GENTLE GIANT
GENTLE GIANT(UK/英)
#561 / OCTOPUS / 1973
★★★★★

シャルマン3兄弟を中心に結成された、王道の大英帝国プログレとは一線を画す技巧派集団の4thアルバムです。(今作以前のドラマーを除く)メンバー全員が複数の楽器を操るマルチプレイヤーという稀有なバンドでもあります。ベースとなるジャズロックにトラッドや古楽をブレンド、変拍子はもちろんのこと、ポリリズムも取り入れた複雑な楽曲を、ポップ感覚で聴かせるという、プログレッシブロックの創世記を支えた重要なバンドの1つです。ウリの一つであるメンバー全員によるコーラスワークも、余裕綽々って感じ(相当な練習を積んだと思う)で聴かせてしまう、カンタベリー系の一歩先を行くプログレバンドでした。それは違うだろうと言われるでしょうが、起伏に富んだ楽曲や様々な使用楽器から、イタリアのOSANNAが思い浮かぶ。世間的にも今作は、基本路線のジャズロックにハードロック風味とポップス風味が加わった傑作という位置づけらしい。ハードロック云々はピンとこないが賛同します。目まぐるしい展開の楽曲群であることに加え、トータルタイムが短いからあっという間に聴き終えてしまう。広く知られるプログレの概念とは異なる音楽ですが、この個性に嵌る人は少なくないと思う。たしか師匠も気に入っていたはず。プログレ5大バンドの次、6番目にGENTLE GIANTを推す人も結構いるらしいからね。では問題です。この蛸のアートワークを担当したのは誰でしょう? ハイ正解!ロジャー・ディーンだね。75年の7th「FREE HAND」まで確実に売り上げを伸ばしていったGGでしたが、プログレの衰退に抗い、パンクやニュー・ウェイヴの要素を取り入れて、プログレバンドからの脱却を模索するも活動に行き詰まり、80年に解散してしまいました。
#675 / GENTLE GIANT / 1970
★★★★

英国プログレの始まりを支えた重要バンドのデビューアルバムです。KING CRIMSONの”赤い男”を想起させるインパクト絶大なアートワーク(裏ジャケを見ないと分かり難いのですが、アルバムの主題となる巨人”giant”が両掌にメンバーを載せいている)が印象的な1枚。後にテクニカルなプログレで名を馳せるGGですが、この段階ではまだサイケロック/アートロックのフィーリングが強く、比較的聴きやすい音楽を演っている。ギターとキーボードを軸に、バイオリン、チェロ、サックス、トランペット、リコーダーが盛り込まれる内容で、この多彩さはアートロック時代のビートルズを彷彿とさせ、間違いなく影響を受けていると感じます。バンドのウリであるコーラスワークもすでにこの時点で素晴らしい。クリムゾンの「宮殿」に触発されたのも間違いないでしょうね。件のジャケットがそうだし、管楽器が出てくるとどうしても思い浮かんでしまう。変拍子も楽曲に自然に溶け込ませてしまうポップな感覚、新しいプログレの産声を確かに聴くことができます。細分化するプログレの1つの形を提示しましたね。これまたハードロックとプログレが同じルーツだと確認できる1枚でしょう。そこで、五大バンドにキャメル、ルネッサンス、ジェントル・ジャイアントを加えて8大バンドというのはどうでしょう。多すぎるか!? 否、これでも足りない。個人的には先に提案した十二神将を推したい。残り4席についてはまた後ほど。
#801 / THREE FRIENDS / 1972
★★★★★

3rdアルバムです。ウチにあるUS盤はデビューアルバムと同じジャケなんだけど、アメリカでは3rdでデビューしたから1stジャケを使ったらしいっす。(左のはUK盤)肝心の音楽は…1曲目のプロローグは聴き覚えがありました。昔エアチェックしてあったのかもしれませんな。その1曲目をはじめ、どうやらトータル・アルバムらしいこの作品ですが、意外と色んなタイプの曲が聴ける佳作(便利な言葉だよね)に仕上がってます。ホーンセクションではクリムゾンを思い浮かべオルガンでパープルを思い浮かべるのは条件反射だと思う。すっかり刷り込まれてるよな~。個人的にはコレもアリだけどGENTLE GIANTを堪能したいならやはり『オクトパス』以降を聴くのがよろしいかと。
#1081 / FREE HAND / 1975
★★★★

GGの集大成といわれている7thアルバムですが…これはどうだろう!? 個人的にはさあ、なんかこう釈然としないものがありますな。複雑なリズム(お得意の変拍子)とかジャズロックな雰囲気は文句なしだけどね、テクノとは言わないまでも、そういう匂いがするコーラス(完成度はもの凄いけれど)と電子音的リズムがどうも気に食わないな。同時期のGENESIS方向(アメリカ市場を意識した売れ線)にシフトした感じに好感がもてません。それ以前に、GGのヴォーカルってこういう歌い方でしたっけ?という感じ。シアトリカル系なんだもの、好きじゃないタイプなんだよね。まあそれでもタイトルチューンなどはさすがに素晴らしいとは思いますが。なんだかアダムスファミリーなジャケですよね。