DOKKEN
DOKKEN(US/米)
#203 / TOOTH AND NAIL / 1984
★★★★★

LA METALの流れから登場したバンドですが、デビュー作は普通の出来でした。ベースにジェフ・ピルソンが加わった2ndでここまで化けるとは、誰も予想できなかったでしょう。ロイ・トーマス・ベイカーが共同プロデューサーに名を連ねる。ミキシングはデビュー作でプロデュース等を務めたマイケル・ワグナーが続けて担当。今作のリリースが北欧メタルムーブメントと重なっていたのはなんとなく覚えてるよ。北欧メタルのアルバムは1曲目のインパクトが凄かったからね、今作もオープニング(”Without Warning”~”Tooth and Nail”)がダントツのキラーチューンという共通点がある。ドンのスクリームも聴けますが、何よりジョージ・リンチのギターがカッコいい。新たなるギターヒーローの誕生でした。玉石混交のLAメタルにあって、風貌だけで判断してると痛い目を見るぞ!の代表格。”Just Got Lucky”(27位)、”Don’t Close Your Eyes”、”Into the Fire”(21位)、”Alone Again”(20位)など、他の曲のクオリティも総じて高め。ラストの”Turn on the Action”は”Tooth…”にも共通するハードな楽曲で、こっち方面がリンチの真骨頂という気がするのですが、ドンは違うんだね。ドンが目指すのはシングルヒット。このミスマッチ(二人の中道路線、”Just Got Lucky”とか”Into the Fire”とか)がDOKKENの魅力でもあるのですが…二人が袂を分かつのにそう時間はかからなかったのでした。ところで、ジョージ・リンチといえば、“スターズ”のPVで弦を擦りまくる姿が思い出されます。師匠も「手が切れそう」と食いついていた同PVにおける名場面のひとつでした。一方でVoのドン・ドッケンは、首領ロニーにダメ出しされておりましたな。懐かしいね。
#511 / BACK FOR THE ATTACK / 1987
★★★★

売れ線3rdの憂さを晴らすかのように、ジョージ・リンチが本来の姿を取り戻した4thアルバムです。ドッケン史上最も売れたアルバム(全米13位)でしたが、同時に最後の作品でもあります。当時で言うところのA面がジョージ・リンチ主導、B面はドン・ドッケン主導で制作されたそうですが、ドンはもちろんのことジョージもボーカルありきで弾くタイプだからね、まあそこまでの差は感じられない。どうしたって「TOOTH AND NAIL」のインパクトには勝てないわけで、解散も致し方あるまい。良くも悪くもドンとジョージでドッケン、両者の橋渡しが後にDIOやFIGHTに参加するジェフ・ピルソンといったところで、出来ることはやりつくしたってことでしょう。オープニングの“Kiss of Death”は文句なし。あとはインストの“Mr. Scary”、ラストの“Dream Warriors”あたりがハイライトでしょうか。他には”Heaven Sent”や”Burning Like a Flame”も代表曲らしいですが個人的には響かず。余談ですが、以前「炎」誌に数か月に亘って掲載されたLAメタル特集は実に面白かった。まさにLAファミリー、あの頃は色んな所で繋がってる同志だったのね。RATTのフォアン・クルーシェ(B)が元々DOKKENだったとか、ウォーレン・デ・マルティーニがどこにいたとか、もうぐっちゃぐちゃ。LAメタルが好物でなくとも興味深い内容でした。94年に再結成そしてジョージ再脱退を受け、ジョン・ノーラム(EUROPE)やレブ・ビーチ(WINGER)がギターを務めている。
#2175 / BREAKING THE CHAINS / 1981
★★★★

LAメタルムーブメントから登場した代表的バンドのデビューアルバムです。メンバーはドン・ドッケン、ジョージ・リンチ、ミック・ブラウン、ホアン・クルーシェ(実際に弾いているのはACCEPTのピーター・バルテスらしい)で、81年にフランスのレーベルからリリース(この時は「BREAKIN’ THE CHAINS」)されました。が、83年にホアンがRATTに専念するため離脱、ジェフ・ピルソンが加入、大手エレクトラと契約したことでUS盤「BREAKING THE CHAINS」として再発します。とはいえ曲は概ね普通で、今聴いてもあまり面白味はないLAメタルかな。ドンの歌はこんなものでしょうが、ジョージ・リンチのギターが、音質も相俟ってかなり粗削り。スピードチューンの”Live to Rock(Rock to Live)”では後の片鱗を見せているが、妖力解放は3年後にリリースされる大化け2ndアルバム「TOOTH AND NAIL」まで待たないといけない。”Paris Is Burning”(ライブ)がボートラ収録されてますが、コレを聴いちゃうとね、この段階ではまだまだってことが一層ハッキリしてしまいますな。MOTLEY CRUEなんかと比べると、ドンの美声のおかげか随分と洗練された雰囲気はあります。