吻』です。コレ抜きのライブなど有り得ないロックアンセム“Rock and Roll All Nite”収録盤となれば聴いておかねばなりますまい。他にはヤングジョッキーで聴いた“Room Service”も懐かしいです。曲は相変わらずシンプルなんだけど、音が洗練され爆発前夜を感じ取れる仕上がりになってます。この後『ALIVE』で一区切りつけて、決定盤『DESTROYER』に繋がるわけだからね。それに続くは『LOVE GUN』『地獄のロックファイヤー』『ALIVEⅡ』幸運にもリアルタイムで体験できた黄金時代ってわけですよ。だからね、個人的黄金時代以前のこのアルバムに関しては2nd同様『ALIVE』収録曲は馴染みがあるけどって程度の思い入れしかなんだな。ジャケは好き。
#925 / DYNASTY / 1979
★★★★
77年に「LOVE GUN」をリリース後…同年に「ALIVEⅡ」、78年には初ベスト盤「DOUBLE PLATINUM」(半分近くの曲がリミックス)及び各メンバーのソロアルバムをリリース。区切りをつけるべくやりたいことはすべてやって、いよいよ待望の新作。ところが…KISS終わったな!と思わせる7thアルバム「地獄からの脱出」になってしまいました。“I was Made for Lovin’ You”だけはいい。当時流行のディスコ調という変化球ながらインパクトは大きかった。と思ったら外部ライターの作品だったりして…寂しい話。あと、ソロをリリースした弊害とでも言いましょうか、エースがROLLING STONESのカバーを含め3曲でリードヴォーカルなんだね。ちなみにポールが3曲、ジーンが2曲、ピーターが1曲。「LOVE GUN」でヴォーカルデビューしたエースですが3曲は多すぎる。全員がリードヴォーカル?アリかもしれないが配分がダメ。やはりポールとジーンで8、ピーター1でエース1でしょ!
#1002 / DESTROYER:RESURRECTED / 2012
★★★★★★★★
ボブ・エズリン(PINK FLOYD他も手掛けてます。ちなみに“God of Thunder”に入ってる子どもの声はエズリンの息子たちのもの)がプロデュースした名作の35周年記念デジタルリミックス盤です。今回もエズリンの仕事なんですが、現代のテクノロジーはやっぱ凄いっす。とにかくオープニングの“Detroit Rock City”だね。大音量で聴くとオリジナルとの差は歴然!KISSとは思えない(笑)ド迫力ですよ。今まで歌が無かった部分に「Get up♪」と「Get down♪」が挿入されているのはどうかと思う(“Beth”も同じ手法)けどね。あとは…“Sweet Pain”が本来の?エースのものになってる。別の人が弾いていたオリジナルバージョンも最後に収録されているので聴き比べられるんだよ。ただ、この曲に関しては歌メロ重視でギターソロに注目したことは無かったので、ソロが差し替えられていても遜色ないかな。そもそもエースのソロの何が問題だったのか?聴き進むうちに音質には徐々に慣れてしまいますが…現代に蘇った名盤であることに間違いありません。ジャケもバージョンアップ(笑)
#1161 / UNMASKED / 1980
★★★★
8thアルバム「仮面の正体」です。前作のポップ化に拍車がかかった問題作。かつて師匠と“シャンディ”は名曲だよねみたいな話をしたような気がする。個人的には前作「DYNASTY/地獄からの脱出」がギリだったから、このアルバムはアウトなわけ。だから“シャンディ”だけのために買ったようなもの。従来のイメージを別にすれば楽曲充実の隠れ名盤という評価もあるみたいだけれど、この辺りから全く聴かなくなりました。KISSに見切りをつけたアルバムってコトになるかな。アメコミ風ジャケはKISSらしくていい。薬物依存等の問題を抱えていたピーターに変わり、ドラマーは前作に引き続きアントン・フィグ。アンディ・フグなら知ってるがアントン・フィグは知らないぜ(笑) “シャンディ”のPVを置き土産に遂にピーター解雇となりました。
#1234 / 地獄烈伝 / 2008
★★★★★
日本限定発売のリ・レコーディング・ベスト盤です。メンバーはジーン&ポールにトミー・セイヤーとエリック・シンガーとなっております。この手のアルバムは個人的に大歓迎。聴きこんだ曲だからこそ違いがハッキリわかって楽しめる派なんですね。エース&ピーターには申し訳ないが、こちらの演奏は文句なし。スピードは若干抑え目なんだけどね、そこは現代のテクノロジーによる重低音でカバーしてるから良しとしましょう。オリジナルを遥かに上回るド迫力サウンドが気持ちいい。好きな曲に関してはもちろんオリジナルありきなんだけども、2012年の「地獄の軍団」リミックスも楽しかったし、このリ・レコーディングも楽しめたよ。キッスで言えばオリジナルメンバー時代が思い出深いので、中盤の馴染みの薄い5曲は残念でした。ちなみに初回限定盤には1977年の武道館公演のDVDが付いてますが、映像を見たいならKISSOLOGYがいいね。
#1910 / ALIVEⅢ / 1993
★★★★
「ALIVEⅡ」以来16年ぶりの実況録音盤第3弾は、ブルース・キューリックとエリック・シンガーを従えた時代の作品。ステージの陰でデレク・シェリニアンがキーボー&コーラスでサポートしてるんですって。KISSはステージ上に4名じゃないと。鍵盤は正式メンバーにはなれないのです。92年の国内ツアーよりチョイスされた音源らしい。全17曲を収録。「ALIVE」と「ALIVEⅡ」では曲被りがなかったけれど、さすがに今回は、必要最低限ではあるものの重複あり。ちなみに”Deuce”と”Rock and Roll All Nite”と”Detroit Rock City”ですな。それと”I Was Made for Lovin’ You”はリハーサル音源に歓声を被せた疑似ライブとのこと。演奏に不満はないけれど、やっぱオリジナルの4人じゃないと意味がないかな。80年代以降のKISSを聴いてこなかった故、個人的には「ALIVE」と「ALIVEⅡ」があればいいって感じに変わりなし。大枚はたいてDVD作品「KISSOLOGY」も入手したとなれば尚更のこと。ジャケは安定路線でいいね。やっぱKISSロゴは偉大だ。
#2002 / GREATEST KISS / 1997
★★★★★
数多あるベスト盤の中の1枚ですが、復活記念商品の一つに括られるのかな。音質が良いと評判なんだけども、リマスターのみならずリミックス作品だから当然と言えば当然。中にはアレンジも加わり、何ならリ・レコーディング?というところもあったりするよね。オリジナル作品を聴き込んだファンには違和感があると思うけど、すでに紹介している「地獄烈伝」や「地獄の軍団」の録り直しを併せて聴けば納得するかも。まあ音質の向上は素直に喜ぶべきところもあるからいいとして、ベスト盤に於ける一番の問題は選曲でしょう。日本盤に収録されているのは20曲。デビューアルバム以降の70年代作品からチョイス。結論から言えば概ね良い…としか言いようがない。キッスほどのキャリアがあるバンドだと万人が納得するベスト盤は無理なのね。ライナーノーツにも書かれている通り、外せない2曲なのは納得だが”Black Diamond”と”Hard Luck Woman”を続けるのは如何かと思う。”Sure Know Something”は流石に浮いてる。”God Gave Rock ’n’ Roll to YouⅡ”はエンディングに相応しいから許す。”Shout It Out Loud”の96年ライヴ・バージョンもまあよかろう。個人的には「LOVE GUN」から”I Stole Your Love”と”Christine Sixteen”(US盤には収録)を選んでほしかった。