久保田早紀
久保田早紀(JPN)
#1517 / 夢がたり / 1979
★★★★
“異邦人”で鮮烈なデビューを飾った美形シンガーの1stアルバムです。ニューミュージックという単語が頻繁に使われ始めた頃でしょうか。当時の興味の対象はほぼハードロックだったから、この手の音楽は二の次で、唯一の情報源はテレビの歌番組でした。だから知っているのはヒット曲だけってパターン。このアルバムだって安い中古盤を見つけなかったら一生聴くことはなかったはず。聴いてみてまず思ったのはいい声だってこと。心安らぐいい声をしていると思います。テレビ出演時は無表情で淡々としたイメージでしたが、どうやら人前に晒された緊張状態に因るものらしい。そもそもそういうのが苦手だったんだとか。そんなわけで好きなタイプの声だからそれだけでOKなワケですが、曲の良さが合わされば鬼に金棒。しかしそうはいかない(笑) 曲はちょっと弱いかな。“異邦人”がぶっちぎりの出来で、それに続くのが“帰郷”と“夢飛行”といったところでしょうか。全体に一貫したテーマはありそうだが、もっとあからさまな中近東風味が全編に散りばめられていたらと思う。シルクロードを端から端まで旅してほしかった。