HEAVENS GATE
HEAVENS GATE(Germany/独)
#327 / LIVIN' IN HYSTERIA / 1991
★★★★★

HELLOWEENの次世代ジャーマン・メロディック・ヘヴィメタル・バンドの2ndアルバムです。バンドのイチオシとして誰も異論はなかろうってくらいよくできたアルバムです。レコードからCDへのメディア革命がありまして、暫く傍観していた折、いよいよ乗り換えるかというきっかけになったのが、その時期の師匠のイチオシ、DREAM THEATERの「IMAGES AND WORDS」でした。何を言いたいかってぇと、その個人的CD黎明期に購入した1枚が今作だったということ。だから想い出も特別なのね。前作EPで兆しはあり、それが確信に変わった、勢いだけでなく色んなアイデアが散りばめられた、ジャーマンメタルを代表する1枚です。BLIND GUARDIANの3rdと4th、HEAVENS GATEの2ndと3rdは全て、自信をもってお勧めします。オープニングのタイトルチューンに魅力が凝縮しているね。中間部分の展開も洒落てるし、お約束のツインギターも効果抜群。3曲目にはヴァイキングメタルにも通じる勇壮な”The Never-Ending Fire”を配置。デビュー作から受け継がれる3部作の第2部らしい。後にリリースされるライブ盤にて全容が確認できます。5曲目にはスリリングなインストを配置。続くDEF LEPPARDみたいな曲もサシャの頭に刷り込まれているらしく、他のアルバムでも聴ける…というか聴かされる!? しかし7曲目の”Flashes”ですぐさま挽回。続くバラード”Best Days of My Live”もいい雰囲気だ。バンドのテーソング的な10曲目”Gate of Heaven”でアルバムは締めくくられます。少々退屈な曲ですら休憩曲として機能させてしまう素晴らしい構成です。ヴォーカルは、ライヴでは不評ですが、スタジオ盤だと結構パワフルな歌唱を聴かせてくれます。ギリギリ頑張っている感じがしないでもないですが、元気に熱唱しているから問題なし。デビューはBLIND GUARDIANとほぼ同時期ながら、結果的に息が長かったのはBLIND GUARDIANということに。HEAVENS GATEは徐々に減速、99年に解散してしまいました。メンバーで生き残っているのはギターのサシャ・ピートだけ。ANGRAやRHAPSODYなど、メロディック・パワーメタルバンド関連のプロデューサー及びゲストプレーヤーとして活躍している。
#542 / HELL FOR SALE! / 1992
★★★★★

サシャ・ピートがアイデアを広げてきた3rdアルバムです。オープニングのスピードチューンに続くタイトルチューンが物語っている。それを受ける3曲目”He’s the Man”は代々受け継がれてきた勇壮メタル。ACCEPTの漢メタルやヴィキングメタルにも通じるあの世界観だ。バグパイプを導入しているあたりはライバルBLIND GUARDIANも想起されます。ギターインスト小曲を挟んで登場する”America”みたいな曲がね、ジャーマンファンからすると要らない曲なのかも。ただ退屈かと問われるとそうでもなく、中盤から凝ったアレンジを聴かせてくれるあたりは流石です。余裕の遊び心が功を奏している。中盤7曲目”Rising Sun”で拡散した流れを一気に引き戻す。いかにもマイケル・キスクが歌いそうなスピード・ファニー・チューンで、当然のようにカイ・ハンセンがゲスト参加している(笑) やや退屈な曲を挟んでの9曲目”Up An’ Down”もファンが望むものではないけれど、変化球的な役割を担う。続くアコースティックバラードも然り。サシャ・ピートがフランク・ザッパのファンだそうだから、あの多様性をメタルの範疇で応用してみたといったところか。そしてアルバムを締めくくるのはモンティ・パイソンでお馴染みの“Always Look on the Bright Side of Life”のカバーで、ここにはラルフ・シーパース(GAMMA RAYほか)やフェルナンド・ガルシア(VICTORY)がコーラスで参加しています。そういえばトーマス・リトケ(このバンドのシンガーね)の声がシーパースに似ている気がする。11曲目の退屈な曲で顕著。レコーディングしたのはカイ・ハンセンのスタジオなんだってさ。そりゃあ愉快な仲間たちが集まるってもんでしょ。そういう楽しさを感じ取れるのもこのバンドの特徴かな。前作が傑作すぎたゆえどうしったって見劣り(聴き劣り)してしまいますが、豊富なアイデアを駆使したよくできたアルバムだと思います。この後バンドは失速してしまいますが。
#2093 / PLANET E. / 1996
★★★★★

前作に引き続き再度路線変更を試みた4thフルアルバムです。よって2ndが好きすぎるファンからすれば今回も微妙な作風ってことになるでしょう。シリアス路線というか硬派路線というか、イメージが随分と変わったね。しかしながら出来はいい。個人的には好き。まず、シンガーが交代したのかと思ったよ。(ベースは交代した)何ならこの路線の方が使用声域の幅が広がったぶん合ってるんじゃないか。ポテンシャルがしっかりと発揮できてる。それはGODになって以降のロバート・ハルフォードの如し。これまでは限界ギリギリの高音域ばかり聴かされていたから、少なくともシンガーに関しては収穫アリなアルバムでしょう。曲もバラエティ豊か。ロシア民謡風味を取り入れたスピードチューン”Planet Earth”、同じく疾走曲”On the Edge”、アコギとストリングスで纏め上げたバラード"The Children Play"、エスニック音階を駆使した”Black Religion”。ノアの大洪水がコンセプトらしい10分超えの”Noah's Dream”はいい塩梅にアイデアが詰め込まれている。冒頭のアカペラから王道ジャーマン、そして静パートとドイツ民謡?パートに移り変わる。"Animal" はリサ・C・ダルベロの、 "This Town Ain't Big Enough For Both Of Us" はSparksの、 "The Sentinel" はJudas Priestのカバー。JUDAS PRIESTのカバーは理解できる。実際それ風の楽曲を演っているし。出来は普通。SPARKSはビックリ。コレ演ってたのか~。ちょっと前にCMで原曲が使用されて個人的に盛り上がったけれど、HEAVENS GATEは思い浮かばんかったわ。難しそうなメロを器用に歌ってらっしゃる。ナイス選曲でした。お決まりの遊び心は健在だね。