BABE RUTH
BABE RUTH(UK/英)
#723 / BABE RUTH / 1975
★★★★

伊藤政則コレクションで出逢った1枚は、プログレ的なアプローチからストレートなハードロックに方向性を変えた3rdアルバムでした。バンド名を冠した勝負作ですが実はコレしか知りません。なかなか魅力的なので機会があったら過去の作品も聴いてみたい。過去に限定するのは、この後主要メンバーが脱退してしまうから。バンドの看板は間違いなく女性シンガーのジェニー・ハーン。その歌唱は、ワイルド方向に振れたアン・ウィルソンといったところ。パワフルでカッコいい!リーダートラック”Dancer”は淡々とした曲調が素晴らしく、ソロパートもギターではなくシンセ(ムーグ)だったりする。ギタリストが中心でもキーボード(ピアノ)を重視しているところが好印象。これがアルバムのハイライトでしょう。”A Fistful of Dollars”はクリント・イーストウッドの「荒野の用心棒」(主演:三船敏郎、監督:黒澤明による「用心棒」の西部劇バージョン)の主題曲のクールなカバー(インスト)で、OUTLAWSの”(Ghost) Riders in the Sky”には及ばないまでも、ハードな仕上がりが素晴らしい。デビュー作でも「夕陽のガンマン」を取り上げている(この西部劇ネタのおかげで、本国よりも北米で人気があったらしい)あたり、メンバーの中にマカロニウエスタン好きがいるに違いない。バンドのブレーンであるギタリストと考えるのが妥当でしょう。アートワークもそのイメージなのね。”Turquoise”(”ターコイズ”のはずが帯には”タークワーズ”と印字されている。12月の誕生石なのにどうした東芝EMI!)で披露されるスパニッシュギターを聴けばマカロニ(笑)確定ですね。ラストの”The Duchess of Orleans/オリアンズの公爵夫人”(これもLED ZEPPELINに倣って”オルレアン”としてほしかった)は男が歌うのかよと思いきや最初だけ、すぐさまジェニーの熱唱に引き継がれてひと安心のバラードで、PAVLOV’S DOGが想起される佳曲です。古き良き時代のハードロック・ファンは一聴の価値あり。