美狂乱
美狂乱(JPN)
#1135 / 美狂乱 / 1982
★★★★

14分以上の楽曲を2曲収録(全5曲)したプログレ然としたデビューアルバムです。四人囃子が和製PINK FLOYDならば、この人たちは和製KING CRIMSONと呼ばれています。感じ方は人それぞれだから異論反論は少なからずあるわけで、クリムゾン好きが納得するかどうかはまた別の話。四人囃子もそうだけど、和テイストが充満してるからさ、そこがイイって人もいればイヤって人もいるわけよ。中心人物は須磨邦雄という人。この人がフリッパー。似てるけど腕前は上ですね。“狂パートⅡ”のギターはフリップ翁には無理でしょう。ギターは素晴らしいが…問題は同氏によるヴォーカルで、これがかなり微妙。例えば1曲目、音程の怪しい人が半音階バリバリの難しい歌メロを歌うとこうなっちゃうという悪い例。BRUFORDのアルバムで歌ったアネット・ピーコックが思い浮かぶ。インスト部分は聴きごたえがあるだけに残念です。4曲目の語りのようなヴォーカルは…エフェクト処理されているし、曲名が“ひとりごと”だから許そうじゃないか(笑) 自由に蠢くベースパートはDOOMっぽいと思った。トリオでギターとベースが自由に演ったらどんなバンドでもこうなる!? 中期クリムゾンを目指すからにはそれっぽい楽器の音色は必要不可欠。ということで今回はヴァイオリンに中西俊博、キーボードに中島優貴が客演。二人が活躍する場として”シンシア”が用意されました。アルバム中1/5という役割以上の曲になっている。ちなみに最高作は2nd「Parallax」という意見が多いみたいだよ。
#1332 / PARALLAX / 1983
★★★★

2ndアルバム。前作に引き続きヴァイオリンの中西俊博が参加。加えてNOVELAというかジェラルドから永川敏郎が参加。他チェロとトランペット奏者もいるとなれば、まあ例の如しのクリムゾン的編成です。これぞプログレな潔い3曲構成にしましたね。目玉は21分超の組曲「乱」ということになるでしょう。が、個人的にはそれほどの感動はなく下手すると聴き流してしまうタイプの長尺曲かもしれない。意気込みは買うけどね、あまり練られてない気がする。これまたクリムゾン的インプロビゼーションということなのかね。一般的には評価が高い作品のようですがデビューアルバムの方が良かった。過度な期待は禁物ですな。リフはフリッパーらしく凝っている。やはり不安定なヴォーカルが問題。前作にあったDOOM臭がなくなり、よりプログレ然としてます。名盤と言うにはちょっと地味かも。大作組曲に騙されているかもね。組曲最後のパートが”真紅の子供たち“ってのは洒落てる。